自家用操縦士免許(Private Pilot Licence)の取得条件
航空機の種類は飛行機、ヘリコプター、ジャイロプレーンなど様々ありますが、ここでは飛行機だけを取り上げています。航空法(CAR)の421.26にて取り上げられている内容です。
(1) 年齢制限
申請時に17歳以上であること。
(2) 航空身体適性
- カテゴリー3の航空身体適性を保有していること
- 免許は、有効なカテゴリー1またはカテゴリー3の航空身体適性がなければ無効
(3) 知識
申請者は、次の知識を有していること。
地上座学における知識の習得
飛行機でのPPL取得に向けた地上座学について、次に示す科目に関して40時間を完了していること。
- カナダ航空法(CAR)
- 航空力学及び飛行理論
- 航空気象
- 機体の構造、エンジン、各種系統
- 飛行計器
- 航空無線及び電気理論
- 航法
- 飛行に関する運用法
- 免許取得の必要条件
- 操縦士の意思決定要領を含むヒューマンファクター
筆記試験における知識取得の証明
PPLの筆記試験(PPAER)において、4科目それぞれ及び全体で60%以上の得点を取得すること。
- 航空法(法規、規則、法則、航空交通業務、手続き、免許の取得要件)
- 航法(航法、無線航法施設、電気理論)
- 航空気象
- 航空一般知識(機体構造、エンジン、各種系統、飛行理論、飛行計器、運用法)
(4) 飛行経験
飛行教官資格を有する教官の指導と監督の下で行われる45時間のPPL取得に向けた飛行機での訓練
最大5時間分の認定シミュレーターによる訓練を適用可能
17時間の同乗教育時間
3時間の場外飛行時間
5時間の計器時間
最大3時間分の計器訓練の地上時間を適用可能
12時間の単独飛行時間
5時間の場外飛行時間
150NM以上の飛行経路で、出発地以外の合計2回のフルストップを行う場外飛行を含む
(5) 技能
免許申請の日から12ヵ月以内に、下記に則して行われる飛行機による機長として行う飛行実技検定に合格していること。
飛行実技検定を行う前提条件
通常の検定
飛行実技検定を実施する前に、検定官に次の各書類を提出する。
- 受検者が、規則第421条「飛行搭乗の許可、免許と資格」の項目の第421.14項に定められる必要条件を満足していることの証明
- 受検者が当日に飛行実技検定で使用する飛行機の型と同型で訓練を受けてきたことの証明
- 検定実施30日以内に飛行教官資格を保有する教官により署名され、次の内容を含む推薦書
- 受検者に対して検定前の見極め検定を行ったこと
- 受検者が検定を受検するに際して十分な技能基準に達していると認められること
- 受検者が検定の実施に推薦されていること
部分再検定
先に実施された実技検定の結果により部分再検定となった場合、検定官に次の各書類を提出する。
- 前回失格した検定の飛行実技検定報告の写し
- 再検定実施日の30日以内に飛行教官資格を保有する教官により署名され、次の内容を含む推薦書
- 受検者が失格した課目に対する追加の補備訓練を受けたこと
- 受検者が合格できることを認められること
- 教官が受検者を再検定に推薦していること
飛行実技検定に必要な航空機と装備品
検定官は、受検者が次を提示することを確認する。
飛行実技検定の実施
飛行実技検定を実施する際、検定官は以下の事項を実施する。
- 受検者に対して、機長としての要務内容を確認できる位置から飛行機を飛行させ、別の搭乗者の有無にかかわらず検定を行っていくことを要求する。
- 次の場合を除いて、飛行機の運航には参加しない。
- 特定の所要課目を検定するために必要が生じた場合
- 受検者がフードを着用している場合などに、安全を確保する操縦士としての責任を果たす必要がある場合
- 安全確保のためや、他機に対して受容できない遅れの回避のためにやむを得ず中断、介入をする場合
- 上空課目実施前に飛行空域の安全確保のために行う適切で効果的な見張りを実施しないなど、不安全なエアマンシップや危険飛行が受検者により行われた場合には、検定を中止する。
飛行実技検定での要求水準
- 検定官は、受検者の次の知識と技能を評価する。
- 要求水準を満たす必要な飛行課目を実施すること
- すべての運動を円滑かつ精確に完了させること
- 健全な判断と良いエアマンシップを示すこと
- 航空に関する知識を正しく示すこと
- 手順や運動の正しい実行をもって疑う余地なく常に航空機に習熟していることを示すこと
- 受検者が制御できない範囲で起こる天候や他機、その他の状況に伴い、公示された要求水準から避けがたい逸脱が発生した場合は、考慮することができる。
- 気流の状況や操縦精度による逸脱の許容範囲は、下記の表のとおり。
高度保持 | 通常飛行時 場外飛行時 計器飛行時 | ±100 ft ±200 ft ±200 ft |
---|---|---|
針路保持 | 通常飛行時 計器飛行時 | ±10° ±15° |
速度保持 | 離陸時と進入時 その他の有視界飛行時 計器飛行時 | +10/-5 kt ±10 kt ±15 kt |
検定内容
a. 航空機への慣熟と飛行準備
b. 付随事項の管理
c. 地上滑走
d. 無線通信
a. 離陸
b. 旋回
c. 低速飛行
d. 失速
e. らせん降下
f. 計器飛行
a. パイロット航法
a. 予備着陸
b. 不時着陸
c. 着陸復行
d. 緊急手順
a. 場周飛行
b. 進入と着陸
c. すべり飛行
(6) 経験の転用
知識に関する経験の転用
ジャイロプレーンの飛行許可書またはヘリコプターの自家用以上の免許を保有する受検者は、次の経験が転用できる。
地上座学時間を40時間から20時間に減算できる。
飛行機によるPPL筆記試験(PPAER)の代わりに、カテゴリ変更のための筆記試験(PARAC)で60%以上の得点を取得すること。
飛行経験(飛行時間)の転用
- 総飛行時間は飛行機で30時間あること。
- 飛行機以外の種類の航空機での飛行時間を保有している場合は、それを適用することができる。
- 総飛行時間として最大15時間加算できる。
- 単独飛行時間として最大4時間分、単独場外飛行は2時間分を加算できる。
機長時間を最大5時間分総飛行時間に加算できる。
機長時間を最大10時間分総飛行時間に加算できる。
別の航空機の種類で取得した計器飛行時間は、17時間の同乗教育飛行時間や12時間の単独飛行時間には適用できないものの、計器飛行時間の経験に加算できる。
(7) 国防省出身の受検者に対する経験の転用
- カナダ軍の現役及び退役軍人で、飛行機の部内資格に適合した者や、約120時間の基本操縦訓練課程を修了した者は、地上座学に関する必要事項、筆記試験は満足しているとみなされる。訓練課程に関する要求事項や技能に関する要求事項については、次の条件を満足すれば、修了しているものとみなされる。
- 必要な飛行時間を指定されたとおりに満足していること
- 免許申請日から過去12ヵ月以内に、(4)で指定されているうち飛行機で10時間以上の飛行を実施していること
- PSTARで90%以上の得点を取得すること
- カナダ軍にて飛行訓練を経験した者は、PPLの発行に際して必要な同乗教育時間や単独飛行時間や地上座学時間において軍での経験を適用することができる。
(8) 海外の免許に基づく免許の発行
- 取り決めの行われている国で発行された飛行機の自家用操縦士免許以上の免許を保有する受検者は、次のように考慮される。
- 地上座学に関する必要事項は満足している。
- 外国の免許が更に他国の免許に基づいて発行されたものでなく、かつ受検者が下記の条件に該当している場合、筆記試験と飛行実技検定における要求項目を満足しているものとみなされる。
- 必要な飛行時間を指定されたとおりに満足していること
- PSTARで90%以上の得点を取得すること
- 飛行機の機長または副操縦士として、カナダの免許の申請日から過去6ヵ月以内に、5回以上の離陸及び着陸を完了していること
- 免許には「外国の免許に基づいて発行された」という注釈が運輸大臣により付される。受検者が下記の条件を満たした場合は、注釈は取り消される。
- 筆記試験(PPAER)
- 技能上の必要事項
(9) 外国人の申請者による経験の転用の証明
- 取り決めの行われている国で発行された飛行機の自家用操縦士免許以上の免許を保有する受検者で、外国の免許の基づく免許の発行を希望しない場合でも、大臣により地上座学に関する要求事項を満足しているものとみなされる。
- 取り決めの行われているカナダ以外の国で発行された飛行機の自家用操縦士免許以上の免許を保有する受検者で、指定された飛行時間を満足する受検者は、飛行経験も満足しているものとみなされる。
- 飛行教官資格の保有者により、すべての地上座学と飛行訓練課目を実施した証明を提出すれば、受検者が取り決めの行われている国で発行された飛行機の自家用操縦士免許以上の免許を保有していない場合であっても、外国で行った同乗教育時間と単独飛行時間及び地上座学時間は満足しているものとみなされる。