PPLの取得条件のまとめはこちらから。
事業用操縦士免許(Commercial Pilot Licence)の取得条件
航空機の種類は飛行機、ヘリコプター、ジャイロプレーンなど様々ありますが、ここでは飛行機だけを取り上げています。航空法(CAR)の421.30にて取り上げられている内容です。
(1) 年齢制限
申請時に18歳以上であること。
(2) 航空身体適性
航空身体適性
- カテゴリー1の航空身体適性を保有していること
CPL保有者は、PPLのための航空身体適性の有効期間(5年間有効)が残っている間は、PPLの権限を行使することが可能(CAT1が切れてもCAT3が有効)
- 免許は、有効なカテゴリー1の航空身体適性がなければ無効
(3) 知識
地上座学における知識の習得
飛行機でのCPL取得に向けた地上座学について、次に示す科目に関して80時間を完了していること。
地上座学科目
- カナダ航空法(CAR)
- 航空力学及び飛行理論
- 航空気象
- 機体の構造、エンジン、各種系統
- 飛行計器
- 航空無線及び電気理論
- 航法
- 飛行に関する運用法
- 免許取得の必要条件
- 操縦士の意思決定要領を含むヒューマンファクター
筆記試験における知識取得の証明
CPLの筆記試験(CPAER)において、4科目それぞれ及び全体で60%以上の得点を取得すること。
筆記試験(CPAER)の科目
- 航空法(法規、規則、法則、航空交通業務、手続き、免許の取得要件)
- 航法(航法、無線航法施設、電気理論)
- 航空気象
- 航空一般知識(機体構造、エンジン、各種系統、飛行理論、飛行計器、運用法)
認定総合訓練課程
認定総合訓練課程を卒業した受検者は、地上座学と筆記試験についてカナダ航空法(CAR)426.75に定める要求事項を完了すること。
(4) 飛行経験
総飛行時間
飛行機での200時間の総飛行時間
PPLに引き続き取得する場合の総飛行時間
飛行機での65時間のCPL取得に向けた訓練
同乗教育時間
飛行教官資格を有する教官の指導と監督の下で行われる35時間の同乗教育時間
場外飛行時間
5時間の場外飛行時間
上述の2時間分の同乗教育での夜間場外飛行時間を含むことができる。
計器飛行時間
20時間の計器飛行時間
上述の2つの「場外飛行時間」は含むことができない。
最大10時間分の認定シミュレーターによる訓練を適用可能
単独飛行時間
30時間の単独飛行時間
飛行技能向上に重点をおいた訓練
飛行技能向上に重点をおいた25時間の単独飛行時間
300NM以上+3回のF/S
出発地点から半径300NM以上の飛行経路で、出発地以外の合計3回のフルストップを行う場外飛行を含む
夜間時間と10回の離着陸
5時間の夜間単独飛行時間において、10回以上の離陸及び場周飛行と着陸を含む
認定総合訓練課程
認定総合訓練課程を卒業した受検者は、カナダ航空法(CAR)426.75に定める要求事項を完了すること。
(5) 技能
免許申請の日から12ヵ月以内に、下記に則して行われる飛行機による機長として行う飛行実技検定に合格していること。
飛行実技検定を行う前提条件
通常の検定
飛行実技検定を実施する前に、検定官に次の各書類を提出する。
検定官に提出する書類
- 受検者が、規則第421条「飛行搭乗の許可、免許と資格」の項目の第421.14項に定められる必要条件を満足していることの証明
- 受検者が当日に飛行実技検定で使用する飛行機の型と同型で訓練を受けてきたことの証明
- 検定実施30日以内に飛行教官資格を保有する教官により署名され、次の内容を含む推薦書
教官による推薦書に含まれる事項
- 受検者に対して検定前の見極め検定を行ったこと
- 受検者が筆記試験に合格し、「筆記試験結果とフィードバックレポート」の中で不備が指摘された科目について、許容できるレベルの知識を持っていると認められること
- 受検者が検定を受検するに際して十分な技能基準に達していると認められること
- 受検者が検定の実施に推薦されていること
部分再検定
先に実施された実技検定の結果により部分再検定となった場合、検定官に次の各書類を提出する。
【再検定】検定官に提出する書類
- 前回失格した検定の飛行実技検定報告の写し
- 再検定実施日の30日以内に飛行教官資格を保有する教官により署名され、次の内容を含む推薦書
教官による推薦書に含まれる事項
- 受検者が失格した課目に対する追加の補備訓練を受けたこと
- 受検者が合格できることを認められること
- 教官が受検者を再検定に推薦していること
飛行実技検定に必要な航空機と装備品
検定官は、受検者が次を提示することを確認する。
飛行実技検定に必要な航空機と装備品
飛行機の検定使用条件
- 飛行実技検定で求められるすべての運動が可能であること。
- 規則第425条「飛行訓練」の425.23(1)~(4)の項目の要求に適合していること。
- 適切な最新の航空図と最新のカナダ飛行情報補足誌(CFS)
- 外の視覚的目標物に頼らずに計器飛行状態を模擬できつつ、検定官に対しては安全な視界を確保できる効果的な手段(フード等)
検定におけるその他のケース
- 訓練を受けてきた飛行機の型と同型機で受検者が当日に飛行実技検定を実施しなくてはならないため、検定の受検要件を満たすために、複数の飛行機が提供される場合がある。
- 検定における特定の運動については、カナダ航空法で認定されたシミュレーターを使用する場合がある。
飛行実技検定の実施
飛行実技検定を実施する際、検定官は以下の事項を実施する。
飛行実技検定の実施
- 受検者に対して、機長としての要務内容を確認できる位置から飛行機を飛行させ、別の搭乗者の有無にかかわらず検定を行っていくことを要求する。
- 特定の所要課目を検定するために必要が生じた場合
- 受検者がフードを着用している場合などに、安全を確保する操縦士としての責任を果たす必要がある場合
- 安全確保のためや、他機に対して受容できない遅れの回避のためにやむを得ず中断、介入をする場合
- 上空課目実施前に飛行空域の安全確保のために行う適切で効果的な見張りを実施しないなど、不安全なエアマンシップや危険飛行が受検者により行われた場合には、検定を中止する。
飛行実技検定での要求水準
飛行実技検定での要求水準
検定官による知識と技能の評価内容
- 要求水準を満たす必要な飛行課目を実施すること
- すべての運動を円滑かつ精確に完了させること
- 健全な判断と良いエアマンシップを示すこと
- 航空に関する知識を正しく示すこと
- 手順や運動の正しい実行をもって疑う余地なく常に航空機に習熟していることを示すこと
- 受検者が制御できない範囲で起こる天候や他機、その他の状況に伴い、公示された要求水準から避けがたい逸脱が発生した場合は、考慮することができる。
- 気流の状況や操縦精度による逸脱の許容範囲は、下記の表のとおり。
検定内容
飛行実技検定内容
1 飛行前の運用
a. 航空機への慣熟と飛行準備
b. 付随事項の管理
c. 地上滑走
d. 無線通信
2 飛行法
a. 離陸
b. 旋回
c. 低速飛行
d. 失速
e. らせん降下
f. 計器飛行
3 航法
a. パイロット航法
b. 無線航法(PPLにない項目)
4 緊急手順
a. 予備着陸
b. 不時着陸
c. 着陸復行
d. 緊急手順
(6) 日中限定の飛行免許
日中限定の飛行免許
- 申請者が必要な夜間飛行時間をまだ取得していない場合は、免許は日中の飛行のみに限定される。しかし、免許の申請にあたって必要な合計の同乗教育飛行時間や単独飛行時間には影響しない。
- 必要な夜間飛行時間を取得すると、この限定事項は解除される。
- 夜間も飛行可能なヘリコプターの免許を保有している場合は、必要な夜間飛行時間は、次を含む5時間に減少される。
夜間飛行可能なヘリコプター免許保有者の必要夜間時間
- 2時間の夜間同乗教育時間
- 1時間の夜間単独飛行時間
- 1時間の同乗教育計器飛行時間
(7) 経験の転用
知識に関する経験の転用
知識に関する経験の転用
ヘリコプターの事業用以上の免許を保有する受検者は、次の経験が転用できる。
地上座学時間
地上座学時間の80時間のうち20時間分を加算できる。
筆記試験
飛行機によるCPL筆記試験(CPAER)の代わりに、カテゴリ変更のための筆記試験(CARAC)で60%以上の得点を取得すること。
飛行経験(飛行時間)の転用
飛行時間の転用
飛行機以外の種類の航空機での飛行時間を保有している場合は、それを適用することができる。
へリコプタ―CPL
CPLの取得に向けて行う「PPLに引き続き取得する場合の総飛行時間」の65時間分の訓練時間を含む、計100時間の飛行機での飛行時間があれば、取得要件となる総飛行時間の200時間は満足しているものとみなされる。
この場合、CPL取得に先立って飛行機でのPPLを取得しておく必要はない。
ヘリコプターPPL
- ヘリコプターでの50時間分の飛行時間が、200時間必要な総飛行時間に加算できる。
- ヘリコプターでの機長時間25時間分の飛行時間が、100時間必要な飛行機での機長時間に加算できる。
滑空機
- 滑空機での50時間分の飛行時間は、200時間必要な総飛行時間に加算できるが、100時間必要な飛行機での機長時間には加算できない。
3軸ウルトラライトプレーン
- 3軸ウルトラライトプレーンにおける25時間分の機長時間は、200時間必要な総飛行時間に加算できるが、100時間必要な飛行機での機長時間には加算できない。
ヘリコプターでの計器飛行時間
- 飛行機で10時間の同乗教育時間があれば、ヘリコプターでの計器飛行時間は、飛行機で必要な計器飛行時間として加算できる。
夜間飛行時間
- 飛行機でのPPLを取得後に夜間飛行証明を取得した場合、35時間の同乗教育時間と30時間の単独飛行時間があれば、同乗教育及び単独飛行における夜間飛行時間として加算できる。
- 夜間に飛行できるヘリコプターのPPLを保有している場合、飛行機での夜間1時間の同乗教育と1時間の単独飛行時間、及び飛行機での合計で35時間の同乗教育時間と30時間の単独飛行時間があれば、ヘリコプターで取得した夜間飛行時間は、合計の同乗教育時間と単独飛行時間として加算できる。
計器飛行時間の転用
計器飛行証明
CPLの取得に先立って、飛行機での計器飛行証明を保有している場合は、35時間必要な同乗教育時間のうちの20時間必要な計器飛行時間を満足しているものとみなされる。
(8) カナダ軍出身の受検者に対する経験の転用
カナダ軍出身の受検者に対する経験の転用
- カナダ軍の現役及び退役軍人で、飛行機の部内資格に適合した者は、地上座学に関する必要事項、筆記試験は満足しているものとみなされる。訓練課程に関する要求事項や技能に関する要求事項については、次の条件を満足すれば、修了しているものとみなされる。
カナダ軍の現役及び退役軍人の訓練修了条件
- 必要な飛行時間を指定されたとおりに満足していること
- 免許申請日から過去12ヵ月以内に、(4)で指定されているうち飛行機で10時間以上の飛行を実施していること
- CPL筆記試験の航空法の科目(ARPCO)で60%以上の得点を取得すること
(9) 外国人の申請者による経験の転用
外国人の申請者による経験の転用
- 取り決めのある国で発行された飛行機の事業用操縦士以上の免許を保有する申請者は、(4)で決められた必要な飛行時間を満足している場合、地上座学に関する必要事項は満足しているものとみなされる。
各種免許/資格の取得要件まとめ
https://flyinbc.com/cpl-requirement
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