全般
飛行実技検定で使用する航空機と発行の有効性
計器飛行証明は、飛行実技検定に使用する航空機の種類によって、発行される証明が有効になる航空機の種類が異なる。
飛行実技検定を多発機で実施した場合は、全飛行機に有効 (グループ1)
検定を多発中央推力機で実施した場合は、多発中央推力機のみに有効 (グループ2)
検定を単発機で実施した場合は、単発機のみに有効 (グループ3)
知識
次の科目を含む計器飛行証明の筆記試験(INRAT)において、70%以上の得点を取得すること。
- カナダ航空法(CAR)
- 計器飛行方式及び飛行要領
- 航空気象
- 計器
- 無線及びレーダーシステム
- 航法
飛行経験
50時間の機長としての場外飛行時間
ヘリコプターの時間も適用可能だが、最低10時間は申請する種類である飛行機の時間であること。
次の時間を含む40時間の計器飛行時間
20時間分は地上での計器訓練時間を適用可能
教育証明を保有する教官との5時間の同乗教育時間
検定を飛行機で行う場合は5時間分はヘリ等でなく飛行機での訓練であること
航空法425.21(9)で定める資格保有者との15時間の同乗教育時間
計器飛行状態における(模擬可)同乗教育による1回の場外飛行で、2つの異なる箇所における最低気象状態での計器進入を含むIFR飛行計画にしたがって実施する100NM以上の経路を飛行する航法訓練
技能
受検者は、以下のいずれかの検定に合格すること。
下記にしたがって行う飛行実技検定を機長として行い、合格すること。
IFR状況下における運航法について、PPLとCPLの取得基準にしたがって操縦技量検定(PPC)を行い、合格すること。
米連邦航空局による高等資格取得プログラム(AQP)に参加し路線運航評価(LOE)に合格した受検者は、上記の操縦技量検定(PPC)に合格したものとみなされる。
飛行実技検定を行う前提条件
通常の検定
飛行実技検定を実施する前に、検定官に次の各書類を提出する。
- 免許または許可証及び有効な航空身体適性
- 受検者が、規則第421条「飛行搭乗の許可、免許と資格」の項目の第421.14項に定められる必要条件を満足していることの証明
- カナダ航空法425.21(9)により認定される者により署名され、次の内容を含む推薦書
- 受検者が必要な訓練を実施して飛行経験(飛行時間)を取得したこと
- 受検者が検定を受検するに際して十分な技能基準に達していると認められること
更新のための検定
更新のための飛行実技検定を実施する前に、検定官に次の各書類を提出する。
- 免許または許可証及び有効な航空身体適性
- 受検者が、規則第421条「飛行搭乗の許可、免許と資格」の項目の第421.49項に定められる必要条件を満足していることの証明
部分再検定
先に実施された実技検定の結果により部分再検定となった場合、検定官に次の各書類を提出する。
- 前回失格した検定の飛行実技検定報告の写し
- 免許または許可証及び有効な航空身体適性
- 受検者が、規則第421条「飛行搭乗の許可、免許と資格」の項目の第421.14項に定められる必要条件を満足していることの証明
- カナダ航空法425.21(9)により認定される者により署名され、次の内容を含む推薦書
- 受検者が必要な訓練を実施して飛行経験(飛行時間)を取得したこと
- 受検者が検定を受検するに際して十分な技能基準に達していると認められること
更新のための検定の部分再検定
先に実施された更新のための実技検定の結果により部分再検定となった場合、検定官に次の各書類を提出する。
- 前回失格した検定の飛行実技検定報告の写し
- カナダ航空法425.21(9)により認定される者により署名され、次の内容を含む推薦書
- 受検者が失格した課目に対する追加の補備訓練を受けたこと
- 受検者が合格できることを認められること
飛行実技検定に必要な航空機と装備品
- 検定官は、受検者が次を提示することを確認する。
- 検定官が予備席に着席して検定する場合は、以下の条件による。
- 耐空性基準に基づいて設置された安全帯が使用できること
- 航空機の計器、無線、航法機器への視界が遮断されないこと
- 機内交話装置や対地上及び対航空機無線が装備され聴取できること
- 飛行実技検定は、レベルA以上の認定シミュレーターで実施することができる。
飛行実技検定の実施
飛行実技検定を実施する際、検定官は以下の事項を実施する。
- 受検者に対して、機長としての要務内容を確認できる位置から飛行機を飛行させ、運航に2名を要する型式の航空機である場合を除いて、別の搭乗者の有無にかかわらず検定を行っていくことを要求する。
- 上空課目実施前に飛行空域の安全確保のために行う適切で効果的な見張りを実施しないなど、不安全なエアマンシップや危険飛行が受検者により行われた場合には、検定を中止する。
- 検定中の技術に関する教示や指導は控える。
- 次の場合を除いて、飛行機の運航には参加しない。
- 特定の所要課目を検定するために必要が生じた場合
- 受検者がフードを着用している場合などに、安全を確保する操縦士としての責任を果たす必要がある場合
- 安全確保のためや、他機に対して受容できない遅れの回避のためにやむを得ず中断、介入をする場合
- トラフィック環境や、2回の計器進入で使用する航空施設について、検定を実施するのにより適した環境の選定に努める。
飛行実技検定での要求水準
- 検定官は、受検者の次の知識と技能を評価する。
- 要求水準を満たす必要な飛行課目を実施すること
- すべての運動を円滑かつ精確に完了させること
- 健全な判断と良いエアマンシップを示すこと
- 航空に関する知識を正しく示すこと
- 手順や運動の正しい実行をもって疑う余地なく常に航空機に習熟していることを示すこと
- 受検者が制御できない範囲で起こる天候や他機、その他の状況に伴い、公示された要求水準から避けがたい逸脱が発生した場合は、考慮することができる。
- 気流の状況や操縦精度による逸脱の許容範囲は、下記の表のとおり。
高度保持 | 通常飛行時 進入時※ | ±100 ft +要求どおり/-0 ft |
---|---|---|
針路保持 | 通常飛行時 | ±10° |
速度保持 | 離陸及び進入時 通常飛行時 | +10/-5 kt ±10 kt |
トラッキング | VOR/LOC/LOC BC/ILS/RNAV NDB | ½偏差 ±5° |
※進入時:FAFやビーコン通過、ステップダウンフィックスなどの中間及び最終進入の各段階に関連したIFR最低高度を適用する。特にMDAにおける正確な高度保持が要求される。
検定内容
a. 飛行計画
b. IFRに運用に関する知識
c. 飛行準備
d. 航空交通管制許可
a. 出発
b. エンルート
c. 到着
d. 待機
a. 非精密進入
b. 精密進入
c. 進入復行
d. 着陸への移行
a. エンジン故障(多発機)
b. システム不具合
c. 緊急手順
国防省出身の申請者に対する経験の転用
- 「飛行経験」の項で求められる飛行時間は、軍における同等の訓練が適用される。
- カナダ軍出身者は、「技能」の項で示される飛行実技検定について、次の条件により満足しているものとみなされる。
- カナダ軍における部内の操縦資格に到達していること
- 適切な飛行機の種類と型式において、カナダ軍における制限のない計器飛行証明を保有していること
- 必要な飛行経験を満足していること
外国からの申請者に対する経験の転用
「飛行経験」の項で求められる飛行時間は、カナダ航空法第5章で規定する「飛行訓練」と同等の資格を保有する外国における飛行教官によって行われた訓練が適用される。