2013年発効の第17版「学習参考ガイド」をもとに、記事を作成しています。
なお、FAAの書き換えの情報については割愛しています。
計器飛行証明の筆記試験について
通常試験
各科目で英語またはフランス語で出題される択一式の問題に回答していきます。
問題数や制限時間、合格基準は次の表のとおりです。
米国→カナダへの書き換え試験
米国FAA方式の計器飛行証明を保有している場合は、次に示す1科目の受検のみでよいとされています。
この試験科目は、FAAとTCでの主にIFR飛行における航空法や各種要領の違いに焦点を当てた問題として作成されます。
受検資格
カナダ航空規則(CARs)の第401.13(1)項では、筆記試験受検の条件として、次に示す条件が求められています。
筆記試験の受検に必要な条件
- 航空身体適性
- 身分証明証
受検者の訓練に責任を有する飛行教官による推薦状- 飛行経験
計器飛行証明の受検前提条件
- 計器飛行証明の受検者は、20時間以上の計器飛行時間もしくは地上訓練時間を有していること
筆記試験内容
科目は全部で4つに分かれています。
筆記試験(INRAT)の科目
- 航空法と各種手続き
- 航空気象
- 飛行計器 / 航法無線機器
- ヒューマンファクターとエアマンシップ
第1部: 航空法と各種手続き
一般規定
一般規定
序説
101.01 序説(定義)
個人の免許等と訓練
搭乗員の許可証 / 免許証 / 資格・証明
一般
401.03 搭乗員の許可証 / 免許証 / 資格・証明の保有要件
401.05 最新化する要件
計器飛行証明
401.46 計器飛行証明と機体の規格分類
401.47 計器飛行証明の資格範囲
401.48 計器飛行証明の有効期間
運航全般と飛行方式
空域
空域の構成 / 分類 / 使用
601.01 空域の構成
601.02 空域の分類
601.03 トランスポンダー空域
601.04 クラスF特別使用制限(アドバイザリー)空域でのIFRまたはVFR飛行
601.05 クラスA~E空域とクラスF特別使用制限(アドバイザリー)空域におけるIFR飛行
運航と飛行方式
一般
602.08 可搬式電子機器
602.31 航空交通管制指示と管制許可の遵守
602.34 巡航高度と巡航フライトレベル
602.35 高度計規正地域における設定と運用手順
602.36 標準気圧地域における高度計規正と運用手順
602.37 両地域間の移行地域での高度計規正と運用手順
運用および緊急装備品の運用と要件
602.60 動力機に対する要件
飛行準備 / 飛行計画 / 飛行旅程
602.71 飛行前情報
602.72 気象情報
602.73 飛行計画/旅程の提出要件
602.74 飛行計画/旅程の内容
602.75 飛行計画/旅程の提出
602.76 飛行計画内の変更
602.77 到着報告の提出要件
602.79 航空機報告の遅延
飛行前と搭載燃料要件
602.88 必要搭載燃料量
飛行場またはその付近における運航
602.96 一般
602.97 義務周波数(MF)空域内の非管制空港におけるVFRとIFRの運航
602.104 IFR機が非管制飛行場に進入および着陸する際の通報要領
カナダ運輸省(TC)では、学生の受検データを元に、この分野では特に「進入中に主要な進入地上施設や機器が故障した場合にとるべき手順」に関する知識が弱いと分析しています。
計器飛行方式 (IFR)
602.121 一般要件
602.122 代替飛行場要件
602.123 代替飛行場の天候
602.124 障害物を回避可能な最小高度
602.125 エンルートIFR位置通報
602.126 離陸における最低気象条件
602.127 計器進入
602.128 着陸のための最低気象条件
602-129 進入禁止一般
無線通信
602-137 IFR飛行における双方向無線通信機の故障
緊急通信と安全
602.143 緊急無線通信周波数
602.144 インターセプト信号 / インターセプトと着陸指示
602.145 防空識別圏 (ADIZ)
602.146 ESCATプラン
航空機に関する要件
航空機に搭載する装備品に関する要件
605.18 動力機のIFR飛行
605.30 防除氷に関する装備品
計器飛行関係
計器飛行関係
航空交通業務
- 航空交通管制 (ATC) とアドバイザリー業務
- 飛行業務局 (FSS) / 飛行情報センター (FIC)
- 管制許可と管制指示
- 無線通信要領 / 出発 / 巡航 / 到着
- レーダー業務 出発 / 巡航 / 到着
- トランスポンダー運用
- 後方乱気流の待機間隔
- 低減視程運用
カナダ空域
- 低高度管制空域 / 種類 / 規模 / 飛行方式
- 空域の分類
- 特別使用空域
飛行経路と飛行計画
- 刊行物と航空図の要件と使用法
- 所望飛行経路と飛行計画に影響する要素
- 航法計画とフライトログ
- 高度選定
- 山岳地域におけるIFR飛行
- 飛行機とヘリの燃料要件
- 離陸 / 着陸 / 代替飛行場の気象要件
- ノータムの分類と読み方
- 飛行コンピューターの使用法
- カナダエアパイロットの活用と定義
出発要領
- 飛行場情報放送業務 (ATIS)
- レーダー出発
- 非レーダー出発
- 標準計器出発 (SID)
- 非管制飛行場での出発
- 障害物の回避
- 視程要件と滑走路視距離 (RVR)
カナダ運輸省(TC)では、学生の受検データを元に、この分野では特に「非管制空港からのIFR出発における飛行計画と捜索救難」に関する知識が弱いと分析しています。
巡航要領
- 位置通報
- 承認限界
- 飛行計画の変更
- 高度変更(MEA / MOCA / MRA / GASA)
- TASの維持
- フィックスとウェイポイント
- IFR飛行での1,000フィートのオントップ
- 管制空域から非管制空域へのIFR飛行
- 非管制空域から管制空域へのIFR飛行
待機要領
- 待機許可
- 進入
- 標準待機経路
- 非標準待機経路
- 時間
- 速度制限
- 距離測定機器 (DME)
- 往復
進入要領
- 飛行場情報放送業務 (ATIS)
- 標準到着経路 (STARs)
- レーダー誘導
- 速度調整
- 進入への移行
- 初期進入と方式旋回
- 直線進入
- 直線進入の最低気象条件
- 最終進入
- 精密進入(ILS / PAR)
- 非精密進入(NDB / VOR / DME / LOC / RNAV / GNSS)
- 安定一定降下角進入
- 目視 / 視認進入
- 周回進入
- 進入復行
- 非管制飛行場でのVFRとIFR交通の混合
- 障害物回避間隔と最小安全高度 / 最小区域高度 (MSA)
- 温度補正
- 視程要件による進入禁止
カナダ運輸省(TC)では、学生の受検データを元に、この分野では特に「IFR到着要領における管制空域からの降下」に関する知識が弱いと分析しています。
カナダエアパイロット (CAP) の総則の定義
- 図表の凡例(進入 / 飛行場 / 灯火 / 記号)
- 高度修正
- 運用限界基準
- 航空機の種類
緊急事態
- 緊急事態の宣言
- トランスポンダーの使用
- 許可範囲からの逸脱
- 機器の不具合
第2部: 航空気象
航空気象
気象の重要性
- 利用可能な気象業務
- 気象を決定する要素
- 高度計の気象的側面
- 気温
- 水分
- 安定と不安定
- 雲と地表層
- 風
- 空気塊
- 前線の種類と関連気象
着氷
- 結成と気象要素
- 種類と強度
- 機体性能への影響
- 飛行中の予防と回避
乱気流
- 機械的
- 温度的
- 前線性
- ウィンドシア
- 飛行中の予防
雷雨
- 発達条件
- 構造
- 分類
- マクロバーストとマイクロバーストの危険性
- スコールライン
- 飛行中の予防
航空気象通報
- METAR(オート) / SPECI(オート)の種類と時間
- 読み方
- パイロット通報 (PIREP)
航空気象予報
- 発行時間と有効期間
- 読み方
- 局地予報図 (GFA)
- 飛行場周辺予報 (TAF)
- 上層風 / 上層気温予報 (FD)
- 飛行中の重大気象現象警報メッセージ (SIGMET)
気象図と予報図
- 地上天気図
- 700mbまでの上層解析図
- 地上予報図
- 700mb~400mbの重大気象現象予報図
- 発行時間と有効期間
- 記号と読み方
気象判読
- 所望の経路や高度に影響する気象システム
第3部: 飛行計器 / 航法無線機器
飛行計器 / 航法無線機器
ピトー静圧系統
- ピトー管
- 静圧孔
- 防氷系統
- 代替静圧系
- 供給源と誤差
- 閉塞
ピトー静圧系計器
ジャイロシステムと計器
- 原理
- 動力源
- 誤差
マグコンパス
- 原理
- マグコンパスの使用法
- 誤差
VHF全方向式無線標識 (VOR)
- 使用可否の点検
- 読み方と使用法
- 制限
自動方向探知機 (ADF)
- 使用可否の点検
- 読み方と使用法
- 制限
計器着陸装置 (ILS)
- 機上と地上の基本構成品
- 作動原理
- 制限
- ローカライザーのみの運用
全球測位衛星システム (GNSS)
- 地上と機上のGPS基本原理
- 制限
- 装置
- 読み方
- RAIMと探知誤差とその除外
- 広域補強システム (WAAS)
トランスポンダー
- 作動原理
- 用語と使用法
その他の系統の基本原理と使用法
- 距離測定装置 (DME)
- VORタカン施設 (VORTAC)
- 広域航法 (RNAV)
- 無線磁気指示器 (RMI)
- 水平方向状態指示器 (HSI)
- 無線 / レーダー高度計
- 飛行方向指示器
- 一次 / 二次監視レーダー
- 機上気象レーダー
- ストームスコープなどの発雷探知装置
第4部: ヒューマンファクターとエアマンシップ
ヒューマンファクターとエアマンシップ
航空生理
- 低酸素症と過呼吸
- 視覚と前庭錯覚を含む方向感覚とその喪失
- 睡眠と疲労
航空心理
- 意思決定要領
- 意思決定に影響を与える要素
- 状況認識
パイロットと装備品や物件との関係性
- ADF / VOR / RMIなどの操作と表示(読み取りと操作の間違い)
- コックピットでの可視性と座席位置
- 航空図、チェックリストとマニュアルの正しい使用法
- 自動化の利点と危険性
操縦可能状態での地表へ墜落 (CFIT)
スレットエラーマネジメント (TEM)
- IFR飛行におけるスレット (脅威) とエラー (失策)
TC推奨参考教材
TC推奨参考教材
- Canadian Aviation Regulations (CARs)
- Transport Canada Aeronautical Information Manual (TC AIM) (TP 14371)
- Canada Air Pilot (CAP) – CAP General section
- Canada Flight Supplement (CFS)
- Enroute Low/High/Terminal Charts
- Human Factors for Aviation – Basic Handbook (TP 12863)
- Air Command Weather Manual (TP 9352)
- When in Doubt … Aircraft Critical Surface Contamination Training (TP 10643)
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