カナダBC州の認定フライトスクールのある5つの飛行場について、公表されている情報をベースとして、「どう訓練に適しているか」を僕なりの分析でまとめてみました。
「思います」調のところは、あくまでも私見になりますので、参考程度にご覧ください。
アボッツフォード空港(CYXX)
概要
アボッツフォード空港は、メインランドの下流地域でバンクーバー国際空港に次いで2番目に大きい空港です。2018年の統計では、年間利用客数84万人で、年々増加傾向にあります。
国内線は定期便が多数就航しており、季節に応じた国際線も運用される国際空港です。
位置関係
バンクーバーのダウンタウンからは65kmほど、高速道路で1時間ほどの距離です。
BC州の飛行場の中では、アメリカ国境にもっとも近い位置にあります。
飛行場標高194フィートと平地にしてはやや高く開けたところに位置するため、風がやや強くなることが多い気がします。
グレン・バレー訓練空域に管制圏が隣接しており、進出のための時間を節約できるのが魅力的です。
訓練環境
タワーありの管制飛行場、滑走路は長めの2本が「∠」型に配置されています。
管制圏は広めで東西に伸びたいびつな形状で、一部は国境を越えてアメリカまで張り出しています。
日本では考えられませんね。
ほぼ全方向に出発・進入ができることと、やや標高もあり周囲に住宅地も多いことから、VFRでも進入と出発の方式が細かく定められています。
日本だと地方空港でも当たり前といえますが、気象情報として1時間に1回アップデートされるMETARやTAFがオンラインで利用可能なのは非常に便利です。
定期便の就航や様々な用途の航空機がベースとして利用しているので、他機を意識した飛行、異なる機種への配慮、後方乱気流への注意などについて常に考慮する良い訓練環境ではないかと思います。
CAT1のILS計器進入システムやNDB(Non-Directional Beacon)アプローチやSID(Standard Instrument Departure)が設定されており、計器出発・進入訓練が可能です。
アボッツフォードの天候については、夏季は平均気温約24℃と比較的高めで、冬季は0℃とやや低くなります。平均降雨日数は11月から3月ごろまで冬季の長い期間で月20日程度で、降水量は月約250mmと雨が多い印象です。降雪に関しては、12月から1月で月3日程度ですが、最も多い1月では積雪が18cmに達します。
単発機の取扱いはセスナがメインで、パイパー・チェロキーの扱いも数機程度あるようです。
飛行場のその他の情報
夏季には世界的に有名な「アボッツフォードエアショー」が開催されます。
その他にもイベント施設のTRADEXが空港ターミナルの正面にあり、週末には様々なイベントが開催されるため休日も楽しめそうです。
空中消火などを行うConair社が使用している飛行場で、この会社は元軍用機ベースの機体などを多数利用しているので、個人的には外からエプロンを見ていても楽しい所でもあります。
何より、いわゆるBC州の下部流域地方では車用のガソリンが最も安いのが特徴です。
バンクーバーのダウンタウンあたりと比較するとリッターで10~15セントの違いがあることも珍しくありません。
空港近くにカナダ運輸省(TC)の民間航空局の事務所があるのも魅力的です。
個人的な飛行場の特色の分析
バウンダリー・ベイ空港(CZBB)
概要
バウンダリーベイ空港は、航空機の移動数実績でみた統計(2019年)では、カナダで5番目に多忙な空港です。上位4空港は、すべて国際空港で、トロント→バンクーバー→モントリオール→カルガリーの順で、その中に訓練飛行場という位置付けのバウンダリー・ベイ空港がこれに次ぐということで、いかに訓練機が多いか理解頂けると思います。
年間飛行数でみると、2019年は約17万5000機で、BC州だとアボッツフォード空港が9位の約13万7000機でこれに続きます。
定期便の就航はありませんが、バンクーバー国際空港に最も近い地方空港として、チャーター機などのジェット機の運用も稀にあります。
位置関係
飛行場標高6フィート、フレイザー川下部流域に広がる低地帯のデルタにあります。
他の飛行場に比べて、YVRやバンクーバーのダウンタウンに最も近い位置にあります。
それもそのはず、戦時中にカナダ空軍の訓練用飛行場として使用されていた空港を、YVRでの訓練機増加に伴って、分校的な位置付けで1987年に開港された経緯があるからです。
正式には「バンクーバー/バウンダリー・ベイ空港」とされ、飛行情報を照会する時は「B」ではなく「V」で探すことになります。
メインランド下流域内の飛行場の中では、洋上部に最も近く、他にもバンクーバーの都市部やアメリカ国境にも近いため、多様な地形環境にアクセスしやすい位置にあると言えます。
訓練エリアまでの距離がやや離れているため、毎フライトで移動に時間がかかります。ただし、移動中もラングレー管制圏の通過など、訓練要素はしっかりありますので、無駄にはなりません。
空港へのアクセスでいうと、デルタにはスカイトレイン(BC州の公共鉄道)が通っていないので、電車の利用はできません。公共バスか自家用車、自転車での通学になります。
空港周辺は住宅地ではないため、自転車だと近くても20分圏内になりそうです。
バスについては、空港の学校区域近くまでバス停がありますが、そこまで頻繁な時刻計画にはなっていませんので、よく気を付けないと、最寄りの町のラドナーというところまで歩くことになる人もいます。。車を持つかバスを乗り継げば、バンクーバーに住みながら通学も可能なのが魅力的です。
訓練環境
タワーありの管制飛行場です。2本の滑走路が「▽」のように配置されています。(右の辺にあたる部分は個人所有機用エプロン)
管制圏は矩形で、東側にあるデルタ・ヘリテージ飛行場のセクターと高度制限が異なる2部で構成されています。北西端はYVRの管制圏と接しており、一部が削れた形状です。こちらも、日本の感覚ですごく珍しく感じる管制圏です。
大きな特色である訓練トラフィックの数ですが、多機を意識した安全で効率的な飛行テクニックを自然と身に付けられる環境ではあるものの、その裏返しとして多忙なトラフィックにより待機させられることも多くあります。
進出・進入要領はやや複雑で、隣接したヘリテージ飛行場との安全確保のための高度制限などがあります。
METAR/TAFが出されないので、飛行計画の際に気象現況を確認する場合、ATISを電話で聴取する必要があるのがやや不便です。
計器出発、進入方式が設定されていて、SIDもあり、YVR(VOR/DME施設)を利用したVORアプローチも実施可能で、計器訓練の過程に移行しても無駄なく訓練が実施可能です。
RWY07とRWY31にだけPAPIが設置されています。目線の高さは中型機用の25フィートで設定されています。
デルタの天候については、夏季の平均気温は約22℃とやや低め、冬季は7℃と温暖で、メインランド内では最もマイルドな天候の部類に入ります。降雨も最も多い11月~1月でも降水量が月で約140mm程度と、アボッツフォードやピットメドウズに比べるとかなり少ない部類です。
飛行場のその他の情報
夏季には無料で入場可能なエアショーが毎年開催されます。
飛行場西側に生ゴミ処理工場があり、グーグルマップの衛星写真にも写り込むほどの大量の鳥が周囲を飛んでいます。そのため、東向き飛行時のファイナルと西向きでのアップウィンドで鳥を回避するテクニックが求められます。周辺はやや生ゴミの臭いがする地域で最初は驚きますが、多くの人はすぐに慣れてしまいます。
個人的な飛行場の特色の分析
ラングレー空港(CYNJ)
概要
ラングレー空港は、戦後にはカナダ空軍用の基地として使用された時期もありましたが、1960年代からは現在のように訓練飛行場として使用されています。小型練習機の訓練向けの飛行場です。
現在のタワーがある横にタワー付きの新空港ターミナルビルを建設中です。
位置関係
飛行場標高34フィートとなるなだらかな平地にあり、メインランドの下流域にいくつかある飛行場のほぼ中心に位置しています。そのため、西のヴィクトリア方面や東のチリワックなどにも十分アクセスできる位置関係にあります。
訓練エリアに近いのも魅力です。グレン・バレー訓練エリアには離陸後すぐに到着出来ます。
バンクーバー市街までは車で1時間弱の位置にあります。
空港までの公共手段でのアクセスとしては、バスが利用できます。スカイトレイン(電車)を利用する場合は、最寄駅までバスで45分になりますので、電車との併用はあまり現実的ではありません。
このバスも、運行ルートがやや限りられていますので、バス通学を前提で考える場合は、居住地域もある程度考えた方がよさそうです。
居住地域はサレーやオルダーグローブであればバス通学圏内です。その周辺にも比較的住宅地が多いので、近隣であれば自転車通学も視野に入るかと思います。
訓練環境
タワーありの管制飛行場で、滑走路2本が「フ」の字で配置されています。滑走路は狭く短いので、小型機にとっては良い訓練になると言われるジェネラルアビエーションメインの飛行場です。
他にも、非舗装の草地滑走路も飛行場内にあり、多様な訓練に対応できるようです。
管制圏は3NMサークルで、高度1900フィートまでです。
定期便の設定はありません。以前はハーバーエアの定期航路になっていましたが、2011年に利用客数の減少に伴い廃線となっています。
ヘリの学校が2校所在しており、14のヘリパッドなどを含め、多様なトラフィックが飛び交う環境での訓練で、鍛えられます。
METAR/TAFが出されないので、飛行計画時はATISを電話で聴取する必要があります。
進入・進出要領は比較的シンプルですが、南側と西側方向への離陸の場合は、隣接した住宅地を回避するため、離陸後にすぐに左旋回が必要なルールになっています。そのため、サーキット経路が矩形にならずに歪みが生じてしまいます。
RWY01と19のファイナルにはかなり近い所を高速道路が通っています。
計器進入方式はRNAVアプローチしか設定されておらず、実質計器での進入・出発訓練は独自には行えません。しかし、近隣の飛行場で十分に訓練可能です。
RWY01と19でPAPIが利用可能で、視点の高さも小型機用の10フィートで設定されています。
単発機の取扱いはセスナがメインで、パイパー・チェロキーの扱いも数機程度あるようです。
ラングレーの天候は、夏季は平均気温約23℃、冬季は5℃と比較的マイルドです。11月~2月で降水量は月で約200mmとやや多めです。
飛行場のその他の情報
管制圏内の北西部はグライダーエリアになっています。
ダウンタウンまでは車で1時間弱、個人的にはラングレーの町はこじんまりしていて好きです。COSTCOがあって、しかもこの店舗は会員価格で安く給油できる「COSTCO GASOLINE」を併設してるのが個人的におすすめポイントです。
飛行場に「Canadian Museum of Flight」という航空博物館が併設されているのも魅力的です。
個人的な飛行場の特色の分析
ピット・メドウズ空港(CYPK)
概要
ピット・メドウズ空港は、1960年代に開港したジェネラル・アビエーション用の空港です。カナダ国内でも航空機の移動数で17位に入る多忙な空港で、年間で110,000機以上の離発着が行われます。バウンダリー・ベイ空港が開港する1980年代までは、メインランド下流域で最も交通量の多い飛行場でした。
位置関係
フレイザー川の流域の低地に設置された飛行場で、飛行場標高は12フィートです。
飛行場の北側には、コキットラム山やゴールデン・イアーズ山がそびえており、メインランド下流域地域の飛行場内では山岳部に最も近い位置にあります。そのため、山岳部の天候の影響を受けやすい飛行場で、降水量も多くなっています。
グレン・バレー訓練エリアにも近いですが、飛行場の北側にあるピット訓練エリアは、どの飛行場からも近い位置にあり、進出も容易です。
橋や島など、周囲にある目標物も容易に視認でき、この付近では最も目標が取りやすく探しやすい飛行場と言えるでしょう。
バンクーバーやその近くの地域に住みながら、電車とバスを利用した通学も可能な圏内にあります。ダウンタウンまでは車で40分ほどで、鉄道ではウェスト・コースト・エクスプレス線の駅が近くにありますが、駅から歩くと40分ほどの距離になります。Canadian Flight Centreのある位置だけは、もう少し駅やバス停寄りです。
バス利用もやや不便で、多くの学校などの格納庫が密集するエリアまでは、最寄りのバス停から30分ほど歩かねばならない距離です。
飛行場の東側のピット・メドウズ市街やメープル・リッジであれば、自転車で30分圏内に住むことも可能ですが、公共交通機関がやや不便な立地なので、自転車で頑張る人以外は、車の入手が必須ではないかと思います。
訓練環境
タワーありの管制飛行場で、滑走路が3本「ユ」の字で配置されています。東西に延びる南側の主要滑走路は、2017年に拡張工事が行われ、滑走路距離が延伸されました。
管制圏は3NMサークルで、高度は上限2500フィートまであります。
METAR/TAFが出されないので、飛行計画時はATISを電話で聴取する必要あります。
飛行場に独自のVORを保有しているため、航法に役立てられるだけでなく、計器進入方式としてのVORアプローチも設定されています。SIDも設定されているため、計器飛行訓練のフェーズに入っても効率的に訓練を行うことができます。
RWY 08Rと26Lに目線の高さ25フィートで中型機用のPAPIが設置されています。
ピットメドウズの天候は、夏季は平均気温約24℃とやや高めな上に、冬季は-1℃と低めです。周辺の飛行場の環境と比べると寒暖差が大きめです。また、降水量は最も多くなる11月で約275mmと非常に多めです。
飛行場のその他の情報
フレイザー川にはフロートプレーン用のドッグも併設されています。
チャーター機を運行する航空会社も多数利用しています。
訓練機とスカイダイビング用の航空機の離着陸飛行場としても使用されており、管制圏内にはパラシュート降下地点が設定されています。
伝統ある「Aero Club of BC」というクラブの建物があります。
屋外部分もある展望デッキで、滑走路で訓練する航空機を眺めながらソーシャライズできるという環境があるのは、魅力的と言えます。
個人的な飛行場の特色の分析
ヴィクトリア国際空港(CYYJ)
概要
ヴィクトリア国際空港は、利用乗客数では統計上カナダで11番目に忙しい空港です。この他では、アボッツフォード空港が17位にランクインしています。
バンクーバー島内で唯一の認定校であるVictoria Flying Clubが所在しています。
位置関係
サーニッチ半島の中ほどの低い丘陵地上に設置された飛行場で、飛行場標高64フィートです。
島内にあるので、メインランドへ移動する場合は、BC州の公共フェリーを利用するほかなく、約17ドルで移動できます。ヴィクトリアのダウンタウンまでは、バスで1時間ほどの距離になります。空港近くあるシドニーで生活すれば、車はなくても十分生活できそうです。
広い訓練エリアが西側に南北にあり、洋上部、山岳部、湖畔上空など風光明媚なあらゆる地形を毎フライトで飛行できるのが非常に魅力的です。
訓練環境
タワーありの管制飛行場で、3本の滑走路が「⚹」(スターマーク)型に配置されます。そのうち、2本の滑走路にサーキットの経路が設定されています。
管制圏は7NMのサークルですが、アメリカ国境と接する部分だけ削られています。
気象情報として1時間に1回アップデートされるMETARやTAFが利用できるのが便利です。
国際空港として運用されており、IFRトラフィックも多いため計器進入・出発方式の設定が充実しています。ILSやNDBの計器進入も訓練でき、SIDも設定されています。
RWY14と32、RWY09と27に目線の高さ25フィートで中型機用のPAPIが設置されています。
使用可能エリアの選定は選択肢がありますが、エリア到着までにはやや距離があります。
また360°全方向からの進入また進出を行うため、進出や進入も要素が多く訓練になると言えます。
単発機の保有機がC-172型に限られるので、小柄な方にとっては、より訓練費の節約できるC-152に乗れないのは少しもったいないかもしれません。しかし全機同一機種ということで、自分が乗れる飛行機体も多くなるのと、どの機体で訓練をしようか初めに悩まなくてもいいというところはいいかもしれません。
山の東側で山影に位置しているため、海洋部の天候の直接の影響が少ないといえます。そのため、夏季は平均気温が約17℃とかなり涼しく過ごせる一方で、冬季は4℃と暖かく、年間を通じて非常にマイルドな気温です。降水や降雪については、11月~1月が降水が最も多くなる月で降雨日数は月平均18日程度ですが、降水量は月約150mmと少なめです。平均降雪日数も、多くなる12月と1月でも月2日程度、積もっても約13cm程度という全体的に温暖な気候が特色です。
飛行場のその他の情報
BC州の州都にもなっているヴィクトリアには、国定史跡に指定される公園や庭園、建築物など多数の美しい場所があり、休日に天気の良い日に訪れたいところがたくさんあります。
シドニーに住めば北端にあるBCフェリーの港であるスワーツ・ベイ港にもアクセスしやすく、メインランドへの移動も比較的容易です。しかし到着地がツワッセンになるので、バンクーバーまで移動する場合はそこから更にバスとスカイトレイン(電車)を乗り継ぐ必要があります。
カナダ運輸省のオフィスが飛行場内に設置されているのが事務手続き上はありがたいポイントになります。メインランドにあるどの飛行場よりも近い位置になります。
BC州の航空博物館である「BC Aviation Museum」が飛行場内にあるのも魅力的です。
個人的な飛行場の特色の分析
項目別の分析
通学の交通手段
自家用車
カナダでは、買い物や移動など生活に自動車利用が前提とされていますので、間違いなく便利で最強の移動手段です。唯一の難点は、コストです。。ただし、日本ほどのガソリン代はかからないので、レジャーなど通学以外の生活全体も考えると、欲しいところです。
保有コストは、車種や使い方に大きく左右されますが、月で300ドルくらいではないかと思います。
本ブログでは、数少なく厳選した記事ジャンルの中に「CAR LIFE」というものを入れるほど、車購入をオススメしています!(楽しく充実した生活を送ることが何よりも重要だと考えています。)
電車やバスなど公共交通手段
電車だけで通学できそうなのは、ピット・メドウズ空港ぐらいですが、駅からの距離があり不便です。それ以外は、どこも公共交通手段を使用するとなれば、バス利用が必要となってきます。
BC州には電車とバス共通の定期券があります。電車だけ、バスだけというわけでなくどちらも使えるものですが、3つのゾーン制で構成されている中の、いくつのゾーンをまたいで移動するかによって金額が変わってきます。
2020年2月時点で、1ゾーン分の定期券が月額で93ドルですので、1回2.4ドルの利用を単純計算で20往復分を利用すると元が取れる計算になります。通学だけでなく、休日の利用も考えている人には嬉しいシステムですが、ほぼ毎日利用しないと元が取れないので、個人的には一定額をチャージしておいて、毎回タッチして利用するのでもいい気がします。
自転車
日本のように10,000円を切るような感覚の自転車はなかなか売っていませんが、個人売買を利用して安く入手したり、当初だけ車と併せて持っている人から借りるなどで事が足りることがあります。
初期投資以外ほとんどお金がかかりませんので、コスト的には間違いなく最強の乗り物といえますが、目的地の比較的近くに住む必要があるので、これ前提で住む場所を決めていくのはちょっともったいない気がします。しかも雨が多いので、雨の日はキツいですね。(そして寒い)
何よりも、90km/h近くの速さで走る車の横すれすれを走らなければならないときに、危ないと思うこともあります。パイロット学生の荷物は往々にして大きくなることを忘れてはいけません。あとカッコ悪くても泥除け着用を推奨します。。
転校の可能性
基本的に、どこまでの免許をどのように取得していく計画なのかは人それぞれです。もしエアラインなどの就職に向けた免許取得を計画しているのであれば、多発機による計器飛行証明(MULTI-IFR)までの取得が必須になります。
学校によっては認定校でも、多発機を所有していないことがあります。多発機の保有状況(カナダ政府による認定校FTUの登録情報からの抜粋)については、下記の記事でまとめています。
もし必要な機体や取得免許コースを設置していない学校で訓練をはじめ、途中で進路を変える必要がある場合は、当然ながら転校の必要が生じます。
この場合、もし同一飛行場内に複数の学校があれば、飛行場を変えることなく転校先を選定する選択肢があります。しかしこれが少ない場合は、飛行場ごとの移動が必要で、場合によっては住む場所を引っ越さなければならなかったり、バイト先を変えたりと訓練以外に大きなストレスになる可能性があります。
同一飛行場であれば、各飛行場独自の飛行法であるコースルールは変わることはありませんので、学校の独自のルールにだけ気を付けていけばよいでしょう。
同じ機体の種類を保有しているとは限りませんので、そこも注意が必要です。
例えば、セスナ152でずっとやってきたけど、他の学校では172型しか取扱いがないといったこともあり得ます。保有機体種類についても上記の記事でまとめていますので、ご覧ください。
転校することはあまりオススメしません。
それは、学生ビザで滞在する方の滞在の根拠に影響するためです。手続き自体はオンラインで比較的簡単に申請できるようですが、飛行訓練の時数や内容について、学校卒業後に就労をする場合にPGWP制度を利用する場合などは、学校間での情報共有を密にしてもらう必要があります。
同一飛行場内の学校であれば、それも比較的容易ではないかと考えています。詳しくは各学校に問い合わせてみてください。
METARとTAFとATIS
METARやTAFが利用できる飛行場は何が便利かというと、これが出されることによって、現在の飛行場付近の「気象に関する紛れもない事実」が分かります。
METARは、特殊な天候の変化がなければ、通常は1時間ごとに更新されます。内容は、風向風速、視程や降水現象の状況、雲の高さや種類や層の数、気圧などです。
さらに、TAFはあくまでも「予報」ですが、今後の飛行場周辺の天候変化について、上記のMETARと同じ項目を数字で示してくれます。
このMETARとTAFが出されていない飛行場では、飛行場情報を無線で一斉放送してくれるサービスの「ATIS」を聴取することで、METARと同じ情報を得ることができます。
ただし、エアバンドで指定周波数に合わせて聴取する必要がありますが、このほかにもカナダでは、電話を掛けることで携帯電話でATISを聴取できるシステムもあるのです。不便さはきちんと別のシステムで補われていますね。
滑走路本数
風向きに応じて利用できる滑走路が2倍3倍と増えることになるということで、訓練機の横風制限に対する余裕が増えて、訓練できなくなることが減ります。
飛行場の構造がやや複雑になるので、使用滑走路の変更や地上滑走時など、様々な配慮の必要が生じて訓練になります。
また、サーキットで使用している滑走路と別の滑走路で離着陸を指示することで、使用滑走路上空や地上での待機をしなくても、離着陸ができる場合があります。
また、逆に「意図的に横風環境を作りやすい」ことが利点になります。
安全上、横風着陸の訓練は必ず実施したいものでありますが、訓練の予約を入れている時間帯に横風が発生するとは限りません。
しかし、複数の滑走路を保有する飛行場では、交通状況にもよりますが、あえて使用されていない滑走路への着陸をリクエストすることで、意図的に訓練環境を作り出すことができます。
以上から、使用滑走路は多い方が訓練には適していると考えています。
飛行場の各種設備
PAPI
PAPIは、Precision Approach Path Indicatorの略で、滑走路の接地点付近の左右どちらかに設置された進入角指示灯で、パイロットに進入角度(通常3.00°)が適切かどうかを示してくれる赤白の灯火です。
これがないとアプローチできないことは全くありません。なくても問題なく降りられるように、パイロットの目を鍛えていきます。初等訓練では、着陸パス判定の補助材料として使うのも効果が高いと考えます。教官の指導によらず、事実としての判別がリアルタイムに行われるからです。
注意しなくてはならないのは、着陸進入とは着陸の瞬間のために行っていくものですが、その割に接地するタイミングに近くなればなるほど、誤差が生じるということです。それは、全てのサイズの航空機に対応するPAPIは存在しないからです。近くなればなるほど、角度範囲の絶対的な幅は狭くなっていきますので、少しでも高さが変わると変化しやすくなります。これは、目線の高さでも同じことです。旅客機サイズで適切なパスとなるように設計されたものをセスナで利用しても、同じところに降りることはありません。
ラングレーのように小型機用に準備されているところも含め、着陸進入時のPAPIの使用はあくまでも参考程度です。あってもなくても訓練への使用はありませんが、僕はあった方がいいと思っています。
計器進入・出発方式
計器飛行訓練の課程において、各種の進入方式でのアプローチ訓練を行います。アボッツフォード空港など、飛行場によってはSIDもあり、非精密進入方式のNDBアプロ―チと、CAT1精密進入方式のILSアプローチなど、多様な方式を有する飛行場もあります。訓練機目線で考えると、アプローチのバリエーションが多ければ多いほど、訓練効果は高くなると考えています。
飛行場自体に自前のもしくは近隣に利用可能な無線航法施設(VORなど)がある場合、計器飛行訓練のR/R(ラウンドロビン: 飛行場を出発して周遊し、訓練や遊覧飛行を行った後に同一飛行場に戻る飛行のこと)などでも最後に戻ってくる飛行場にも計器進入方式が設定されているだけで、効率的な訓練を行うことができ、訓練時間の節約にもなります。
また万が一の場合にも、機上装置の使用法に熟知しておけば、機位喪失の不安も少なくなります。
いずれにせよ、必ずなくてはならないものでは全くありませんが、あればよいものだと思います。
まとめ
すべての学校や飛行に通うことができる人はいません。
これ以外にも多くの選定要素があります。更に色々調べてみて、自分に最もあった訓練環境を見つけてください!
ちなみに航法の訓練の過程でこれらの飛行場は自分の訓練計画で行き来することはできます。