2021年1月更新の第6版の事業用操縦士免許CPL用「飛行実技検定ガイド」(飛行機)を参照して作成しています。
飛行検定に関する共通事項
自家用操縦士免許(PPL)、事業用操縦士免許(CPL)、多発機飛行資格(Multi)、計器飛行証明(Instrument)、飛行教育証明(Instructor)など、飛行実技検定が必要な免許や資格/証明がありますが、その中でも検定に関する一般事項として、申請要領、採点方法など共通の事項については、下の記事でまとめていますので、こちらをご覧ください。
飛行検定課目一覧
オレンジ色で示されている課目が採点対象であるが、18Bは18B-1または18B-2のいずれか、29は3つが選択されるので、合計33項目となる。
各項目「4点」(満点)~「1点」(不合格)の4段階で評価され、合計点数が70%以上の93点以上にて合格となる。
第6版での変更 (追加) 事項
第6版での変更 (追加) 事項
2019年9月25日発効のアドバイザリーサーキュラー第408-002号「飛行検定における2点の制限数について」に基づき、検定内で取得する「2点」の上限数が、4つまでと明記されました。つまり、検定の結果「1点」の項目がなければ、「2点」を4つまで取得しても合格であるということです。
この条項は、再検定や部分再検定場合にも、シミュレーターを使用した検定にも適用されるとされています。
再検定については、「2点」と「1点」の合計ポイントが「4」になるかどうかで完全再検定か部分再検定になるかが変わります。
なお、各検定における「2点」の取得許容数は、以下のとおりです。
課目2:航空機の慣熟と飛行準備
2A 書類および耐空性(地上課目)
2A 書類および耐空性(地上課目)
「書類および耐空性」の目的
- 搭載が必要な関連書類の有効性について正しく評価できること。
- こうした関連書類から、検定で実施する飛行内容についての耐空性を有しているかを判断すること。
「書類および耐空性」の概要
- 受検者は、航空機に搭載が必要なすべての関連書類の有効性を判断
- 必要な整備基準を満足しているかを判断
「書類および耐空性」の合格基準
- 飛行承認が得られているか、及び適用可能な運用管理システムにしたがって、意図する飛行内容の要件をカバーしていることを明確にする。
- 搭載する関連書類が有効なものであることを判断する。
- 航空機飛行日誌を含む航空機の関連文書や整備関連情報から航空機が使用可能であると判断することと、飛行を予定する期間中に整備や点検の必要が生じないことを判断する。
- 次回の点検または整備作業までの残飛行時間を決定する。
- 整備関連情報に示されるいかなる状況や制限にも適合し得ることを確認する。
- 予定する航空機の運用について、先送りにされた欠陥の影響を判断する。
- 飛行中に発見された機体の使用できない機器や機能について、対応要領を説明する。
飛行訓練施設(FTU)における整備管制マニュアルや、使用する型式の航空機の認定整備計画に関する知識を示す必要はない。
2B 航空機の性能(地上課目)
2B 航空機の性能(地上課目)
「航空機の性能」の目的
検定に使用する機体の推奨運用手順、各種性能、運用制限を理解すること。
「航空機の性能」の概要
- 検定に使用する機体の推奨運用手順、各種性能、運用制限について説明
- 各種の性能速度を記憶だけで示し、そうした速度の実運用上の知識について示す
- 離陸時の出力(RPM)などはその他の性能諸元については、POH/AFMを用いて算出
「航空機の性能」の合格基準
- 次の速度の実用上の適用について記憶の知識だけで説明する。
- 最大上昇角速度
- 最大上昇率速度
- 運動速度
- 飛行課目23Aのエンルート巡航計画について、次を算出する。
- 出力設定(%/マニフォールド圧力/RPM)と予想巡航速度(KTAS)
- 搭載燃料量と設定出力での飛行可能時間
- 実際の検定飛行時の実重量を用いて次を算出する。
- 50ftまたは実在の障害物をクリアするための所要離陸距離と着陸距離
- 最大離陸重量を超えない重量での性能表、もしくはそれがない場合には下記の公式を用いて予想着陸重量で算出する最終進入速度
最終進入速度算出公式
1.3VSOKCAS(最大総重量)×√(着陸重量/最大総重量)
=1.3VSOKCAS(予想着陸重量)
- POH/AFMの速度換算表を用いてKCASからKIASに変換
- 上記の公式使用時は、KCASを使用
- 6000lbs未満の航空機において、製造社は進入着陸速度や着陸性能データを作成する義務はない(航空法第523項)
- 一方、滑走路末端を1.3VSOで通過する最適速度をその時の着陸重量に応じて算出する能力は、特に、免許取得後にAFMに記載されたデータを活用して適切な速度に調整して飛行することが必要な6000lbs以上の航空機に移行することが多い事業用操縦士にとって重要
2C 重量平衡と負荷(地上課目)
2C 重量平衡と負荷(地上課目)
「重量平衡と負荷」の目的
検定に使用する機体の2つの重量平衡計算を正確に実施すること。
(1) 飛行課目23Aの計画上の想定VFR場外飛行用
(2) 実際の飛行用
「重量平衡と負荷」の概要
- 想定のVFR場外飛行をする機体に対して、実際の機体重量と承認された重量平衡データを用い、適用可能なほぼすべての搭乗者区画と荷物区画に指示された想定の搭載物を割り当て、離陸重量、着陸重量、零燃料重量とともに実際の負荷について精確に算出
- 航空機に対応した搭載負荷に関するグラフやコンピューターが使用可能であれば、活用可
- 重量平衡のグラフや包囲線図に関する知識と、重心位置の変動による航空機の飛行特性への影響について示す
- 重心位置が制限範囲外にある場合や総重量が制限を超過している場合の状況改善方法や、計算の修正法について、実用的な知識を示す
「重量平衡と負荷」の合格基準
- 離陸重量、着陸重量、零燃料重量、重心位置が制限範囲内にあるかどうかを判断する。
- 重心位置が制限範囲外であったり、総重量が制限を超過している場合の修正法に関する実用上の知識を示す。
- 重心位置の変動が機体の飛行特性に与える影響について説明する。
2D 飛行前点検(飛行課目扱い)
2D 飛行前点検(飛行課目扱い)
「飛行前点検」の目的
POH/AFMにしたがって機内と機外の点検を行い、予定する飛行において、機体が安全な状態にあると判断するための実用的な知識を示すこと。
「飛行前点検」の概要
- 飛行前点検を行い、機体が耐空性を有しており、予定する飛行の準備が整っていることを判断
- 機内外点検は、製造社が示すすべての項目を網羅
- 搭載する機器や書類が搭載され、安全に格納されていることを確認
- POH/AFMにしたがい、燃料量や規格、水分の含有の有無などの混濁度合いや潤滑油の搭載量について目視で確認
- 設計上、燃料量を目視で確認するようにしていない航空機の場合には、燃料の搭載票や搭載記録やその他の信用に足る要領をもって実際の搭載量を確認
- 飛行可能時間の算定を行う際は、実際の搭載燃料量に基づく予定巡航速度を使用
- 飛行前点検終了後、検定に使用する機体に関する口頭質問を実施
- 飛行前点検における不具合事項が検定官に確認または指摘された場合、どう対処すべきであったのか説明
- 指摘がなくても、その次にどういったことが発生したかという知識については説明できること
- 搭乗者に対する口頭の安全ブリーフィングを実施
- 省略時は、検定官が実施するように促す
「飛行前点検」の合格基準
- 製造社または所有者が示す項目について少なくとも網羅した整然とした手順で点検する。
- スイッチ、サーキットブレイカーを識別して確認する。
- 予定する飛行に十分な量の燃料と潤滑油があることを確認する。
- 予定する巡航の速度と高度における、搭載する燃料量での飛行耐久性(飛行可能時間)について説明する。
- 機体が安全に飛行できる状態にあることを確認する。
- 検定官に確認または指摘された不具合事項に対しとるべき対処について説明する。
- 手荷物や必要機器を搭載する位置と安全性について確認する。
- 物件や機器をしっかりと整頓し、いつでも使用できるようにしておく。
- 次の内容を含む効果的な安全ブリーフィングを搭乗者に対して行う。
乗客安全ブリーフィングに含めるべき内容
- シートベルトとショルダーハーネスの使用法
- 緊急脱出出口の場所と使用法
- 緊急位置発信機(ELT)と消火器
- 航空機の脱出に関する搭乗者の配慮
- 緊急着陸時にとるべき行動
- 喫煙の制限
- 使用する航空機の型式における特有の事項
- 緊急時に考えるべきその他の事項
2E エンジン始動/試運転/チェックリストの使用
2E エンジン始動/試運転/チェックリストの使用
「エンジン始動/試運転/チェックリストの使用」の目的
機体が耐空性を有し、飛行可能な状態にあることを判断するため、POH/AFMに示される項目を少なくとも含んだ製造社/所有者によるチェックリストやプラカードに基き、エンジン始動、暖気、試運転、操縦桿の動きの確認、システム点検を実施すること。
「エンジン始動/試運転/チェックリストの使用」の概要
- POH/AFMに示される項目を少なくとも含みつつ、機体が耐空性を有し、飛行可能な状態にあることを判断するために行う、製造社/所有者によ」るチェックリストやプラカードに基くエンジン始動、暖気、試運転、システム/機器点検の実施に関して、推奨される手順を用いて良いエアマンシップを発揮
- 実際に発生もしくは検定官により想定された不具合事項に対する適切な対処法を実施
「エンジン始動/試運転/チェックリストの使用」の合格基準
- エンジン始動前または始動中に周囲の人や物に対する注意を行う。
- 製造社/所有者が提供する適切なチェックリストを使用する。
- 特定の指示やチェックリストがない事項に対しても、健全な判断と対処法を示す。
- エンジンと機体システムの点検を正確に行う。
- 操縦系統が引っ掛かかりなく正常に作動することを確認する。
- 検定に使用する無線航法機器が使用可能であることを確認する。
- 不具合事項に対し適切な対処を行う。
2F 航空機システムの運用
2F 航空機システムの運用
「航空機システムの運用」の目的
検定で使用する機体に搭載する各種システムについて、POH/AFMやそれらの各補足誌にしたがって操作すること。
「航空機システムの運用」の概要
- 検定で使用する機体に搭載する各種システムの運用法に関する実用的な知識を示す
- これらのシステム使用は、地上課目と飛行課目の両方で評価
「航空機システムの運用」の合格基準
POH/AFMにしたがって機体の各種システムの運用法について示し、検定官が次の項目の中から3つ選択する項目の運用法について説明する。
各種システムの使用法の説明項目(3つ)
- 主要な操縦系統とトリム
- キャブレター・ヒート
- ミクスチャー
- プロペラ
- 燃料/潤滑油/作動油系統
- 電気系統
- 高揚力装置(フラップ)
- 着陸装置(ギア)
- ブレーキ
- 航法機器
- ピトー静圧/吸気圧力系統/関連飛行計器
- 暖房と空調系統
- 防除氷系統
課目4:地上滑走(タクシー)
4 地上滑走(タクシー)
「地上滑走」の目的
他機に不必要に干渉せずに機体を安全に動かすこと。
「地上滑走」の概要
- 特に指示されない限り、滑走路と駐機場の間において航空機をタクシー
- 他機やその他の状況が許す限り、誘導路の中心線に沿ってタクシー
- 風の状況に応じた適切な操縦系統の操作
- 風が弱い状況であれば、検定官が風向風速に関する想定を付与し、これに関する対応操作を確認
- タクシー中に飛行計器が正常に作動するかを確認
- 省略された場合には、検定官は離陸前に確認させる
「地上滑走」の合格基準
- ブレーキ作動点検を行う。
- タクシー中にブレーキを引きずることなく効果的に使用する。
- 実際/想定の風に対して操縦系統の操作を適切に行う。
- 地上において、機体を正しく積極的に操作できることを示す。
- 駐機場や移動区間において他機に配慮しつつ、安全に機体を扱う。
- 適切なタクシー速度を用いる。
- 他機、障害物や人員との安全距離を確保する。
- 飛行場特有の規則や要領、ATCの許可や指示にしたがってタクシーする。
- 飛行計器の正常な作動を確認する。
- 実施すべきチェックリストを完了し、推奨される手順を行う。
- 飛行場、誘導路、滑走路の標識やマーキング、灯火について識別し、正しく読み取る。
- 着陸後は、滑走路をクリアし、適切な駐機場や燃料搭載場へタクシーする。
- タクシー中は、常に警戒心をもって機体を操作する。
- 実際/予想の状況に応じて、駐機または機体の処理を適切に行うこと。
課目9:急旋回(スティープターン)
9 急旋回(スティープターン)
「急旋回」の目的
水平で調和のとれたスティープターンを安全に行うこと。
「急旋回」の概要
- 検定官は旋回開始前に、検定で使用する速度、高度、開始向首目標を示す
- バンク45°で180°を中断なくスティープターンした後に反転して逆を行い、元の針路に戻る
「急旋回」の合格基準
- 旋回開始前及び旋回中には、効果的に見張りを維持する。
- ロールイン/アウトは、3舵と出力を調和させ円滑に行う。
- 高度±100 ft、速度±10 ktの基準を維持する。
- 旋回が安定したときにバンク角45°(±5º)を維持する。
- 旋回方向を逆にし、再度逆方向で実施する。
- ロールアウト操作は、ロールインとほぼ同じ旋回レートで行い、開始針路(±10º)で終了する。
- 外の目標と計器指示を適切に注意分配する。
課目11:低速飛行(スローフライト)
11 低速飛行(スローフライト)
「低速飛行」の目的
意図しない失速が発生した場合に安全に回復できる、対地2,000ft以上またはマニュアル上の推奨最低高度以上のいずれか高い高度による安全高度で、失速速度の5~10kt以内でのスローフライトを行うこと。
「低速飛行」の概要
- 意図しない失速が発生した場合に安全に回復できる、対地2,000ft以上またはマニュアル上の推奨最低高度以上のいずれか高い高度による安全高度で、失速速度の5~10kt以内でのスローフライトを行う
- 使用速度は、旋回時もしくは気流の状況では失速速度が若干大きくなるため、それに応じて若干増やす
「低速飛行」の合格基準
- スローフライト開始前に安全上の確認を適切に行う。
- 効果的に見張りを継続する。
- スローフライト確立中は、その速度範囲とその時の形態に応じた断続的な失速警報や空力バフェットを感知しながら実施する。
- 調和のとれた水平直線飛行と、両方向へバンク角30°で各90°以上の水平旋回飛行をスローフライト状態で行う。
- 失速に入れない。
- 高度±100 ft、針路±10°、バンク角±5°の基準を維持する。
- 最適な針路の±10°にてロールアウトする。
- 検定官の指示により、通常飛行に適切かつ円滑に復帰する。
課目12:失速(ストール)
12 失速(ストール)
「失速」の目的
- 失速に入る兆候を認識すること。
- 意図的に完全な失速に入れること。
- 通常飛行に安全に回復できること。
「失速」の概要
- 次のいずれか1つの失速を過度な機首上げ姿勢に入れることなく実施
- エルロンとラダーの交差操作による失速
- 着陸復行による失速
- 高出力時の上昇旋回による失速
- 検定官は、失速が発生するシナリオの航空機形態について指示
- 意図的な失速は、対地2,000ft以上またはマニュアル上の推奨最低高度以上のいずれか高い高度で回復できる安全な高度から開始
「失速」の合格基準
- 失速開始前に安全上の確認を適切に行う。
- 検定官が指示する形態と出力設定を確立する。
- 失速に近づくように過度にならない機首姿勢に円滑に移行する。
- 失速警報の聴知、空力バフェットの体感、操縦効果の低減の体感を認識することで失速に入ったことを認識し、宣言する。
- 機体を失速させる。
- 方向管制を維持する。
- 迎え角の適切な減少、翼の水平により正しい操作手順で円滑に失速から回復させる。
- 二次失速に入れないように、適切に出力を使用しつつ巡航姿勢に復帰する。
- 必要に応じ、正方向の上昇率を確保できたところでマニュアルで示された要領にてフラップとギアを格納する。
- 検定官が指示する高度、針路、速度に復帰するための姿勢を確立する。
課目13:旋転(スピン)
13 旋転(スピン)
「旋転」の目的
意図的なスピンを行い、検定官の指示でPOHや補足版に示される推奨要領で効果的な回復を行うこと。
「旋転」の概要
- 正しい方法で機体をスピンに入れ、回復の指示があるまで、完全な前方スピンを維持
- 少なくとも1/4回転後に回復が指示される
- 正しい手順でスピンに入れ、前方スピンを維持しても、機体によってはスパイラルダイブ状態になる場合がある
- この場合、受検者は「スパイラルダイブ」である旨を宣言し、この適切な回復要領を実施
- その後に運動を再度実施する必要はない
- 意図的なスピンは、U類(多用途)またはA類(曲技用)の耐空性要件にて認定された機体のみで実施
- 対地2,000ft以上またはマニュアル上の推奨最低高度以上のいずれか高い高度で回復できる安全な高度から開始
「旋転」の合格基準
- スピン開始前に、安全上の確認を適切に行う。
- 機体ごとに推奨される適切な操作と手順で機体をスピンに入れる。
- 指示があるまでは完全な前方スピン状態を維持し、適切な操作と手順により回復する。
- 完全な前方スピン状態を維持したにもかかわらず、スパイラルダイブ状態に陥ってしまった場合には、受検者は「スパイラルダイブ」に入った旨を宣言し、適切な操作と手順により回復する。
- 二次失速に入れない。
- 回復時に速度を超過しない。
- 過度の高度損失をしない。
- 機体のいかなる運用制限も超過しない。
課目15:すべり飛行(スリップ)
15 すべり飛行(スリップ)
「すべり飛行」の目的
降下率を大きくしたい場合や横風着陸時に使用する安全で効果的なすべり飛行を行うこと。
「すべり飛行」の概要
- 降下率を大きくするための前方すべり飛行やすべり旋回、または着陸時に横風を修正するための横滑り飛行を行う
- すべり飛行は、予防着陸や不時着陸の課目時を含むいずれかの着陸進入中に行う
「すべり飛行」の合格基準
- 効果的なすべり飛行を円滑に行う。
- 飛行段階や横風の状況に応じた適切なすべり飛行を行う。
- 前方すべり飛行を行う場合は、意図する降下パスを維持する。
- 調和のとれた飛行に円滑に復帰する。
- 大きな外すべり飛行(スキッド)は許容されない。
課目16:離陸
16 離陸
CPLで行う離陸の種類
- 不整地離陸
- 実際または想定の障害物を回避するための短距離離陸
- 可能な範囲で、短距離離陸は事前に算出した諸元を用いて実施
- 風の状況が許せば、1回は横風での離陸を実施
- ガストや横風状態といった条件での推奨速度の変更の必要性について説明できること
- より良い操縦士間の連携を実現するため、受検者は検定官に対し離陸前に、意図する出発要領、騒音低減を考慮した離陸要領、最初の離陸上昇時に実際にエンジン故障が発生した場合の対処手順に関するブリーフィングを行う
16A 不整地離陸
16A 不整地離陸
「不整地離陸」の目的
- 実際/想定の風の状況、滑走路表面、滑走路長に対応する正しい手順や手法を用い、実際/想定の草地、砂礫地、荒地から安全に離陸すること。
- ウィンドシアや機械的乱気流の発生などの対応についても評価すること。
「不整地離陸」の概要
- 検定官は、滑走路表面の状態、障害物、使用可能滑走路長に関する想定を付与
- 飛行訓練マニュアル(FTM)で記載されるもしくは検定に使用する機体のPOH/AFMで推奨される不整地離陸要領を使用
「不整地離陸」の合格基準
- シートベルトやドアロックなど搭乗者の安全を確認する。
- 適切なチェックリストを使用して行う。
- 管制許可や管制指示に従う。
- 実際/想定の状況に応じて操縦を行い、形態を作る。
- 「GO」「NO GO」の判断点を検定官に示す。
- 他機を確認しながら、前脚を可能な限り軽くしつつ安全速度で離陸位置までタクシーし、管制指示を得られれば停止することなくスロットルを円滑に離陸出力まで設定する。
- 離陸出力がしっかりと出ていることを確認する。
- 離陸滑走中の方向管制を維持する。
- 機首姿勢を確立して維持し、効果的かつ効率的に機体重量を車輪から翼に移動させる。
- 実際の状況に応じて安全上最適な最小速度で浮揚する。
- 地上効果が残るままVXまたはVY速度まで加速し、障害物をクリアする。
- 推奨上昇速度に向けた機首姿勢を確立し、+10kt~–5ktの速度を維持する。
- 可能であればギアを安全高度で格納する。
- 必要に応じて安全高度で推奨最小速度以上でフラップを格納する。
- 安全高度に達するまでは離陸出力を維持し、必要に応じ上昇出力(±0.5″ MP、±50 RPM)を設定する。
- 方向管制を維持し、上昇時の偏流修正を行う。
- 適切な点検を完了する。
16B 短距離離陸(最大性能)
16B 短距離離陸(最大性能)
「短距離離陸」の目的
- 実際の風の状況、実際/想定の滑走路長に対応する正しい手順や手法を用い、短距離の滑走路から安全に離陸し、障害物をクリアすること。
- ウィンドシアや機械的乱気流の発生などの対応についても評価すること。
「短距離離陸」の概要
- 検定官は、回避すべき障害物、使用可能滑走路長に関する想定を明確に付与
- もしくは検定に使用する機体のPOH/AFMで推奨される最大離陸出力性能を使用
「短距離離陸」の合格基準
- シートベルトやドアロックなど搭乗者の安全を確認する。
- 適切なチェックリストを使用して行う。
- 管制許可や管制指示に従う。
- 実際/想定の状況に応じて操縦を行い、形態を作る。
- 「GO」「NO GO」の判断点を検定官に示す。
- 他機を確認しながら、離陸距離を最大限活用できる離陸位置までタクシーする。
- ブレーキを保持しながらスロットルを円滑に離陸出力まで進める。
- 停止状態で離陸出力がしっかりと出ていることを確認する。
- 離陸滑走中の方向管制を維持する。
- 推奨速度で引き起こしを行って浮揚し、障害物を回避するためVXまで加速する。
- 推奨障害物回避速度に向けた機首姿勢を確立し、実際/想定の障害物を回避または対地50ftに達するまで+10kt~–5ktの速度を維持する。
- 可能であれば安全高度でギアを格納する。
- 必要に応じて安全高度で最小フラップ格納速度以上にてフラップを格納する。
- 安全高度に達するまでは離陸出力を維持し、必要に応じ上昇出力(±0.5″ MP、±50 RPM)を設定する。
- 方向管制を維持し、上昇時の偏流修正を行う。
- 適切な点検を完了する。
- 離着陸中に使用する滑走路の横方向の位置精度は、次の基準で評価
離着陸中の滑走路内横方向精度
「4」機体胴体が中心線上を維持
「3」主翼の位置が中心線上を維持
「2」翼端が中心線を超えるほどに逸脱
「1」機体の縦軸が中心線から滑走路幅の半分以上を超えるほどに逸脱
課目17:場周飛行(サーキット)
17 場周飛行(サーキット)
「場周飛行」の目的
管制/非管制飛行場の周辺空域において、安全に航空機を運航すること。
「場周飛行」の概要
- 管制飛行場と非管制飛行場の両方における出発要領と進入要領(合流要領)を含む正しい場周飛行要領を示す
- 検定予定空域で、管制飛行場と非管制飛行場の両方での場周飛行が困難な場合には、実施できない手順については検定官による口頭質問で確認
- 他機との安全間隔を維持しながら行うMF/ATFでの通信要領や、管制許可や管制指示にしたがった飛行について示す
「場周飛行」の合格基準
- 他機との安全間隔を維持しながら精確な場周経路を飛行する。
- 実際/想定の管制許可や指示にしたがう。
- 場周経路への進入要領と出発要領にしたがう。
- 既定の場周経路にしたがって飛行する。
- 必要な無線通信を行う。
- 実航跡を適切に維持するために偏流修正を行う。
- 使用中の滑走路に対して常に注意を向ける。
- 場周飛行高度(±100 ft)と適切な速度を維持する。
- 適切なチェックリストを完了する。
- 後方乱気流を避け、必要な騒音低減飛行要領にしたがう。
- その時に有効になる必要な手順にしたがう。
課目18:進入と着陸
18 進入と着陸
CPLで行う進入/着陸の種類
- 場周高度からの推力なしで180°転回する正確な進入着陸
- 実際/想定の障害物を越える短距離着陸または不整地着陸
- 着陸復行
- 進入と着陸については、実際/想定の状況に応じた適切な進入方法を選択する受検者の能力に基づいて審査
- 強い横風またはガストが報じられていなければ、着陸はフラップを最大まで展開した形態で行う
- 可能であれば、1回の着陸は事前に算出した諸元を用いて実施
- 風や他機の交通の状況が許せば、1回は横風での着陸を実施
- 連続離着陸(タッチ&ゴー)による着陸や離陸の評価は認められない
- 正しい手順と実際の風、着陸表面の状況や滑走路長、または検定官に指示された状況に応じた技術を使用
- ウィンドシアや機械的乱気流の発生などの対応についても評価
- 着陸復行の要領についても示す
- ガストや横風状態における推奨速度の変化についても説明できるようにしておく
- 各種着陸のための進入に際し「VFR飛行における安定した飛行」で示される内容にしたがって実施
18A 180°転回無推力精密進入及び着陸
18A 180°転回無推力精密進入及び着陸
「180°転回無推力精密進入着陸」の目的
場周高度から推力を使用せずに滑空で進入し、特定の接地点にある程度の精度で安全に着陸すること。
「180°転回無推力精密進入着陸」の概要
- パワーオフ180は、通常または指示された場周高度から開始し、接地点に向けて滑空で進入し、着陸
- スロットルをカットする操作は受検者が実施し、ダウンウィンドレグの特定の接地点の真横位置から滑空を開始
- 管制官の指示によりそれが実施できない場合には、場周高度から滑空降下を開始するタイミングは、この滑空降下によって適切な接地点で着陸できる位置まで遅らせて実施
- この課目は、エンジンの模擬故障とは無関係であり、飛行訓練マニュアルの18項で示されるもの
「180°転回無推力精密進入着陸」の合格基準
- シートベルトやドアロックなど搭乗者の安全を確認する。
- 風、着陸表面、障害物の状況をよく考慮する。
- 安全な着陸ができる特定の接地点を示す。
- 適切なチェックリストを完了する。
- 通常の場周高度でスロットルをカットする。
- 滑空状態による着陸進入を速度範囲+10kt~–5ktの中で維持する。
- 着陸前点検を完了する。
- 特定した接地点の+400ft~–50ftの範囲で、通常の着陸姿勢で接地する。
- 対地500ftまで降下する前であれば、1回のエンジンクリアリングのみ許可
- 寒冷状況下では、一定速度と通常の滑空降下率を維持している間の多少の出力やフラップの使用は可能
18B 短距離/不整地着陸
18B 短距離/不整地着陸
「短距離/不整地着陸」の目的
- POH/AFMで推奨される方法で実際/想定の障害物を越える短距離進入を安全に行い、特定の接地点にある程度の精度で着陸すること。
- または、飛行訓練マニュアルに記載される技術を用いて障害物の有無を問わない不整地着陸を行うこと。
「短距離/不整地着陸」の概要
- 短距離または不整地での進入と着陸にあたり、検定官は滑走路表面の状況、進入上の障害物、滑走路末端、使用可能滑走路長に関する想定を明確に付与
- 着陸時の引き起こしに先立ち、受検者が意図した接地帯における短距離着陸の達成が困難であると判断した場合には、着陸復行を行い2度目を行うことは可能
- 飛行訓練マニュアル(FTM)に記載される不整地着陸の技術、または検定に使用する機体のPOH/AFMに示される短距離最大性能の方法を使用
18B-1 障害物を越える短距離進入/着陸
18B-1 障害物を越える短距離進入/着陸
「障害物を越える短距離進入/着陸」の合格基準
- シートベルトやドアロックなど搭乗者の安全を確認する。
- 風の状況と、実際/想定の着陸表面、障害物の状況をよく考慮する。
- 最適な接地帯を選択し、障害物を回避できる特定の接地点を示す。
- 推奨される速度と形態を用いて最初の進入を行う。
- 実際/想定の障害物を回避できる安定した最終降下段階を飛行し、滑走路末端の対地50ft上空を次に示すいずれかの速度で越える。
- その時の着陸重量で修正されたPOHの性能表で示される推奨最終進入速度(+10kt~–5kt)またはそれがない場合には次のいずれかの速度
- 課目2Bで算出した着陸重量で修正された1.3 VSO(+10kt~–5kt)
- ガストや横風などその時の状況に適した最小安全速度
- 進入と着陸を通して、横風を修正して方向管制を維持する。
- 着陸時の引き起こしと接地において、円滑かつ適時の正しい操作を行う。
- POH/AFMまたは機体に最適な方法にしたがって特定の接地点に+100ft~–50ftの範囲で接地する。
- 横滑りすることなく、機体の縦軸が滑走路中心から10ft以内に留まりながら接地する。
- 過剰なロックやスキッドを伴わないようにブレーキを適切に使用し、最短距離で安全に停止する。
- 適切な各種点検を完了する。
- 障害物クリア後の急激な降下は「2点」以下の評価となる
- 「チョップ&ドロップ」は不安定
18B-2 不整地進入/着陸
18B-2 不整地進入/着陸
「不整地進入/着陸」の合格基準
- シートベルトやドアロックなど搭乗者の安全を確認する。
- 風、着陸表面、障害物の状況をよく考慮する。
- 滑走路の端から1/3までの中で、最適な接地帯を選択する。
- 推奨される速度と形態を用いて最初の進入を行う。
- 実際/想定の障害物を回避する安定した最終降下段階を飛行し、末端の対地50ft上空を次に示すいずれかの速度(VREF)で越える。
- 推奨最終進入速度
- 着陸重量にて修正した1.3 VSO
- ガストや横風などその時の状況に適した最小安全速度
- 進入と着陸を通して、横風を修正して方向管制を維持する。
- 滑走路の端から1/3までの中で、接地する。
- 着陸姿勢を維持するのに必要な分の出力のみ使用して、できるだけ低速で主脚から接地する。
- 滑走路残距離に鑑みて減速を開始するまでのできるだけ長い時間、エレベーターと出力を適切にコントロールして前脚を地面から離すように維持する。
- 適切な各種点検を完了する。
18C 着陸復行(オーバーシュート)
18C 着陸復行(オーバーシュート)
「着陸復行」の目的
POH/AFMの推奨や刊行物に示された最適な要領で着陸復行(オーバーシュート)を安全に行うこと。
「着陸復行」の概要
- 検定官の指示により着陸復行を行うか、必要な場合に受検者が判断して実施
- 通常の着陸進入、予防着陸、不時着陸の課目に引き続いて評価
「着陸復行」の合格基準
- 指示による復行を行うか、進入の継続を断念する最適なタイミングで行う。
- 適切かつ円滑に必要な最大出力を出し、降下を止めるような機首姿勢を確立する。
- フラップを段階的もしくは製造社が定めるとおりに格納する。
- 上昇率が正方向に転じた後に、装着していればギアを格納する。
- 推奨上昇速度+10kt~–5ktへ加速し、それを維持する。
- 安全運動高度に上昇するための可能な限りの最大出力を維持し、必要に応じ、上昇出力を設定する。(±0.5″ MP、±50 RPM)
- 適切な各種点検を完了する。
課目21:予防着陸
21 予防着陸
「予防着陸」の目的
不慣れな飛行場や着陸できそうな陸地について安全に評価すること。
「予防着陸」の概要
- 検定官は、不慣れな飛行場や地上に着陸が必要になるようなシナリオの概要を示す
- 受検者は最適な着陸地を選定し、着陸の経路の決定や予防着陸手順を行い、正確なアプローチ飛行ができるよう計画された手順を実施
- 実際に着陸する必要はなく、事前に選定した接地帯に着陸するがごとくアプローチ
「予防着陸」の合格基準
- 最適な飛行場、仮設滑走路、その他安全な着陸に適した陸地を選定する。
- 飛行場での場周飛行要領にしたがう。
- 実際/想定いずれの場合も、適切な無線通信を実施する。
- 風の状況、着陸地の表面状況、障害物を評価する。
- 進入と着陸を通して、横風を修正して方向管制を維持する。
- シートベルトやドアロックなど着陸に向けた搭乗者の安全を確認する。
- 水平直線飛行をしている間に、実際の状況に応じたPOH/AFMで推奨されるように調整した速度で、低高度確認飛行のための形態を作り、機体をトリムする。
- 低高度確認飛行のための安定したアプローチを+10kt~–5ktの間の推奨速度範囲で実施する。
- 着陸予定地上空を障害物を避けられる安全高度で、安定した直線飛行かつ地表面の状況について効果的な評価を十分に行える速度にて飛行通過する。
- 着陸予定地が予防着陸に適しているかを判断する。
- 最も適した接地帯を選択する。
- 使用する着陸の種類を示す。
- 適切な各種点検を完了する。
- 選択した接地帯の中に接地できるように安定した最終アプローチを行う。
- 低高度確認をするために意図する高度を示し、ガストや横風などで推奨速度を変えて運用しなくてはならない場合にはその旨を説明しておく
課目22:不時着陸
22 不時着陸
「不時着陸」の目的
エンジン故障の場合の、着陸に適した地表の端から1/3以内に選択する接地帯へのアプローチを計画し、管理し、安全に行うこと。
「不時着陸」の概要
- エンジン故障の想定は、検定官が予告なくスロットルをアイドルにする、もしくはパワーレバーをアイドルに持っていき「想定エンジン故障」を宣言することにより開始
- 必要な緊急手順を実施しながら、アプローチを地表面まで継続して行えば安全に着陸できるということを示すため、意思決定と最適な着陸地点に向けた安全な滑空進入を行う
- 適した地表面への実際に着陸を行う訳ではない限り、運用上の安全高度で検定官に指示されたタイミングで着陸復行を行う
22A 制御/進入
22A 制御/進入
「制御/進入」の合格基準
- 機体をコントロールし、まず推奨最良滑空速度を+10kt~-5ktの範囲で設定する。
- 風の状況、地形、障害物やその他の要素を考慮しつつ、適した着陸地とその末端から1/3以内の接地帯を示す。
- 所望する高度と位置で「基準点」に到達するための飛行諸元を調整しつつ管理されたアプローチを行う。
- 選定した接地帯から1000ft以上離れて接地しないように精確性をもって管理されたアプローチを行う。
- 滑走路の末端から1/3までのところに選定した接地帯の終端を1,000ft以上超えて接地した場合、「重大なエラー」として「2点」以下で評価
- 最初に推奨滑空速度に設定した後は、確実かつ安全にアプローチできるように適宜速度と飛行段階を変更して飛行
- 当初予定した着陸エリアへの着陸がまだ可能な地点や高度からであれば、着陸地点を変更することは可能
22B コックピットマネジメント
22B コックピットマネジメント
「コックピットマネジメント」の合格基準
- 基本重要事項はメモリーで完了する。
- 時間が許せば、プラカードまたはチェックリストを用いて「上空でのエンジン故障」緊急手順を実施して補う。
- 時間が許せば、適切な無線通信を想定上で完了する。
- 効果的な搭乗者に対する緊急時の安全確認を行う。
- 降下中に適宜の間隔でエンジンクリアリングを実施
- 極めて寒冷な状況下では、通常のパワーオフ降下角と速度とするためにフラップの使用と出力の若干の使用が可能
課目23:パイロット航法
- 課目23A~23Dのパイロット航法は、統合課程での受検の場合には除外
23A 飛行前計画要領(地上課目)
23A 飛行前計画要領(地上課目)
「飛行前計画要領」の目的
- VFRでの場外飛行を効果的に計画し、場外飛行計画に関する実用的な知識を示すこと。
- ソフトを使用して飛行計画を実施した場合には、大きな上層風の変化や高度変化による計画変更について、1レグ分を手動再計算により修正できることを示すこと。
「飛行前計画要領」の概要
- 1回の給油のための中間着陸を含む、指定目的地までの2.5時間以上の想定VFR場外飛行の計画を実施
- NOTAMにより指定目的地では給油ができないものとする
- 検定の前日までに、事前計画と紙の航空図の準備は実施しておく
- 最終的な飛行計画は、実際の天候に則して行い、検定官の指示にしたがい、搭乗者は全席数分で、手荷物も大きなものを搭載
- 計画やフライトログの作成にあたっては、ソフトウェアやオンラインの飛行計画ツールを使用可
「飛行前計画要領」の合格基準
- 適切で最新の紙の航空図を使用し、適切な情報を引用又は記録するためにPOH/AFMなどの飛行に関する正式な最新の刊行物を活用する。
- 安全かつ効率的な経路を選定する。
- 空域、障害物、地形特色や地図上の記号を正確に識別する。
- エンルートや目的飛行場に関して適切な情報を取得する。
- 予定する飛行に関連する気象情報、NOTAM、PIREP、SIGMETを取得し読み取る。
- 実際または予報の天候に鑑みて、出発時及び到着時での滑走路の使用可能性について判断する。
- 中間飛行場や代替飛行場における緊急時の計画を準備する。
- 天候、地形や搭載機器の能力を考慮して最適な巡航高度を選定する。
- 航空図と航法ログを準備し、手動または飛行計画ソフトの使用を問わずいずれかの手段で予想針路と適切な出力設定、所要燃料、飛行時間を示す。
- 給油のために着陸する中間飛行場における所要搭載燃料量をℓ(リッター)で見積もりを示す。
- 場外飛行計画に関して入手できる情報を利用して、「GO」「NO GO」の判断を行う。
- ICAO方式のVFRフライトプランを作成し、検定官の点検を受ける。
- VFRフライトプランの提出のしかたに関する知識を示す。
- 実際の飛行で使用する重量平衡計算を除いた計画、準備、計算について45分以内で完了する。
- ログ作成にソフトを使用する場合は、1レグ分の飛行計画をE6Bなどを活用し、検定官の指示にしたがい手動で再計算すること。地上検定項目として評価される。
23B 出発要領
23B 出発要領
「出発要領」の目的
検定課目23Aにおける想定の場外飛行計画における効果的な出発要領を、よく整理して安全に行うこと。
「出発要領」の概要
検定官から指示があった場合には、計画どおりの場外飛行への出発要領を安全に実施
「出発要領」の合格基準
- 針路指示マーカーをマグコンパスやその他の適切な機器に合わせて設定する。
- 離陸時刻を記録する。
- 事前計画した航跡に会合させるためのよく整理された効果的な出発要領を行う。
- 出発に関するすべての管制許可や指示にしたがう。
- 航空交通業務上で取り扱われる飛行計画を使用できるようにするか、もしくは検定官の想定にしたがう。
- 向首時刻を記録する。
- 最初の変針点または目的地の予定到着時刻(ETA)を示す。
- 必要に応じ、針路指示マーカーをリセットし適切な各種点検を完了する。
23C エンルート飛行要領
23C エンルート飛行要領
「エンルート飛行要領」の目的
目的地へ確実に到達できるようにするためのよく整理された航法に関する技術を効果的に示すこと。
「エンルート飛行要領」の概要
針路を設定後は、よく整理された航法技術を駆使しつつ、最初の変針点、またはVFR場外飛行用の想定目的地までの飛行において必要となる針路や時間を、必要に応じて設定、確認、再設定
- 無線航法施設やGPSはここでは使用しない
「エンルート飛行要領」の合格基準
- POH/AFMで推奨される出力設定、燃料濃度設定、燃料管制、エンジン冷却を行い、所望の性能を引き出す。
- 出力やKTASなどの巡航に必要な計画出力設定を確認する。
- 巡航高度±100 ft、針路±10°を維持する。
- 飛行の経過を精確に反映する航法用フライトログを更新する。
- 対地速度、到着予定時刻(ETA)、新針路、チェックポイント通過時刻をそれぞれ修正してフライトログに記録する。
- 単に航跡を辿るだけではなく、よく整理された航法技術を駆使して航法を実施する。
- 針路設定後15分以内に、次の手順をよく整理された要領で示す。
- 航空機の位置を確認する。
- 航空機の位置を計画コースから1NM以内に維持するため、航跡のズレを認識してそれを元に針路を修正する。
- 最初の変針点または想定上の目的地までのETAを予想時刻の5分以内で到着できる精度範囲となるように、確認または修正する。
- 目的地または最初の給油のための飛行場までの飛行に必要となる燃料量を確認する。
23D 代替飛行場へのダイバート
23D 代替飛行場へのダイバート
「代替飛行場へのダイバート」の目的
頭で飛行計画、推測航法、地図読解を行い、適した代替目的地へのダイバートを安全に行うこと。
「代替飛行場へのダイバート」の概要
- 検定官により示される想定にしたがって、航空機の実際/想定の燃料範囲にある最適な代替飛行場を選定する技術を示す
- 選定された代替飛行場に向かう目的地変更を行う
- CPL受検者は、荒地の上を飛行しているものとして推測航法を実施
- 河川や道路などの地形上の特徴を追って飛行することは検定では不可
- 定規や目盛り付き鉛筆、分度器、ForeFlightやコンピューターの使用はこの手順においては不可
- 待機パターンに入って何度も周回しなくてもいいように、たどるべき実航跡(コース)、おおよその針路、所要飛行時間を速やかに決定し、不当に遅れることなく目的地変更を開始
- 対地500ft以上または最低安全高度以上のいずれか高い方の高度を使用して、可能な限り低高度でこの目的地変更を実施
- 飛行する地形に合わせて適宜飛行高度変更は可能だが、検定官に対してその変更の意図を示す
- 予想のエンルート時間及び到着時刻はおおよその算出でよいが、既定の範囲内に収まる精度であること
- 目的地に到着できることを示すため、少なくとも航空機が代替目的地に向かう予定航跡に乗る段階までは継続
- 無線航法施設やGPSはここでは使用せず、紙の航空図を使用
「代替飛行場へのダイバート」の合格基準
- 不当に遅れることなく、次の作業を実施する。
- 現在の位置を把握し、記録する。
- 適切な代替飛行場を選定し、変針点と経路を設定する。
- 鉛筆で書いた航跡の線にしたがって最初の針路を決める。
- 代替目的地までの予想エンルート時間を概算する。
- 代替飛行場の到着までで残る搭載燃料による予想飛行可能時間を「2時間+15分」のように概算する。
- 代替飛行場へのダイバートのための予定航跡に会合させる。
- 選定した経路上の最大標高(MEF)を確認し、最低安全高度を決定する。
- 低視程時には目視回避が必要となるように、実際/想定の状況に応じた適切な航空機の形態と速度を選定する。
- 針路設定時にETAを算出し、エンルート飛行中にその確認または修正を行う。
- 選択した速度±10 ktを維持する。
- 選択した針路±10°を維持する。
- 宣言した高度±100 ftを維持する。
- 管制官との無線交話として、ダイバートする旨を想定で伝える。
課目24:計器飛行と無線航法機器の使用
課目24A~23Dでは、適切な視界遮断装置の着用が必要
24A 全計器使用
24A 全計器使用
「全計器使用」の目的
全飛行計器パネルや主要飛行情報表示器を参照して航空機の制御と運動を安全に行うこと。
「全計器使用」の概要
飛行計器のみを参照して次の飛行を実施
- 調和のとれた水平直線飛行を維持
- 水平直線飛行と水平旋回時の速度変換
- 一定速度での上昇
- 一定速度での降下
- 一定降下率での降下
- 指定針路と高度における上昇、降下、各種バンク角での水平旋回を実施
「全計器使用」の合格基準
正しい計器の使用や読み取りにより、次の精度の範囲内で航空機を制御し運動できることを示す。
全計器使用による計器飛行と精度範囲
- 指定針路±10º以内
- 指定高度±100 ft以内
- 指定速度±10 kt以内
- 確立後、指定降下率±100 ft/m以内
- 指定バンク角±10º以内
24B 限定計器使用
24B 限定計器使用
「限定計器使用」の目的
- 既存の計器タイプの機体の場合は、姿勢計と方位計以外の飛行計器を参照して、統合型計器タイプの機体の場合は、主要飛行情報表示器と多用途表示器(スタンバイ計器とマグコンパスのみ)を使用せずに水平直線飛行または旋回を実施して航空機を安全に制御すること。
- 旋回は90°から180°の範囲で実施すること。
「限定計器使用」の概要
制限された計器表示で、次の事項を実施
- 水平直線飛行を維持
- 検定官に指示された場合には、指示された針路までのもっとも近い方向への継続した調和のとれた旋回を実施
- 特定の針路により精確に到達するために、1回までの針路修正は可能
「限定計器使用」の合格基準
正しい計器の使用や読み取りにより、次の精度の範囲内で航空機を制御し運動できることを示す。
限定計器使用による計器飛行と精度範囲
- 指定針路±15º以内
- 指定高度±100 ft以内
- 指定速度±10 kt以内
24C 異常姿勢からの回復
24C 異常姿勢からの回復
「異常姿勢からの回復」の目的
既存の計器タイプの機体の場合は、姿勢計と方位計以外の飛行計器を参照して、統合型計器タイプの機体の場合は、主要飛行情報表示器と多用途表示器(スタンバイ計器のみ)を使用せずに、異常な姿勢から安全かつ迅速に回復すること。
「異常姿勢からの回復」の概要
- 検定官は操縦を受け取り、機首上げ姿勢もしくは機首下げ姿勢のいずれかの異常姿勢を作為した後に受検者に操縦を渡し、その状態からの回復を実施
- 限定計器もしくはスタンバイ計器のみを使用して、最小の高度損失で異常姿勢から迅速に回復
「異常姿勢からの回復」の合格基準
- 指示により、使用可能な計器を参照して異常姿勢を認識する。
- 正しい要領で円滑かつ調和のとれた制御を実施する。
- 正しい計器のクロスチェックと読み取りにより安定した直線飛行に迅速に復帰する。
24D 無線航法
24D 無線航法
- 視界を遮断する装置をこの課目では着用
「無線航法」の目的
周波数の設定、選択した無線航法施設やウェイポイントの確認、無線航法機器の活用による効果的に航法を行い、飛行計器のみを参照して飛行すること。
「無線航法」の概要
- この課目の実施にあたって検定官が、どの無線航法機器を使用するかを指示
- 機体に認定されたGNSS受信機を搭載していれば、それを使用
- GNSS受信機を使用中は、1NMの感度となる「ターミナルモード」を選択
- 検定官の指示によりVOR、NDB、GPSウェイポイントから航空機の位置を特定し、そこから検定官が指示する無線航法施設またはウェイポイントまでの航跡または方位に機体を誘導する手順を実施
- トラッキングは、無線局やウェイポイントの通過、またはしっかりとした航跡を飛行できるまで維持
- 飛行計器の参照のみによって実施するこの課目の目的は、市街地から遠く離れた夜間でも機体を制御して効果的に航法を実施できることを確認するため
「無線航法」の合格基準
- VORやNDBの場合は、周波数を設定して無線局を識別する。
- 無線航法機器を活用してよく整理された手法で、GNSSウェイポイント、VOR、NDBにより機体の位置を特定する。
- 検定官が指示する航跡に誘導するための会合手順を実施する。
- 指定航跡の±10º以内、GNSSでは1NM以内の精度を維持する。
- 無線局やウェイポイントの通過を識別して示す。
- 次の精度の飛行を維持する。
- 選択した針路の±15º以内
- 指定高度の±200 ft以内
課目29:緊急手順/不具合対処
29 緊急手順/不具合対処
「緊急手順/不具合対処」の目的
- 実際/想定の緊急事態やシステム/機器の不具合に対し、メモリーで重要な点検を行って迅速かつ適切に対処し、その後に適切な各種のチェックリストを実施すること。
- 点検は適切なチェックリストを参照して実施すること。
「緊急手順/不具合対処」の概要
- 緊急事態や搭載するシステム、機器などの不具合が発生した場合に使用する手順に関する適切な知識を示す
- 重要な対処はメモリーで実施し、後に緊急時用のチェックリストを使用して確認
- この緊急対処の項目は、飛行検定におけるどの時間で実施してもよい
- 次に示す少なくとも1つ以上の緊急事態または不具合については、上空で想定が付与
「緊急手順/不具合対処」の合格基準
状況分析と緊急手順の重要な項目をメモリーで実施することで適切な対処を行い、後に適切な緊急時用のチェックリストを使用することについて評価が実施される。次のうち3つの想定不具合が検定官により状況付与される。
緊急手順項目(3つ)
- 部分的なパワーロス
- エンジンの不安定もしくはオーバーヒート
- 油圧損失
- 燃料欠乏
- 電気火災
- 吸気系統故障
- ピトーまたは静圧系統閉塞
- 機内火災
- 機体への着氷
- 電気的不具合
- 航法機器の故障
- 姿勢/針路参照システム(AHRS)故障
- 表示器故障
- 航法無線機器故障
- 警告と注意
- 降着装置の不具合
- ブレーキ故障またはロック
- フラップ故障
- 飛行中のドア開放
- 緊急降下
- その他の緊急事態または機体固有の不具合
- 緊急手順の実施をあらゆる状況要素から上空で実施可能か、地上で実施すべきかを判断するのは検定官の責任
- 地上でエンジン停止をする際にいくつかの項目が検定可能
課目30:無線通信
30 無線通信
「無線通信」の目的
明瞭かつ理解できる英語やフランス語を用いて適切な航空交通管制(ATC)施設と通信し、空域内の適切な周波数の「耳の見張り」を維持し、こうした施設を通じて安全で効果的な飛行を実現するためにどのような援助を得ることができるかを示すこと。
「無線通信」の概要
- 航空機に搭載する利用可能な無線通信機器の正しい使用法について示すとともに説明
- 飛行に関して必要な情報を入手し、管制許可や指示に対して応答または対応する操作を実施
- 適した航空交通業務が受けられない空域においては、検定官が想定で管制官となり実施
「無線通信」の合格基準
- 使用する施設の周波数を選択する。
- 機体に搭載する通信機器や航法機器に関する実用的な知識を示す。
- 効率的で理解できる英語またはフランス語を適切に用いつつ、推奨される交話法を用いて通信する。
- 無線通信や管制指示に了解し、したがう。
- 「耳の見張り」を維持し、飛行空域や訓練エリアにおいて適切な周波数で適切な無線交話を実施する。
- 他機の存在を認識していることを示す。
- 無線機器故障時における正しい対処要領を示す。
- ATCの灯火信号に関する実用的な知識を示す。
- 緊急時のレーダー支援の受領や特別有視界飛行方式(S-VFR)管制許可の取得の正しい要領について示すまたは説明する。
- 無線施設からの天候に関する情報の取得法について説明する。
- 明瞭で精確なVFR位置通報のしかたについて説明する。
- 無線機の故障時における、正しい緊急通信要領、トランスポンダーコードの使用法、携帯電話の予備使用について説明する。
関連