第3弾は、出発前の地上での通信についてです。
イニシャルコンタクト
管制機関とのイニシャルコンタクトでは、「CESSNA」「DIAMOND」などの航空機製造社名だけでなく、「152」や「KATANA」などの型式まで伝える必要があります。同じ「CESSNA」社の航空機でも「150」と「CITATION」では能力や特性にかなりの差があります。
Montreal Terminal, this is Piper Meridian “FRJD”.
通信が混雑する飛行空域では、「THIS IS」などの重要でない用語は極力省略し、重要な情報だけを通信するように心掛けましょう。
待機指示
「Stand By」は一般に、情報を確認したり整理したり、その他の必要な業務などで忙しい時など通信に時間を要する場合に「ちょっと待って」のような意味で使用されます。通信できる準備が出来たら、待機を依頼した方から呼び掛けましょう。
Whitehorse Radio, Helicopter “GJUK”, I would like to update my flight plan.
Helicopter “GJUK”, Whitehorse Radio, stand by.
“JUK”, go ahead.
「GO AHEAD」は通信を継続する場合のみに使用される用語で、その他の管制承認や同意などの意味では使えません。
不慣れな地域での飛行
初めて訪れる飛行場などで、用語として「UNFAMILIAR」を使うことができます。この場合、空港特有の省略化された通信要領や、複雑で早い交話に慣れていないことを管制官に知らせることができます。管制官は安全確保のために、ダイレクトでの飛行や複雑でない経路を案内するように努めます。
Fort McMurray Tower, Helicopter “FSML” inbound from the S to land, unfamiliar with the area.
Helicopter “FSML”, McMurray Tower, roger, are you GPS-equipped?
Affirmative, “FSML”.
無線の確認
管制機関は、航空機に無線通信の感明度を尋ねることがあります。逆に航空機から確認することもできます。
Boundary Bay Tower, Seneca “GOMG”, how do you read?
Seneca “GOMG”, read you 3, background static.
Seneca “GOMG”.
イニシャルクリアランス/管制空域内外への許可
「Ground」「Clearance Delivery」「Tower」などの最初の呼び出し先は、Canada Flight Supplement(CFS)で確認できます。ATISが利用できる飛行場の場合は、先に聴取しておいて識別符号をコンタクトのときに加えましょう。
飛行中のコンタクトなら、管制官に機長の意図を知らせることで、管制官がこの航空機を空域に入れるのか出すのかを判断できます。
サーキット(場周経路)に入りたければ・・
Abbotsford Ground, Cessna 172 “GCYG”, with information “S”, for circuits.
Cessna 172 “GCYG”, Abbotsford Ground, squawk 6226, RWY07, taxi via “A”, hold short RWY07, contact Tower 119.4.
6226, taxi “A”, hold short RWY07, Cessna 172 “GCYG”.
訓練空域に進出しようとするのであれば・・
Fredericton Ground, Katana “GEEM”, with information “Y”, practice area, 2,000ft.
クロスカントリーで出発するのであれば・・
クロスカントリーまたはその訓練で出発予定であれば、出発時にその旨管制官に伝える必要があります。フライトプランを出していれば、それを伝えますし、出発後に特定の方位上でポイントを取っていたり、特定の地点に向かって飛行する計画であれば、そのことを伝えておくことで管制官は出発方法の調整を行うことができます。
Ottawa Clearance Delivery, Katana “FWSH”, with information “J”, on VFR flight plan to Mirabel, set heading point Russell.
もし管制官から許可や指示を受けて理解できなかった場合、「I DO NOT UNDERSTAND」の用語を使ってそのことを伝える必要があります。管制官は別の用語を使うなどして意思疎通に努めます。