第2弾は、基本的な交話の原則についてです。
航空管制交話で使用する言語
カナダで航空管制交話を行う全ての航空機と管制機関は英語を使用します。しかし、カナダはフランス語を公用語に指定するケベック州をもつなど非常に珍しい態勢をとっているため、Ottawa-Macdonald Cartier 国際空港では、パイロットはフランス語も選択できるという措置を取っています。
イニシャルコンタクトをする言語で、今後の使用言語が決まるので、途中から使用言語を変更することはできません。
NAV CANADAはこの「VFR PHRASEOLOGY」の冊子もフランス語版でも作成してくれています。
無線通信の使用法
無線を使用する全てのオペレーターは、使用法について十分慣熟してから使用するように心掛けます。音量やスケルチは適切に設定できるようにしておき、交話する前にはその使用する周波数を少し聴いておくといった基本的な事項について確認しておきます。
ヘッドセットのマイクやマイクブームは、しっかりと付けることで、はっきりと話すことができます。話そうとするときは、機体の操縦桿についているPTT(PUSH-TALK)ボタンをしっかりと一定の圧力で押し続け、交話が終了したらボタンを離します。
より良い交話法
現在使用している周波数は、交話していない間もしっかりと聴き続けます。自分宛や、自分に関係ある通信を聴き逃さないことで、状況をより正しく認識することができます。
「ボイス」は「ツール」だということを忘れず、落ち着いてはっきり話しましょう。過剰にうるさくなるような通信は、相手に理解されないばかりか、緊急事態やパニック状態なのではないかと余計な心配を与えてしまうことになります。
次のような交話方法が、より適切な通信として推奨されます。
パイロットも、管制官や他機からの通信内容を書き取る習慣を付けておくことで、長文だったり複雑や不慣れな管制指示なども忘れないようにでき、誤ったリードバックや誤解を減らすことができます。
無線通信の一般的な要領
無線通信はいくつかのパートで構成されていて、周期的なものであると言えます。
パイロットと管制官の両者が、意図と要求を話し、それぞれのフィードバックを受けてお互いの反応を得ることで了解されたと考えられる方法です。
交話においては、話すことに重点が置かれがちですが、聴くことも、話すことと同じくらい重要です。注意して聞き、正しくヒアバックすることは、誤解を防止するうえで重要な要素になります。
全ての通信で、自身のコールサインを必ず呼称します。管制官は、これで適切な相手に指示や許可が行き渡ったかどうかを認識することができます。もし、自身のものか自信がなければ確認をします。
混雑した周波数で通信している場合、管制官は優先度の高い通信を優先します。もし通信したのにすぐに応答がない場合は、管制官が緊急通信を他で実施している可能性もあるので、少し待つように心掛けます。
ヒアバックとリードバック
管制官とパイロットの間の通信は、お互いの意思疎通のために行われます。このやりとりの中で非常に重要な要素が、ヒアバックとリードバックです。通常パイロットは、管制官の指示や許可に対してリードバックを行い、管制官はそれをヒアバックすることで状況認識をしますが、VFRで飛行している場合には、管制官に特に指示されない限り、全てにリードバックする必要はありません。
指示や許可にリードバックをすることで、間違いがあった場合にすぐに訂正できるという利点があります。
もっとも安全上重要な許可と指示でリードバックされるべきなのは以下の場合です。
飛行場には、それぞれの特色があります。そのため、基本は全て同じですが、管制交話の内容も地域ごとに違いがあり、全ての管制機関で同じリードバックが求められる訳ではないということに注意する必要があります。
ただし、滑走路の前の待機指示である「HOLD SHORT」の指示は必ずリードバックします。
時間が許せば、自分が飛行訓練する飛行場の管制機関(タワーなど)に行ってみて、特色を理解するのがNAV CANADAに推奨されています。
多くの場合、パイロットが応答する場合はコールサインのみの応答でよいとされています。指示や許可がはっきりしなかったり、不安に思ったり、期待していたものと違う場合は、必ずはっきりさせることが大事です。