免許の申請は、免許取得の中でクライマックスとなる作業です。
この瞬間のためにこれまで勉強もフライトも頑張って来てましたし、最もワクワクする瞬間になることと思います。
申請をするあたり、一般的には次のような流れで行っていきます。
- 申請条件を確認する
- 申請料金を支払う
- 実際に申請を行う
以下では、それぞれをひとつずつ解説していきます。
免許の申請条件を再確認
PPL 申請の場合 (初回)
ADBの取得が必の申請方法は下記の記事を参考にしてください。
- 年齢17歳以上
- カテゴリー3以上の航空身体適性
- 地上座学40時間
- 筆記試験に60%以上で合格
- 総飛行時間45時間、うち同乗訓練17時間、場外飛行3時間、計器訓練5時間、単独飛行12時間、単独場外飛行5時間、計2回着陸を含む150NM以上の単独場外飛行経験
- 飛行検定で合格
PPLの取得条件は詳細については、下記の記事でまとめています。
CPL 申請の場合
- 年齢18歳以上
- カテゴリー1の航空身体適性
- 地上座学80時間
- 筆記試験に60%以上で合格
- 総飛行時間200時間、うち機長時間100時間、機長で場外飛行20時間、CPL取得に向けた訓練65時間、同乗訓練35時間、同乗夜間飛行5時間、同乗夜間場外飛行2時間、同乗場外飛行5時間、計器訓練20時間、単独飛行30時間、単独訓練25時間、単独夜間飛行5時間、単独夜間離着陸10回、計3回着陸を含む半径300NM以上の単独場外飛行経験
- 飛行検定で合格
CPLの取得条件は詳細については、下記の記事でまとめています。
ATPL 申請の場合
- 年齢21歳以上
- カテゴリー1の航空身体適性
- 3つの筆記試験に各60%以上で合格
- 総飛行時間1500時間、うち機長時間250時間、機長で場外飛行100時間、機長で夜間場外飛行25時間、夜間機長100時間、場外飛行時間:機長100時間または副操縦士200時間、計器飛行75時間
- 飛行検定で合格
ATPLの取得条件は詳細については、下記の記事でまとめています。
NIGHT RATING 申請の場合
- PPL以上の免許の保有
- 飛行時間20時間、うち夜間飛行10時間、夜間同乗教育5時間、夜間同乗場外飛行2時間、夜間単独5時間、夜間単独離着陸10回、同乗教育計器飛行10時間
- 飛行検定に合格
NIGHT RATING 申請の場合 の取得条件は詳細については、下記の記事でまとめています。
VFR OTT RATING 申請の場合
- PPL以上の免許の保有
- 飛行教官指導標準に定められた知識と技能を有していること
- 同乗計器飛行15時間
VFR OTT RATING 申請の場合 の取得条件は詳細については、下記の記事でまとめています。
MULTI RATING 申請の場合
- PPL以上の免許の保有
- 飛行検定で合格
MULTI RATING 申請の場合 の取得条件は詳細については、下記の記事でまとめています。
IFR RATING 申請の場合
- PPL以上の免許の保有
- 筆記試験に70%以上で合格
- 機長で場外飛行50時間、計器飛行40時間、うち同乗計器飛行5時間、有資格者との同乗計器時間15時間、2ヵ所での計器進入を行う計器飛行状態での100NM以上の同乗飛行経験
- IFRの飛行検定もしくはIMC下でのPPCで合格
IFR RATING の取得条件は詳細については、下記の記事でまとめています。
SEAPLANE RATING申請の場合
- PPL以上の免許の保有
- 水上機飛行時間7時間、うち同乗訓練5時間、単独飛行での離着水5回
- 飛行検定で合格
SEAPLANE RATING の取得条件は詳細については、下記の記事でまとめています。
INSTRUCTOR RATING 申請の場合
- CPL以上の免許の保有
- 地上座学25時間
- 筆記試験に70%以上で合格
- 総飛行時間200時間、うち計器時間20時間、同乗教育30時間、計器飛行指導訓練5時間
- 飛行検定で合格
INSTRUCTOR RATING の取得条件は詳細については、下記の記事でまとめています。
TYPE RATING 申請の場合
- CPL以上の免許の保有
- グループ1計器飛行証明の保有
- 申請する型式での地上/飛行訓練プログラムの完了
- 筆記試験に70%以上で合格
- 申請する型式での訓練、飛行機での訓練250時間
- PPCで合格
TYPE RATING の取得条件は詳細については、下記の記事でまとめています。
申請料と払い込み方法
申請料金
2021年12月現在で、申請料金は次のように設定されています。
免許系は種類によって申請料が異なりますが、追加資格系は一律30ドルで設定されています。
免許系
申請免許 | 申請料 |
自家用操縦士免許 PPL | $55.00 |
事業用操縦士免許 CPL | $80.00 |
定期運送用操縦士免許 ATPL | $100.00 |
資格系
申請資格 | 申請料 |
夜間飛行資格 | $30.00 |
水上機飛行資格 | $30.00 |
VFR雲上飛行資格 | $30.00 |
多発機飛行資格 | $30.00 |
計器飛行証明 | $30.00 |
飛行教育証明 | $30.00 |
航空機型式証明 | $30.00 |
申請料の払い方
カナダ運輸省のオンライン払い込みページに行く
カナダ運輸省のウェブサイト「Online Payment System」に入ります。
プルダウンから申請したい免許 (License/Permit) または資格 (Rating) を選択し、「Get Started!」を押します。
申請する免許や資格を選択する
申請したい免許や資格名に☑を入れます。
申請条件さえ満たしていれば、複数の申請料の払い込みを同時に行うこともできます。
誰が申請するかのチェック項目では、代理人や会社でまとめての申請などではなく本人が実施しているのであれば「Yourself」を選択し、「Next」に進みます。
個人情報を入力する
次に、申請者の個人情報を記入していきます。
免許や資格が最終的に郵送される先にもなるので、近々の引っ越しなどには十分注意が必要です。
記載が終了したら「Next」で次に進みます。
免許に関する情報を入力する
ここまでは、一般定な個人情報を入力していきましたが、このページではカナダ運輸省が保有する免許関連の情報との整合になります。
名前欄は問題ないのですが、「License No. / Permit No. / File no.」では、カナダ航空身体検査の際に受領した6桁の個人番号 (File Number) を入力すればOKです。
コメント欄のような自由にメッセージを残せる項目がここにしかないので、特記事項を記載する必要がある場合には、ここで記載を行います。
僕の場合は、日本の免許を基礎にした申請を行ったので、念のためにその旨を記載しました。
すべての記載が完了したら「Next」で次のページに進みます。
記入情報を確認する
これまでに入力した情報に誤りがないか確認をします。
間違いがなければ、「Submit and Pay」を押して支払い内容の最終確認画面に移ります。
支払い画面の最終確認で再度間違いがないことを確認したら、ロボットではありませんにチェックを入れて「Checkout」を押し支払い画面に移ります。
支払いを行う
支払い方法を選び、必要な情報を入力していきます。
受領を確認する
入力や支払いを全て完了してレシートのページに移ったら、必ず印刷をしておきます。
後に確認のメールも送られてくるはずですので、そちらを支払いの証明にすることもできますが、プリンタが近くにあれば、この画面自体を印刷しておくのが一番安全です。
プリンタがない場合には、少なくともページ自体をPDF保存するか、それももしできなければ画像としてキャプチャして保存しておくことをオススメします。
具体的な申請方法
上記までは、確認と下準備で、実際の申請はここからになります。
申請フォームに記入をする
まず、申請フォームの記入を行います。
申請用のフォームはカナダ運輸省の公式サイト上にてダウンロードすることができます。
免許系であれば、それぞれ個別のフォームがありますので、それを利用します。
追加資格系の場合は、共通の申請フォーマットがあるのでそれを利用します。
PDFは記入が可能なタイプですので、確定している情報だけはフォーム上で記入してしまい、残りは空欄のままにして印刷をしましょう。印字された文字の方が読みやすいので、間違いが発生する可能性は少なくなります。最終的に署名を行う欄もあるため、いずれにせよこのフォーム上だけの記載では完結しないので、問題ありません。
カナダ運輸省が承認する有資格の人物である「AUTHORIZED PERSON」による署名や記入欄があるので、資格をもつ人物にコンタクトして記載してもらいましょう。飛行学校の教官や、飛行学校が提携する人物がいるはずですので、不明であれば学校に確認してみましょう。
申請方法を決定する
すべての記載が完了したら、申請方法を決めます。
申請方法は、郵送とオンラインの2種類があります。
郵送で申請する場合
特に郵送方法に指定はありませんので、カナダの郵便局であるカナダポストを利用した郵便でも、UPSやFEDEXなどの民間企業のサービスを利用したものでも構いません。
ただし、郵便の追跡を行える方が確実で安全ですので、送る際に追加サービスとして「Registred Mail」を依頼するか、Trackingができる方法にすることをオススメします。
レターサイズの封筒であれば、ハガキや通常の封筒サイズを基準にした「Standard size mail」には該当しないため「Non-standard and oversize mail」の扱いとなり、2~3日で到着するのが標準のようです。
重量 | 送料 |
100g 未満 | $1.94 |
100g ~ 200g | $3.19 |
200g ~ 300g | $4.44 |
300g ~ 400g | $5.09 |
400g ~ 500g | $5.47 |
書留郵便の郵送法
カナダ国内であれば、2021年12月現在で$9.75の追加料金で書留にしてもらうことが出来ます。
UPSだと、「Standard」と「Expedite」と「Express」の3段階で迅速性と料金のバランスになります。「Express」だと翌日に到着するなどかなり迅速ですが、100ドル近くなったりとかなり料金が高く、残りの2つは約20ドルほどとなり、それぞれで料金に差は出ないものの、到着日数もそんなにかわらないイメージです。
封筒の形状であれば、「FedEx Envelope」という発送方法が利用できます。
到着日数によって3~4つのオプションがあり、30~50ドルくらいというイメージです。
送付先は、カナダ運輸省民間航空局(TCCA)事務所になります。カナダ国内で大きく5地域に分割されますが、BC州は「Pacific region」に属します。同地域では、5ヵ所のオフィスが設定されていますので、最寄りのオフィスに送付します。
事務所の所在地 | 住所 | 電話/Fax | 開館時間(月~金) |
---|---|---|---|
アボッツフォード 事務所 | 103-1785 Clearbrook Rd Abbotsford BC V2T 5X5 | 無料通話: 1-800-305-2059 ファックス: 1-855-618-6288 | 08:00~16:00 要予約 aviation.pac@tc.gc.ca |
ケロウナ 事務所 | 4-5583 Airport Way Kelowna BC V1V 1S1 | 無料通話: 1-800-305-2059 無料ファックス: 1-855-618-6288 | 08:00~16:00 要予約 aviation.pac@tc.gc.ca |
プリンスジョージ 事務所 | 350-177 Victoria St Prince George BC V2L 5R8 | 無料通話: 1-800-305-2059 ファックス: 1-855-618-6288 | 08:00~16:00 要予約 aviation.pac@tc.gc.ca |
サレー 事務所 | 2010-7445 132 St Surrey BC V3W 1J8 | 無料通話: 1-800-305-2059 ファックス: 1-855-618-6288 | 08:00~16:00 要予約 aviation.pac@tc.gc.ca |
ヴィクトリア 事務所 | 103-1962 Canso Rd North Saanich BC V8L 5V5 | 無料通話: 1-800-305-2059 ファックス: 1-855-618-6288 | 08:00~16:00 要予約 aviation.pac@tc.gc.ca |
封筒の書き方はこんな感じでいいと思います。
オンラインで申請する場合
個人的には、このオンライン(Eメール)での申請が便利かと思っています。
発送をしに郵便局や集積オフィスに赴く必要がないこと、到着までのタイムラグがないこと、発送費用がかからないこと、紛失などの心配がないことがメリットになります。
一方で、送付データをすべて読み取れるレベルでのスキャンしてデータ化する必要となること、送付データ量(MB等)を気にしないと、メールがエラーとなってしまったり、相手方のオフィサーに手間をかけさせてしまう可能性があるので、そこら辺には十分注意をしましょう。
メールの送付先はBC州のあるPacific Regionであれば一律で次のアドレスが対応先となります。
申請を送付したら
あとは到着を待つだけです。
カナダ運輸省からステッカーなど必要なものが入った横長の封筒が忘れたころに郵送されてきますので、気長に待ちましょう。
大事なことなのに忘れがちですが、到着したらまずは中身の記載内容に間違いがないかを必ず確認しましょう。