多発機資格(Multi-Engine Class Rating)の取得条件
技能
下記に則して行われる飛行機による機長として行う飛行実技検定に合格していること。
飛行実技検定を行う前提条件
通常の検定
飛行実技検定を実施する前に、検定官に次の各書類を提出する。
検定官に提出する書類
- 飛行免許もしくは学生飛行許可証及び航空身体適性の合格証
- 検定実施30日以内に飛行教官資格を保有する教官により署名され、次の内容を含む推薦書
教官による推薦書に含まれる事項
- 受検者に対して検定前の見極め検定を行ったこと
- 受検者が検定を受検するに際して十分な技能基準に達していると認められること
- 受検者が検定の実施に推薦されていること
部分再検定
先に実施された実技検定の結果により部分再検定となった場合、検定官に次の各書類を提出する。
【再検定】検定官に提出する書類
- 前回失格した検定の飛行実技検定報告の写し
- 再検定実施日の30日以内に飛行教官資格を保有する教官により署名され、次の内容を含む推薦書
教官による推薦書に含まれる事項
- 受検者が失格した課目に対する追加の補備訓練を受けたこと
- 受検者が合格できることを認められること
- 教官が受検者を再検定に推薦していること
飛行実技検定に必要な航空機と装備品
検定官は、受検者が次を提示することを確認する。
飛行実技検定に必要な航空機と装備品
次の条件を満たす飛行機であること。
飛行機の検定使用条件
- 飛行実技検定で求められるすべての運動が可能であること。
- 運動を禁止するような運用上の制限がないこと。
- 規則第425条「飛行訓練」の425.23(1)~(2)の項目の要求に適合していること。
検定におけるその他のケース
検定における特定の運動については、カナダ航空法で認定されたシミュレーターを使用する場合がある。
飛行実技検定の実施
飛行実技検定を実施する際、検定官は以下の事項を実施する。
飛行実技検定の実施
- 受検者に対して、機長としての要務内容を確認できる位置から飛行機を飛行させ、別の搭乗者の有無にかかわらず検定を行っていくことを要求する。
- 次の場合を除いて、飛行機の運航には参加しない。
検定官が飛行機の運航に参加する例外
- 特定の所要課目を検定するために必要が生じた場合
- 安全確保のためや、他機に対して受容できない遅れの回避のためにやむを得ず中断、介入をする場合
- 上空課目実施前に飛行空域の安全確保のために行う適切で効果的な見張りを実施しないなど、不安全なエアマンシップや危険飛行が受検者により行われた場合には、検定を中止する。
飛行実技検定での要求水準
飛行実技検定での要求水準
- 検定官は、受検者の次の知識と技能を評価する。
検定官による知識と技能の評価内容
- 要求水準を満たす必要な飛行課目を実施すること
- すべての運動を円滑かつ精確に完了させること
- 健全な判断と良いエアマンシップを示すこと
- 航空に関する知識を正しく示すこと
- 手順や運動の正しい実行をもって疑う余地なく常に航空機に習熟していることを示すこと
- 受検者が制御できない範囲で起こる天候や他機、その他の状況に伴い、公示された要求水準から避けがたい逸脱が発生した場合は、考慮することができる。
- 気流の状況や操縦精度による逸脱の許容範囲は、下記の表のとおり。
飛行諸元の逸脱許容範囲
高度保持 | 通常飛行時 | ±100 ft |
---|---|---|
針路保持 | 通常飛行時 片発模擬不作動時 | ±10° ±20° |
速度保持 | 離陸及び進入時 運動時 | +10/-5 kt ±10 kt |
検定内容
飛行実技検定内容
1 飛行前の運用
a. 航空機への慣熟と飛行準備
b. 付随事項の管理
c. 地上滑走
2 飛行法
a. 離陸
b. 巡航飛行
c. 旋回
d. 低速時の運動
e. 失速
3 緊急手順
a. エンジン故障
b. 各系統の故障
4 到着及び着陸
a. 場周飛行
b. 通常の進入と着陸
c. 片発不作動時の進入と着陸
国防省出身の申請者に対する経験の転用
カナダ軍出身の受検者に対する経験の転用
カナダ軍の現役及び退役軍人で、飛行機の部内資格に適合した者は、技能に関する要求事項については、次のいずれかの条件を満足すれば、修了しているものとみなされる。
機長時間の要件
申請日から24ヵ月の間、50時間の多発機における機長での飛行時間があること。
機長としての運航
申請日から24ヵ月の間、多発機の機長としての運航に関してカナダ軍での基準を満足していること。
外国人の申請者に対する経験の転用
外国人の申請者による経験の転用
取り決めのある国で発行された飛行機の免許を保有する外国人の申請者は、技能に関する要求事項については、次のいずれかの条件を満足すれば、修了しているものとみなされる。
機長時間の要件
申請日から12ヵ月の間、50時間の多発機における機長での飛行時間があること。
機長としての運航
申請日から12ヵ月の間、関係国における規定の基準を満足していること。