カナダBC州の国定史跡【工業施設編】

HISTORY

カナダのブリティッシュ・コロンビア州にある「ナショナル・ヒストリック・サイト」91ヵ所を、ジャンルごとに紹介しています。
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本記事では、工業施設編として5ヵ所を紹介します。

砿業施設

ブリタニア鉱石集積所(1987年登録)

ブリタニア鉱石集積所

正式名称:Britannia Mines Concentrator
設立年:1923年
登録年:1987年
所在地:ハイウェイ99号線沿いブリタニアBritanniaビーチBeachハウHoweサウンドSound
概要:鉱物集積施設

1920年代と1930年代にカナダ最大の鉱山事業の1つ銅鉱石を処理するために使用された重力供給式鉱物集積施設です。ブリタニア鉱山をカナダの鉱業史の重要な場所とした知らしめた現存する工場です。

出典: wikiwand.com
出典: wikiwand.com

70年間の長きに渡って、ブリタニア鉱山は銅鉱石の生産地として重要な役割を担ってきました。特に1920年代と1930年代には、1日あたり2,500トンの鉱石を処理するように設計された当施設は、大英帝国全体で最大の銅鉱石生産事業を行いました。

ブリタニア鉱山は、1905年に鉱石の生産を開始し、2番目の鉱物集積装置が建設される1912年以降まで、重要な事業とは言えませんでした。しかし、1923年に銅鉱石を処理するための現在もあるこの重力供給式鉱物集積施設が完成し、バルク浮選を使用するなど、当時では非常に革新的な設備として評価されました。
1929年には、人種混合の恒久的な労働力が整備され、1,000人を超える鉱夫たちとその家族たちが工場と鉱山のある両方の町において生活するようになりました。

この鉱山は、1974年に閉山以降、現在はブリタニア・ビーチ歴史協会が所有しており、ブリティッシュ・コロンビア鉱業博物館の一部となっています。


林業施設

マクリーン製材工場(1989年登録)

マクリーン製材工場

正式名称:McLean Mill
設立年:1925年
登録年:1989年
所在地:バンクーバー島のポート・アルバーニPort Alberni
概要:製材工場

バンクーバー島のアルバーニ渓谷の森林にあり、20世紀初頭に活躍した現存する希少な製材・伐採施設として、歴史的価値があります。

出典: visitorinvictoria.ca

森林産業遺産であるこの蒸気式製材所は、1880年代から1940年代にかけて州内で繁栄した事業のひとつです。
規模は小さいものの、丸太の運搬や二重丸のこなど、沿岸部に存在した大規模な製材工場の多くの要素がこの施設にも見られます。

この製材工場は、1927年に、製材会社R.B.マクリーンMcLean材木店が完成し、以降1965年まで家族経営で活躍しました。伐採から蒸気機関車による輸送までをこなし、ブリティッシュ・コロンビア州に経済的にも社会的にも貢献してきた産業であると言えます。


発電施設

ステイヴ・フォール水力発電所(2003年登録)

ステイヴ・フォール水力発電所

正式名称:Stave Falls Hydro-Electric Installation
設立年:1912年
登録年:2003年
所在地:Mission
概要:水力発電施設

3つのダム、発電所、切替施設、その関連施設で構成されるこの水力発電施設は、20世紀初頭に活躍した典型的な水力発電所として現存する保存状態が良好な施設として歴史的価値があります。

内部の様子 出典: 4travel.jp
外観 出典: commons.wikimedia.org

当ダムは1912年に完成し、この水力発電所やダム、またその関連技術は、1895年から1915年までのカナダ全体で建設された約160の発電所におけるカナダの水力発電技術開発に大きく貢献してきました。同時期には、ディスク絶縁体の開発などの技術革新が進み、より長距離をより多くの電力を伝送することが可能になりました。こうした技術的な進歩に助けられ、ステイヴ・フォールズ発電所のような遠隔地での電力開発が可能となり、水に恵まれたこの地域の水力の可能性を最大限に利用できるようになりました。

30mにも及ぶダムの水力落下を利用し、メインランド下部流域地域における300メガワットもの電力を供給することができました。

後に業界内の統合により、ブリティッシュ・コロンビア電気鉄道会社(BCER)が設立されましたが、開発の焦点は引き続き水力発電であり、大英帝国でも最大の電力会社の1つとして活躍しました。
現在は、ダム下の鉄筋コンクリートの発電施設が改装され、ブリティッシュコロンビア州の水力発電の歴史に特化した博物館と解説センターとして運営されています。


製缶工場

ジョージア湾製缶工場(1976年登録)

ジョージア湾製缶工場

正式名称:Gulf of Georgia Cannery
設立年:1894年
登録年:1976年
所在地:リッチモンドRichmondスティーヴストンSteveston
概要:製缶工場

西海岸で歴史的に最も重要な漁村だった場所にある、魚の加工と缶詰に使用された埠頭の木製の建物の複合体で、漁業産業の発展の実例となった製缶工場です。

出典: tourismvictoria.com

数千年にもわたって、カナダ西海岸の人々にとって漁業は極めて重要なもので、先住民族の人々にとっても、漁業による魚食文化は重要な要素でした。
商業漁業は、ハドソンズ・ベイ社が樽に輸出するために鮭を塩漬けした1830年代に始まります。
より効率的な漁法や、新しい製缶技術や冷凍技術、船や鉄道による離れた市場へのアクセスは、世代を超えて多くの人々に人種や性別を問わず雇用機会を提供する産業として発展しました。
1894年に建設されたジョージア湾製缶工場は、この歴史の象徴です。

1979年にカナダ政府が国定史跡として運用するために購入することとなるまで当工場は機能し、現在は一般公開されています。


北太平洋製缶工場(1985年登録)

北太平洋製缶工場

正式名称:North Pacific Cannery
設立年:1889年
登録年:1985年
所在地:ポートPortエドワードEdward
概要:製缶工場

100年以上にわたる西海岸の漁業を代表するサーモン用の製缶工場で、比較的保存状態が良好な建造物群で構成されています。

出典: thenorthernview.com

ブリティッシュコロンビア州の北西海岸、プリンス・ルーパートのすぐ南にあるポート・エドワードのこの太平洋サーモン製缶工場は、西海岸で現存する最も古い製缶工場としてこの海岸地域の19世紀から20世紀の経済発展に貢献しました。
1895年にほぼ完成して以来、工場の基本構造は、基本的に変更されずに続きました。
ベルアーヴィング家はこの地域から高品質のサケを1900年までにイギリスに直接出荷しました。
労働力は都市部からというよりは現地の先住民族の人々が中心であり、それにより、低コストでの製造が可能となったものの、新技術への適応については非常にスローペースであったと言われています。労働者として活躍した中国人、日本人、先住民と白人達の居住地域は隔離されていました。

北太平洋製缶工場有限会社は、1889年にジョン・カーシュー氏によって設立されましたが、彼は後の1891年にヘンリー・ベルアーヴィング氏にこの製缶工場を売却し、アングロ・ブリティッシュ・コロンビア包装会社として1980年まで長らく運営されました。

この施設群は、1890年代から1950年代にはサーモン缶詰工場、1890年代から1920年には養生工場、第一次世界大戦後には製缶工場、1900から1954年には冷蔵工場になるなど、数多くの経済活動拠点として、時代の変遷とともに機能しました。
その後は、1950年代初頭には石油生産プラント、1955年から1968年、及び1972年から1980年にはニシン削減プラントになっています。



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