第2部 地上/飛行指導シラバス (1/3)
本記事は、4部で構成される飛行教官ガイドの第2部に基づくものです。
第2部は量が多いため、前編(課目1~15)と中編(課目16~23)と後編(課目24~29)に分割しています。
はじめに
第2部「地上/飛行指導シラバス」では、経験豊富な飛行教官や飛行教官の訓練生に対し、飛行訓練に関して学生に順序だったプレゼンテーションに向けた方向づけを目的として書かれています。飛行指導法は、使用する機体の種類や搭載している機器の特性に大きく依存するため、それぞれに対する直接的な言及はここではされていません。
この第2部に含まれる資料は、固定脚と固定ピッチプロペラを備えた非常に単純なタイプの機体から、格納式の脚を備えた比較的洗練されたタイプまで、航空機の飛行訓練のすべての側面を包括的にカバーしています。
上空での指導をより効果的なものにするためには、訓練を開始する前に学生が各課目について十分な予備知識を身に付けておくことが不可欠です。
教官がこうした知識を学生に示す際に、訓練補助器材の使用が役立ちます。黒板や模型飛行機、飛行マニュアルなどの基本的な補助用品だけでなく、教官が自ら準備したその他の多くの教材も利用可能です。このガイドやカナダ運輸省の飛行訓練マニュアルと組み合わせて使用することでより効果的となる優れた参考書が市場には多く出回っています。
学生が予備知識を習得する方法は、各科目や個別の訓練機関によって異なります。大規模な学校では、その一部を地上座学担当の教官が教育する場合もありますし、比較的小規模な学校では、それぞれの飛行教官がその教育の責任を負うのが一般的です。
地上指導の範囲や内容によっては、学生にいつ指導すべきかが決まっている場合もあります。地上訓練の計画を短時間で実施できる課目の大部分では、飛行前ブリーフィングと上空指導の直前でこの地上教育を行うことができます。
パイロット航法のように長時間に及ぶ課目の場合には、上空指導を実施する前日など、別に専用の地上座学の時間を設けて教育を行うことがよくあります。このような形で教育を行う場合、教官は飛行前ブリーフィングの際に、その課目に関連する事項を学生がしっかりと理解できていることを確認する必要があります。
第3部にて示される訓練計画を参照すると、教官は個々の課目を他の課目とまとめて訓練計画するような要領についても触れられています。
各課目について
各課目に関して、次の5つのブロックで説明が行われています。
課目1:慣熟
課目2:航空機の慣熟と飛行準備
課目3:付属装置の操作
課目4:地上滑走(タクシー)
課目5:姿勢と運動
課目6:水平直線飛行
課目7:上昇
課目8:降下
課目9:旋回
課目10:航続距離と飛行可能時間
課目11:低速飛行(スローフライト)
課目12:失速(ストール)
課目13:旋転(スピン)
課目14:螺旋降下(スパイラル)
課目15:すべり飛行(スリップ)
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