COVID-19対策でカナダ運輸省の措置として発行された「対応措置とガイダンス」です。
航空身体適性の有効期限に関する特例措置は、それが新規なのか更新なのか、どのカテゴリーで受検しているのか、また期限切れになるタイミングがいつなのかによって、与えられる特例が変わってきます。下記の表を参考にして、自身がどの該当項目に合致しているのかをよく参照してみてください。
民間航空身体検査要領の変更について
概要
- カテゴリー1~3の航空身体検査について
- 新規申請者に該当する例外規定はなく、通常どおりの手続きを行う
- 2020年3月17日以前に期限切れ→通常の対面式診療
- 2020年3月17日以前に期限切れの場合で、
2020年3月17日以前に期限切れ、かつ
- 変化なしで制限なし→自己申告証明(Attestation)による適性を付与
- 変化があるまたは制限に該当→遠隔診療が可能
航空身体検査の申請者と民間航空医療検査官(CAME)との間の直接的な接触を最小限にする施策として、航空身体検査の受検要領について、いくつか暫定手順が設けられています。
航空身体適性が再び認められるまでの間の2020年3月17日から2020年8月1日の間に有効期限が切れるカナダ運輸省(TC)の航空身体適性(MC)を保有している場合は、以下に示される条件にしたがい、2020年8月1日まで許可証や免許証、追加資格で許可された範囲の権限を行使することができます。
40歳以上60歳未満のパイロットで、カナダ航空規則(CARs)の第404.04(6.2)(a)項の規定にしたがって操縦を1人で行うことのできる航空機で乗客を乗せる運航をするため6か月ごとの健康診断を必要とするパイロットは、 運航に2名の操縦士を要する12か月間有効なカテゴリー1の航空身体適性を保有している限り、この例外規定にしたがい1人で操縦できる運航の操縦士として飛行することができます。
申請タイプごとの更新要領
カナダ運輸省(TC)では、航空身体適性の保有者について下記の5つのタイプに分類を行っています。それぞれの特例については、A~Eの項目として説明をしています。
A. 新規申請者
カテゴリー1~3の航空身体適性 (カテゴリー4については下記参照)
A. 新規申請者
- 2020年3月17日以前に有効期限が切れる航空身体適性の保有者は、対面による直接の診療が必要です。
- 新規申請者と2020年3月17日までに有効期限が切れた航空身体適性の保有者は、遠隔医療検査の対象外です。対面による直接の診療が必要です。
航空身体適性は、通常期間で有効です。
B. カテゴリー4の航空身体検査
B. カテゴリー4の航空身体検査
- 既存の手続きからの変更事項なし
- 通常のカテゴリー4による宣言を完了し、必要に応じ医師の署名を受けて送付
- 航空身体適性は通常の期間が有効
- カテゴリー4の申請者には自己申告申請様式の使用が認められないため、遠隔診療の受診も不可
C. 2020年3月17日以前に期限切れとなる航空身体適性の保有者
C. 2020年3月17日以前に期限切れとなる航空身体適性の保有者
- 2020年3月17日以前に有効期限が切れる航空身体適性の保有者は、対面による直接の診療が必要です。(遠隔診療の対象外)
D. 既に期限切れもしくは2020年3月17日から2021年3月31日までに期限切れになる航空身体適性の保有者
この項目が、本例外規定の一番の目玉となっています。
D. 既に期限切れもしくは2020年3月17日から2021年3月31日までに期限切れになる航空身体適性の保有者
Attestation(自己申告証明書)による更新
Attestation(自己申告証明書)による更新
適用条件
- カテゴリー1~3の航空身体適性のみで、カテゴリー4はこの申請様式を使用不可
- 航空身体適性の保有者は、身体適性に以下の制限がないこと、及び前回の航空身体検査以降で健康状態に変化がないこと
- これらの条件を満たせない航空身体適性の保有者は、航空身体検査官(CAME)による診療を受ける必要あり
申請者に対する指示事項
- 自己申告証明を完了し、証人に署名をしてもらいます。証人は成人でなければなりません。
- 有効期限が2020年3月17日から2020年8月1日までの航空身体適性の保有者は、2020年8月1日までに証明書の提出を完了する必要があります。
- 2020年8月1日以降に有効期限が切れる航空身体適性の保有者は、有効な航空身体適性の有効期限が切れる前の90日以内に証明書の作成を完了して提出する必要があります。
- 写しを1部カナダ運輸省 民間航空医療の地域事務所に提出します。(下記の連絡先詳細を参照)
- カナダ運輸省(TC)からこれに関する文書やステッカーは送付されません。
- 航空身体証明書または航空関係文書ブックレット(ADB)と一緒にこの写しを保管します。これにより、航空身体適性を証明するものになります。
有効性
- すべての航空身体検査カテゴリーについて、自己申告証明によって新たに認定された航空身体適性は、もともとの有効期限から1年間有効になります。
- カナダ航空規則(CARs) 第404.04(6.2)項にしたがって、通常6ヵ月の有効期間を持つ自己申告証明によって新たに認定された航空身体適性は、2020年の有効期限から6ヵ月間のみ有効になります。
もし自己申告証明によって新たに認定された航空身体適性が2021年3月31日以前に、有効期限を迎える場合には、最大6ヵ月間かつ元の有効期限から1年間有効となる2回目の自己申告証明を行うことができます。
遠隔診療と必要に応じた個別対面診療による更新
遠隔診療と必要に応じた個別対面診療による更新
遠隔診療とは
- 遠隔診療は通常、電話や音声会議技術を使ってリモートで実施されます。ビデオの使用は必須ではありませんが、航空身体検査官(CAME)は必要に応じビデオ会議の技術を使用することもできます。
- 航空身体検査官(CAME)は、身体検査を実施するために電子的身体検査報告(eMER)ツールを使用する必要がありますが、引き続き紙のフォームを利用することも可能です。
- 航空身体検査官(CAME)は、民間航空医療チームに連絡し、資格情報とeMER訓練資料を取得する必要があります。
適用条件
- カテゴリー1~3の航空身体適性のみ
- 航空身体適性に下記の制限のいずれかがある航空身体適性の保有者、または前回の航空身体検査以降に健康状態に変化があった場合
申請者と航空身体検査医官に対する指示事項
- 航空身体検査官(CAME)はまず遠隔診療を行います。
- 民間航空医療局に送付された情報が正しいことを確認するのは、航空身体検査官(CAME)の責任です。
- 遠隔診療のみで評価を行う場合、心電図、尿検査、聴力図、および視力検査を含む一連の検査は、次回の全項目検査の際まで不要です。
- かかりつけ医師の報告書、専門家の報告書、血糖地の記録や検査結果、特別な検査内容など、更新に際して事務局に提出が必要な医療報告書は、通常は航空身体適性の保有者が個別に提出しますが、更新の前に航空身体検査官(CAME)による事前確認が必要となります。
これらの報告書は、MERの報告書とともに事務局に提出が必要です。 - 航空身体検査官(CAME)は、検査結果が十分であると判断した場合には、遠隔医療評価後に再認証を行うことができます。
- 航空身体検査官(CAME)が、遠隔医療の検査結果が不十分であると判断した場合には、対面式の健康診断を行います。対面検査が必要な場合は、心電図、尿検査、聴力図、視力検査を含むすべての一連の検査を実施する必要があります。
- 航空身体検査官(CAME)は、申請者の航空身体適性に通常どおり「適合」のスタンプを付けて再認証します。
適格性
- カナダ航空規則(CARs) 第404.10項に示される身体適性の保有者は、最初に身体適性の有効期間が満了した日から1年後のその日まで
For holders of a medical certificate subject to section 404.10 of the - カナダ航空規則(CARs) 第404.04(6.2)項に示される身体適性の保有者は、最初に身体適性の有効期間が満了した日から6ヵ月後のその日まで
- すべての航空身体適性のカテゴリについて、対面検査によって更新を行った航空身体適性は、航空身体適性の保有者が、第404.04(6)項の表に記載される航空身体適性の通常の有効期間に「適合」と評価された日から有効で、カナダ航空規則(CARs)の第404.04(6.2)項、もしくは大臣が証明書に承認した有効期間の終了のいずれか早い方まで有効
E. 2021年3月31日以降に期限切れとなる航空身体適性の保有者
E. 2021年3月31日以降に期限切れとなる航空身体適性の保有者
全カテゴリー共通で、この場合は現在は対処要領は特になし。
近くなったら、新たな情報のアップデートを確認すること。
Attestationによる更新ができない制限事項
制限事項
- 免許証に制限がある場合
- 許可証に制限がある場合
- 3ヵ月の制限がある場合
- 6ヵ月の制限がある場合
- 9ヵ月の制限がある場合
- 12ヵ月の制限がある場合
- 24ヵ月の制限がある場合
- 指定日が記載された制限がある場合
- 自家用操縦士免許(PPL)に対し12ヵ月の制限がある場合
- 他の航空管制官とともに勤務する場合にのみ任務遂行能力があるとされる制限がある場合
- 随行操縦士が必要な場合
- 航空身体検査医官による更新で有効でない場合
すべての航空身体適性の保有者は、カナダ航空規則(CARs)をあらゆる点で遵守するものとし、CARsは本例外規定以外のあらゆる点において引き続き適用されます。航空身体適性の所有者は、CARsの第404.06項に規定されるいずれかの状況に合致することで有効な航空身体適性を失った場合には、その免許範囲の実行ができなくなることに注意が必要です。
2020年3月17日から2020年8月1日の間に有効期限が終了するすべての航空身体適性保有者について (NCR-071-2020)
対象者
対象者
2020年3月17日から2020年8月1日の間に
有効期限が終了するすべての航空身体適性保有者
措置の具体的内容
措置の具体的内容
2020年3月17日から2020年8月1日の間に有効期限が終了する航空身体適性の有効期限を2020年8月1日まで延長するものです。
適用条件
当例外規定の適用条件
- 前述の事項によらず、許可証や免許証、資格の免許範囲の権限を行使する際に、有効な航空身体適性を失っている場合で、カナダ航空規則(CARs) 第404.06項に記載されている状況のいずれかに合致する場合には、これらの免許範囲の権限の行使はできません。
- この例外規定条件にしたがって許可証や免許証、資格の免許範囲の権限を行使する場合、本件の例外規定以外のすべてにおいてカナダ航空規則(CARs)を遵守すること
有効期限
有効期限 (次のうちいずれか早いもの)
- 2020年8月1日 23:59 (EST) まで
- 公益性が失われた、もしくは運輸大臣が航空安全やセキュリティ上の悪影響を与える可能性が高いと判断した場合に、書面によりこの例外規定を取り消すまで
民間航空医官による遠隔診療での航空身体適性の更新措置について (NCR-061-2020)
NCR-061-2020
カナダ航空規則 424医学的要件における第404.17(a)、404.18(a)、424.17(1)(a)、424.17(4)項の例外規定
対象者
措置の具体的内容
措置の具体的内容
航空身体検査官の判断により、テレビ電話などのツールを使って遠隔で身体検査を実施し航空身体適性の更新をできるようにする措置です。
適用条件
当例外規定の適用条件
- 航空身体検査官 (CAME) は、更新の際のみに遠隔診療による航空身体検査を実施することができます。
- 検査官は、医療認可機関により保有する免許について十分と認められた場合に、航空身体検査を実施することができます。
- 下記の4と5の条件により、カナダ航空規則(CARs)による直接の対面診療が必要となるカテゴリーの航空身体適性の更新に関する基準でも、遠隔診療をもって実施することができます。
- 検査官が申請者の適性やこの例外規定にしたがって遠隔での診療を行ったものの、この診療のみで航空身体適性の付与を判断できない場合には、対面での診療を行います。
- 遠隔での診療による航空身体適性の更新で十分と判断される場合には、検査官は申請者の名前と身体適性番号、検査日、「適合」の証明、検査官の名前と検査官番号、連絡先を明記した書簡もしくは電子メールを、可能な場合はスタンプを付して申請者に提供します。
- 航空身体検査官は、この例外規定条件にしたがい、カナダ航空規則(CARs) の第404.17(a)項、第404.18(a)項、第424.17(1)(a)項以外のすべての点においてCARsに準拠するものとします。
有効期限
有効期限 (次のうちいずれか早いもの)
- 2021年3月31日 23:59 (EST) まで
- 公益性が失われた、もしくは運輸大臣が航空安全やセキュリティ上の悪影響を与える可能性が高いと判断した場合に、書面によりこの例外規定を取り消すまで
2020年3月17日から2021年の3月31日までの間に有効期間が終了するカテゴリー1~3の航空身体適性の保有者に対する適合証書もしくは遠隔診療による更新認定について (NCR-062-2020)
NCR-062-2020
カナダ航空規則 第404.03(2)(a)(b)、404.04(1)(b)項の例外規定
対象者
対象者
2020年3月17日から2021年3月31日までの間に
有効期間が終了するカテゴリー1~3の航空身体適性の保有者
措置の具体的内容
措置の具体的内容
2020年3月17日から2021年3月31日までの有効期間を持つカテゴリー1~3の航空身体適性の保有者は、条件に応じ、自己申告による証明 (attestation of fitness) または遠隔による航空身体検査の受検が認められ、定例の更新を行うことができる措置です。
適用条件
当例外規定の適用条件
自己申告証明 (attestation of fitness) による航空身体適性の更新
自己申告証明による航空身体適性の更新
- 自己申告証明による更新は、次の条件が満たされた場合にのみ適用されます。
- 航空身体適性には、「Attestationによる更新ができない制限事項」に記載されている制限やその他の制限事項がないこと
- 航空身体適性の保有者の健康状態が、前回の身体検査以降に変わりがないこと
- 更新は、既存の有効期限に追加され、CARs第404.04(6)項の指定にしたがい、有効期間の終了直後の月の初日に期限切れとなります。
- 航空身体適性の保有者は、元の航空身体適性の証明または航空関連文書ブックレット(ADB)とともに、記入済みの自己申告証明の写しを保管しておくものとします。
- この例外規定を利用して、自己申告証明による航空身体適性を更新する場合は、記入済みで署名の入った証明書を運輸大臣に提出します。
- 2020年3月17日から2020年8月1日の間に航空身体適性が失効する場合は、2020年8月1日までに提出
- 2020年8月1日以降に期限切れになる場合には、有効な航空身体適性の有効期限が切れる90日以内に提出
遠隔での診療による航空身体適性の更新
遠隔での診療による航空身体適性の更新
- 航空身体適性の保有者は、航空身体検査官 (CAME) による遠隔診療を受診する場合があります。
- 遠隔診療による身体適性の更新は、次のいずれかの条件を満たす場合のみ適用可能です。
- 航空身体適性に、本文書で記載される制限事項が少なくとも1つある場合
- 前回の身体検査実施以降に健康状態の変化があった場合
- 遠隔診療を利用して航空身体適性検査を実施した場合、航空身体検査官 (CAME) が発行する「適合」である旨を示す書簡または電子メールの写しを、元の航空身体適性の証明もしくは航空関係文書ブックレット (ADB) と合わせて保管しておきます。
この例外規定条件にしたがい航空身体適性の権限を行使するすべての者
この例外規定条件にしたがい航空身体適性の権限を行使するすべての者
- 航空身体適性の有効期間は次のように更新されます。
- カナダ航空規則(CARs)の第404.10項の対象となる航空身体適性の保有者は、元の航空身体適性の有効期限日から1年後の日まで
- CARsの第404.04(6.2)項の対象となる航空身体適性の保有者は、元の航空身体適性の有効期限日から6ヵ月後の日まで
- この例外規定条件にしたがって航空身体適性に認められる権限を行使しようとする場合、あらゆる点でCARsに準拠します。
有効期限
有効期限 (次のうちいずれか早いもの)
- 2021年3月31日 23:59 (EST) まで
- 公益性が失われた、もしくは運輸大臣が航空安全やセキュリティ上の悪影響を与える可能性が高いと判断した場合に、書面によりこの例外規定を取り消すまで
https://flyinbc.com/tc19x-medical
関連