2017年6月更新の初版の航空機型式証明用「飛行実技検定ガイド」(飛行機)を参照して作成しています。
型式証明「Aircraft Type Ratings」の飛行検定ガイドでは、課目の説明に入る前の導入部分というか前置きの部分が非常に大きなボリュームになっています。
そのため、本記事では、検定ガイドの内容を導入部分の「前編」と、課目の説明部分の「後編」に分けて紹介していきたいと思います。
はじめに
この飛行実技検定ガイドは、操縦技量検定(PPC)の実施と、民間航空局安全審査官(CASI)や認定検定パイロット(ACPs)が航空機型式証明の実技検定で使用するために作成されたものです。
カナダ運輸省(TC)は、認定検定パイロット(ACPs)に対する認定を発行し、操縦技量検定(PPC)や路線検定に関する実施権限を委託しています。
関係略語一覧
用語の定義
認定検定パイロット(ACP)(タイプA)
認定検定パイロット(ACP)(タイプA)とは、航空法で定める「705運航」についてのみ「操縦技量検定(PPC)」と「路線検定」の実施権限を与えられた人物のこと。
認定検定パイロット(ACP)(タイプB)
認定検定パイロット(ACP)(タイプB)とは、航空法で定める「705運航」についてのみ「路線検定」の実施権限を与えられた人物のこと。
認定検定パイロット(ACP)(VFR専門)
認定検定パイロット(ACP)(VFR専門)とは、VFR飛行検定においてのみ「操縦技量検定(PPC)」の実施権限を与えられた人物のこと。
上空操縦技量検定
上空操縦技量検定とは、操縦技量検定(PPC)において、シミュレーターでの実施に引き続いて行われる上空での実施部分のこと。シミュレーターの認証や再現度や、訓練プログラムの内容や受検者の状態などによって状況が変わってくる。
航空機運航マニュアル (AOM)
航空機運航マニュアル(AOM)とは、操縦士の運用法に関するマニュアルやハンドブック(POH)、搭乗員運航マニュアル(FCOM)または運用者によって作製された搭乗員の運航を支援するための使用法や手引きのこと。
航空機操縦技量検
航空機操縦技量検Aircraft PPCとは、全ての事項を航空機で実施する操縦技量検定(PPC)のこと。
認定検定パイロット(ACP)
認定検定パイロット(ACP)とは、飛行検定の実施について、航空法の第1部4.3項に基づいて運輸大臣の公式な認定を受けた人物。
認定代理人(AP)
認定代理人(AP)とは、型式証明や計器飛行証明などの臨時免許内容を発行するために免許手続きを行う代理人として認定された人物で、航空関連書類用ブックレット(ADB)や追加の免許内容の記載部分にそれを書き加えたり、指定フォーム(26-0267)に記載を行うことにより、その業務を行う。
カナダ式航空関連書類(CAD)
カナダ式航空関連書類(CAD)とは、航空法の第3項に示される、免許証、許可証、認定証、証明書、航空法の第1部に基づいて、人物、航空製品、飛行場、施設、業務などについて運輸大臣により発行されるその他の航空関連文書のこと。
証明書
証明書とは、航空運航事業者の証明書のこと。
民間航空安全審査官(CASI)
民間航空安全審査官(CASI)とは、カナダ運輸省(TC)の審査官で、飛行検定や認定検定パイロット(ACP)のモニターを実施することについて訓練され認定を受けた人物のこと。
民間航空業務標準(CASS)
民間航空業務標準(CASS)とは、航空運航事業者により運用される民間航空業務について適用される、運輸大臣の権限で発行された航空法標準のこと。
会社検定操縦士マニュアル(TP6533)
会社検定操縦士マニュアル(TP6533)とは、認定検定操縦士マニュアルの先代のもの。
会社従業員
会社従業員とは、パートタイムやフルタイム、期間契約により雇用された人物のこと。
実施
実施とは、飛行前準備、ブリーフィング、様々な業務の順序立てや時間配分、受検者の技量評価、デブリーフィング、受検者の免許認定も含む必要な書類の処理など、飛行検定のすべての段階において積極的な役割を担って行うこと。
現代式クルーリソースマネジメント(Contemporary CRM)
現代式クルーリソースマネジメントとは、クルーリソースマネジメント(CRM)に関する現在の表現法であり、コミュニケーションや搭乗員のコーディネーション訓練を通じて培う技術と、スレットエラーマネジメント(TEM)の考え方を適用した運航に関するリスク管理を統合したものである。
クルーリソースマネジメント(CRM)
クルーリソースマネジメント(CRM)とは、安全で効率的な運航を実現するために、全ての利用可能な資源を効果的に活用することである。CRMの目的は、関連する搭乗員たちのコミュニケーション、人的要素、管理技術を高めることである。搭乗員の能力発揮に関する技術的でない側面に重点が置かれている。
逸脱
逸脱とは、飛行検定の各課目の許容範囲における不精確さについて定量化された指標のこと。機体の取扱いに関する4点式の技術要素採点方式により評価を行う。
エラー
エラーとは、搭乗員が意図したり予定している事項から違いが生じてしまうような行為の実行または不履行に関して行われる定性評価である。技術と知識の要素について4点式の採点方式により評価を行う。
飛行検定(Flight Check)
飛行検定とは、このマニュアル内においては「操縦技量検定(PPC)」を指す。
飛行検定課目
飛行検定課目とは、次で示されるような運動や作業、項目のこと。
飛行検定課目の該当事項
- カナダ航空法(CARs)標準
- カナダ運輸省発行情報(TP14727)「操縦士技量検定と航空機型式証明の飛行検定ガイド」
- カナダ運輸省「飛行検定報告 操縦技量検定」フォーム
飛行模擬訓練装置 (FSTD)
飛行模擬訓練装置(FSTD)とは、カナダ運輸省認定のフルフライトシミュレーターまたは、「飛行機及び回転翼機シミュレーターマニュアル(TP9685)」内で定義され航空法の606.03項で認可を受けた飛行訓練装置のこと。
IFR関連事項(IFR-Related Sequence)
IFR関連事項とは、飛行計画、標準計器出発(SID)、待機、標準到着経路(STARs)、計器進入、進入復行などの計器飛行手順に関連する飛行検定項目のこと。
計器技量検定(IPC)
計器技量検定(IPC)とは、計器飛行証明の発行に必要な技量標準を満足しているという一定の技量レベルの維持を確認するために実施する定期イベント。アドバイザリーサーキュラー(AC)の401-004を参照
免許発行代理人(Licensing Agents)
免許発行代理人については、「認定代理人(AP)」の項を参照。
路線検定(Line Check)
路線検定とは、航空法の第705.106(1)(d)項にしたがって路線運航訓練完了の際に実施される飛行検定のこと。
路線検定操縦士(Line Check Pilot)
路線検定操縦士とは、運航会社の路線検定プログラムにしたがって路線検定を実施するために指名された「705業務」の運航者により、機長として業務を命ぜられた個人のこと。
この路線検定においては、双発機長距離進出運航(ETOPS)、巡航支援パイロット(CRP)、RNAV運航に関する事項は含まれない。
シミュレータープログラム管理者 (MSP)
シミュレータープログラム管理者(MSP)とは、カナダ運輸省(TC)において、国内シミュレーター評価プログラム(NSEP)の管理運営全般と運用について責任を有する人物のこと。
欠損/不具合/不作動(MMI)構成品
欠損/不具合/不作動(MMI)構成品とは、FAAにおいて定められた、飛行運動や各種手順、作業を完全に実施するために正しく可動することが求められる飛行模擬訓練装置(FSTD)の構成品のこと。
非技術的要素 (Non-Technical Skill Elements)
非技術的要素とは、当マニュアル内の「協調性」「リーダーシップと管理技術」「状況認識」「意思決定」を参照。4点式で評価される。
運航者 (Operator)
運航者とは、航空法第7部の航空運航者資格を保有者、もしくは航空法第604項の個人運航者の登録書類の保有者のこと。
飛行業務操縦士 (PF)
飛行業務操縦士(PF)とは、複数の搭乗員を要する機体において、現在または予定する飛行について管理する責任を有するパイロット。
機長 (PIC)
機長(PIC)とは、機内の関係性において、飛行中の機体の運航と安全について責任と権限を有するパイロット。
監視業務操縦士 (PM)
監視業務操縦士(PM)とは、非操縦業務操縦士(PNF)から代わった用語で、複数の搭乗員を要する機体において、現在と将来の飛行行動について監視する責任を有するパイロット。
非操縦業務操縦士 (PNF)
非操縦業務操縦士(PNF)とは、監視業務操縦士(PM)に代わった言葉で、現在は使用されていない。
操縦技量検定 (PPC)
操縦技量検定(PPC)とは、航空法の標準第7部にしたがって行われる適切な検定計画に基づき、「認定検定パイロット(ACP)」または「民間航空安全審査官(CASI)」
により実施される飛行検定のこと。
行動計画 (Plan of Action)
行動計画とは、米国連邦航空局(FAA)により採用された用語で、「記述型PPC」に似ているが、それよりはもっと形式ではないもの。ACPが単に受検者を評価するために使用される。航空法の標準第7部「PPC計画」で示される必要な飛行検定課目すべての記載したリストが含まれ、いくつかの飛行検定課目をまとめて実施できるシナリオが含まれる場合もある。
PPC/IFR
PPC/IFRとは、計器飛行方式(IFR)により実施される「操縦技量検定(PPC)」のこと。
計器飛行証明の最初の発行を含むいくつかの要件を満足するとみなされる。
PPC/VFR
PPC/VFRとは、有視界飛行方式(VFR)により実施される「操縦技量検定(PPC)」のこと。VFR運航のみの要件を満足するとみなされる。
有資格者 (Qualified Person)
有資格者とはシミュレーターを使用した「操縦技量検定(PPC)」の実施に際して、次のいずれかの事項に該当する人物のこと。
有資格者の条件
- 他の受検者が受検する機体と同型式での有効なPPCまたは外国における同等の資格を有する操縦士
- その型式の航空機における飛行検定に推薦された人物
- 受検者が受検する機体と同型式の資格を有する訓練操縦士で、運航者にもPPC受検者にも受け入れられる人物
安全操縦士 (Safety Pilot)
安全操縦士とは、運航に複数名を要する航空機の場合に、受検者が受検するものと同型式での有効な操縦技量検定(PPC)を保有する操縦士または訓練操縦士のこと。
記述型PPC
記述型 PPCとは、シミュレーターで操縦技量検定(PPC)が実施されている間に受検者に与えられるイベントを管理する文書のこと。この記載事項は、航空法の第7部「PPC計画」により定められたすべての飛行検定課目の必須事項を実施するための詳細な計画が含まれる。航空管制官(ATC)との通信やシミュレーター装置の指示などの追加情報は適宜与えられる。
第二操縦士 (SIC)
第二操縦士(SIC)とは、機長(PIC)に資格を受けた航空機の型式において報告を行う、または2人以上の操縦士を要する運航において乗務する操縦士のこと。「ファーストオフィサー(F/O)」と類義語である。
シミュレーター構成品不作動ガイド (SCIG)
シミュレーター構成品不作動ガイド(SCIG)とは、カナダ運輸省(TC)により最初のシミュレーター認証要件をクリアするために与えられるガイドのこと。
シミュレーター PPC
シミュレーターPPCとは、フルフライトシミュレーターを使って行われるPPCのこと。
特別認証 (Special Authorization)
特別認証とは、運用マニュアルに示される航空運航者資格(AOC)に関連する認証、状態、制限のこと。運用仕様(Ops Spec)の代わって使用される用語。
標準運用要領(SOPs)
標準運用要領(SOPs)とは、航空機飛行マニュアル(AFM)、航空機運用マニュアル(AOM)、会社運用マニュアル(COM)などで定められた制限内で搭乗員が機体を運航できるように運用者が設定する要領のこと。
TCE/ACP
TCE/ACPとは、FAA142項による「訓練センター評価者(TCE)」の資格と経験に基づいて認定を受けた認定検定パイロット(ACP)のこと。
技術的要素 (Technical Skill Elements)
技術的要素は、当マニュアル内の「航空機の取扱い」と「技術と知識」を参照。4点式で評価される。
スレットエラーマネジメント (TEM)
スレットエラーマネジメント(TEM)とは、「防衛飛行」の考え方で、無視したり放置したりすると、望ましくない航空機状態(UAS)に陥り、場合によっては事故につながる可能性のあるような問題を認識し、回避するための技術と行動をパイロットに提供するもの。スレット、エラー、高度逸脱などの望ましくない航空機状態(UAS)がパイロットが安全を維持するために管理しなければならない日常的な実施事項であることを示しており、現代のCRMの中心と考えられる。
訓練操縦士 (Training Pilot)
訓練操縦士とは、航空法標準の第7部に定める要件を満足したパイロット。
カナダ運輸裁判所 (TATC)
カナダ運輸裁判所(TATC)とは、カナダ運輸控訴裁判所法に基づき2003年に設立された準司法機関のこと。1986年に航空法の第4部に基づき設立された民間航空法廷から代わった。
望ましくない航空機状態 (UAS)
望ましくない航空機状態(UAS)とは、搭乗員によるエラーや遺漏で生じ、明らかに安全マージンを減少させることになる航空機の位置、速度、姿勢、形態のこと。
PPCのねらい
「操縦技量検定PPC」実施の目的
- 受検者が、航空機、各種システムやその構成品を通常時や異常時、緊急時でも、必要に応じて安定した進入など航空運航者が承認するSOPにしたがって安全で適切に運用することができるような知識と技量の要件を満足していることを確認すること。
- また、古くなったり弱点があったり良くない飛行検定課目、方針、SOPなどの要領に関して、運航者や訓練機関へのフィードバックを通じて指導や訓練の標準を改善していくこと。
- このガイドは、次の内容に対して適用される。
当ガイドの対象範囲
- PPCの最初の発行または更新
- 計器飛行証明の最初の発行
- 航空機型式証明の免許への付加
- 各課目には目的、概要、合格基準があり、認定検定パイロット(ACP)がそれぞれ評価を行う。
各科目の目的/概要/合格基準
目的:受検者が達成しなければならない事項が示される。
概要:カナダ航空法第7部で定める適切なPPC計画にしたがって行われる課目の実施に関する条件が示される。
合格基準:受検者が示す受容可能な成果標準が示される。
- これらの合格基準は、航空機の運航が製造社が示す事項、POH/AFMやその他の認証データに示される推奨速度や形態にしたがって行われることを想定している。
- ACPは、可能な限り平易な条件下で飛行検定を行い、天候や他機、その他の受検者の制御の及ばない状況により、公示された許可基準から回避できない逸脱を生ずるような場合には考慮を行う。
ACPは、特定の課目に関連するチェックリストを受検者が適切に実施することについて評価を行う。
課目実施中にチェックリストを使用することが不安全または不適切と考えられる場合には、受検者は状況を完了後にチェックリストを用いて確認を行う。
PPCの手続き – 初期実施時と更新時
PPC受検資格
受検資格の確認
PPCの開始にあたり、ACPは受検者の受検資格を確認すること。これには、必要な書類の確認と受検者がPPCを実施するに際しての準備状況に関する一般的な評価が含まれる。
写真識別
- 有効な航空関連書類用ブックレット(ADB) または
- 有効で政府発行の署名入り識別写真の原本
操縦免許証と航空身体適性
- 有効なカテゴリー1航空身体適性のある有効な航空関連書類用ブックレット(ADB) または
- ADBが使用できない場合は、様式26-0265の「臨時免許」と様式26-0055の「臨時航空身体適性」の作成が必要
訓練ファイル
受検者の訓練ファイルを簡単に確認することが求められる。
ACPは、明らかな不足事項がないかを探すこと。
この確認は、PPCへの推薦書の確認と併せて実施する。
PPCへの推薦書
- 必要なすべての地上訓練、試験、飛行訓練が会社の承認された訓練プログラムにしたがって完了したことを証明する推薦書
- ただし、必要な地上訓練のうち、次は含まれない。
必要な地上訓練に含まれない事項
- 機体表面混濁 (季節的)
- 危険物
- 高々度教育(HAI)
- サバイバル
- 機体のサービシングとハンドリング
- 初等作業
- 推薦書は、飛行検定の30日以内に主任パイロットもしくはその委任者より署名が行われていること。
- 署名を受けてから30日以上経過した推薦書は、次の事項を示すことで主任パイロットにより修正を受けることができる。
30日を超えた場合の推薦書の追記内容
- 飛行検定に関する技量と受検者が合格水準に達していることを確実にするため、追加訓練が検討されたということ。
- 受検者が引き続き、飛行検定に合格できる水準にあるということ。
追加要件
- 新しい型式証明のための臨時免許や最初の計器飛行証明が必要な場合に、様式26-0083の「追加資格申請用紙」をINRAT、IATRA、SARON / SAMRAのような必要な知識要件と飛行時間の要件を満足していることの証明と、資格のある人物による推薦書ともに提出すること。
- 審査の結果、ACPは申請書を申請者に返却する。
ACPは、PPCが無事に完了し、申請者がすべての免許取得要件を満足している場合にのみ、正式に申請を受け入れる。
心身状態の準備
- ACPは、受検者が飛行検定に際し心身ともに準備状態にあると合理的に確証を得ること。
- 飛行検定を実施することへの同意をもって、受検者は検定実施に適合しているとみなされる。
使用できない文書類
- 会社の要領が設定されており、カナダ運輸省 (TC) により認定されている場合を除き、免許証や訓練関連文書がない、無効である、会社が受検者のための関連訓練を運航者認定訓練プログラムで定められたとおり行っていないという場合には、飛行検定は実施されない。
海外で実施されたPPCと使用できない訓練関連文書について
- 代え難い理由により訓練関連文書が使用できない場合には、受検者は主任パイロットまたはその委任者により署名され、PPCのための関連訓練を完了した旨を証明する推薦書を提示すること。
- 関連訓練とは、初回または更新時の適切な型式の運航の訓練で、地上訓練と試験、飛行訓練を含む。
航空機/シミュレーター/装備品の要件
シミュレーターを使用したPPC
シミュレーターを使用したPPC
シミュレーター要件
別に示されない限り、検定に使用するシミュレーターは次の条件を満足すること。
シミュレーター要件
- 「飛行機及び回転翼シミュレーターマニュアル」の要件に合致していること
- 航空法の第606.03項「統合飛行訓練機器」にしたがって認証されていること
- 着陸に向けた1回の進入と操縦を模擬させるために、会社運用マニュアルやSOPにしたがって周回進入を実施できる視覚的描写ができること
- PPCの実施中に使用される視覚描写について、認定シーンと承認されたカスタムシーンの使用のみが許可され、汎用シーンの使用は許可されない。
天候シミュレーション
必要な進入のために気象状態を模擬する場合は、該当アプローチチャートで示される最低気象条件もしくはその付近に設定すること。
無線通信
シミュレーター装置には、ACPと明確に通信するための適切な双方向機内交話用音声通信装置が必要で、飛行検定中使用すべきである。
ATCロールプレイ
- ACPが管制官の役割を行う場合、時折注意散漫な無線通信を含むなどして無線通信は現実的に実施すること。
- コックピット内で発生した事態や状況は、無線通信で知らされるまでは不明であると想定すること。
ACPの実施事項
- 標準のATC用語を使用し、明瞭かつ明確な管制許可や指示を与える。
- 通常利用可能なATC支援を提供する。
- 搭乗員のエラー防止を意図とした非現実的なATC支援は避ける。
訓練装置の操作
- 飛行模擬訓練装置を操作する人物は、ACPにより示されたプロファイルやイベントのシーケンスにしたがって飛行検定を確実に実施するため、当該機器に関して十分な訓練と経験があり、機器の証明書の保有者により求められる資格を保有している必要がある。
- ACPが十分な訓練と経験を有していない、必要な資格を保有していない、または飛行検定中の機器操作が適当でない場合には、別の有資格者が機器の操作を行う。
- 機器を操作する人物がACPでない場合には、飛行プロファイルの飛行検定、イベントのシーケンス、および許可が与えられる前に説明を受けておくこと。
機器を操作する人物の支援を得ても、ACPがその計画を確実に順守する責任を軽減するわけではないため、ACPは、機器を操作する人物に対して一定の警戒を維持しておく必要がある。
位置移動と位置固定
- 現実性を確保するため、ACPは可能な限りリアルタイムでPPCを実施すること。
- 位置固定と位置移動の使用は、ACPの最善の判断で控えめに使用すること。
使用可能な文書類
検定の過程で参照する必要が生じた場合に備え、航空機運用マニュアル(AOM)や最小機器リスト(MEL)などの承認された文書を飛行検定の受検者が利用できるようにしておくこと。
受検者の座席指定
受検者は、各責務に対応した操縦士席を使用する。
ACPの座席指定
- シミュレーターでPPCを実施する場合には、ACPは搭乗員として参加せず、予備席を使用すること。
- シミュレーターには、床に固定され、各審査者用に確実な拘束装置が取り付けられた、搭乗員を審査するのに適した承認座席があること。
座席は、既知または予測されるモーションシステム作動中でも、使用者を安全に拘束できるような構造になっていること。
シミュレーターの使用不可
- シミュレーターが使用不能もしくは欠陥を示した場合、ACPはその機器に関連したカナダ運輸省発行の「認定シミュレーター構成品不作動ガイド」(SCIG)を参照し、PPCが続行可能かを判断する。
- FAAに承認されたシミュレーターでは、「欠損 / 不具合 / 不作動」(MMI)リストに記載されている使用不能項目を利用し、PPCが続行可能かを判断できる。
- カナダ運輸省のSCIGまたはFAAのMMIのいずれかに記載されている情報に関係なく、ACPはシミュレーターで使用できない項目が、受検者の検定内容を妨げないことを確認すること。
想定のシステム故障
- システム故障は実用的かつ合理的であること。
複数の故障は関連性を持ち、エンジン駆動油圧ポンプの故障がエンジン故障の結果として発生するような、最初に生じた故障や受験者がとった行動の結果として次の不具合が発生するように設定すること。
複数の無関係な複合的不具合を実施しないこと。
- 出発前に判明して先送りにされた想定システム故障で、機体の飛行特性に影響を与えないようなものは、PPCの間中ずっともしくは検定の一部の間に残ったままにしておくことは可能であるが、その後に想定するシステム故障とは無関係のものと見なされる。
例えば、飛行管理誘導計算機(FMGC)のうち1つを使用できない状態で機体の使用を開始した場合に、2つ目のFMGCが上空で故障した場合など。
飛行検定データ(画面印刷)
- 印字装置(画面印刷)の使用は、飛行検定課目内容が標準に達していないような場合に有効である。
データはACPが保存し、飛行検定後のデブリーフィング中に受検者に提示すること。
- 印刷物のコピーは、ACPが保有しておく様式26-0249「操縦士技量検定の飛行検定報告」フォームに添付しておくのが一般的である。
この情報は、カナダ運輸裁判所(TATC)へ控訴が提出された場合に有益となる。
実機を使用したPPC
実機を使用したPPC
- 状況により、PPCも路線検定も実機にて実施する。
路線検定は旅客便で実施されることができるが、PPCは不可である。
安全
- 実機で飛行検定実施する場合には、安全が何よりも優先される。飛行機での検定を開始する決心は、ACPが次の状況により判断する。
ACPによる実機での検定開始判断条件
- 検定中に危険な運航を回避できるのに十分な天候条件であること
- 機体が耐空性を有していること
- 航空法で定める受検者の航空関連書類が有効であること
- ACPが乗務員として搭乗しておらず、ジャンプシートに着席している場合でも乗客としては扱われない。
常時、潜在的な危険性に注意を向け、飛行安全を適切に維持する責務を負う。
危険とは言えないような潜在的な違反を回避するためであっても、適切に割り込んで指導を行うことはできる。
航空機の要件
- 別に示されない限り、飛行検定に使用する機体は、次の条件を満足すること。
機体の使用条件
- 航空法507項にしたがった有効で最新のカナダまたは外国の飛行権限で、飛行検定で求められる飛行内容に影響するような運用上の制限のないものを有していること。
- 航空法第605.06項「航空機の装備基準と使用可能性」で定める要件を満足し、すべての求められる機器が使用可能で整備要件も最新であること。
- 航空法第602.07項「航空機運用制限」で定められる要件を満足し、機体構造やエンジンの制限が認定されたPOH/AFM/RFMやその補足版で示される制限と、日中 / 夜間 / VFR / IFRのような認定された飛行運用の制限内で運用されること。
操縦系統の使用条件
飛行検定に使用するすべての機体は、完全に機能する2系統の操縦装置を装備し、満足できる適切な音声コミュニケーションの手段を装備していること。
受検者の座席指定
- PPCにおいて飛行業務操縦士(PF)の業務を実施する間、受検者は各責務に対応した操縦士席を使用する。
ACPの座席指定
PPCの場合のACP座席指定
- 1名の操縦士で運航ができる機体では、全飛行で2名の操縦士が必要と運航マニュアル(OM)で示されている場合を除き、ACPは第2操縦士席に着席する。
- 最小2名で運航する機体では、ACPはジャンプシートに着席する。
- 航空機の型式や運航者により運航マニュアル(OM)により2名の操縦士が必要でジャンプシートを装備していない場合は、ACPは離着陸時にはコックピットに最も近い客席に着席する。
安全上問題なければ、検定を審査するためにACPは2名の操縦士の間に着席する。これが好ましくなければ、安全操縦士として操縦席に着席する。
路線検定の場合のACP座席指定
- 路線検定を実施する場合には、ACPは搭乗員席もしくはジャンプシートのいずれかに着席する。
- 搭乗席から路線検定を審査する場合は、ACPは着席する席に与えられる責務を最大限に行うこと。
エラーを意図的に誘因するような行為は行わないこと。
- 安全操縦士は路線検定においては不要である。
安全操縦士
- 飛行安全と法的な理由により、PPCを実施中には片側の操縦席には安全操縦士を指定すること。運航者が通常ACPが受容できる安全操縦士を指定する。
- 飛行に先立って、安全操縦士はACPによりその役割と責務について次の内容を含むブリーフィングを受けること。
安全操縦士がACから飛行前に受けるブリーフィング内容
- 次の事項について明確にする安全確認の実施
安全上確認が必要な事項
- 機体の操縦の移譲
- 連続離着陸要領
- エンジンの想定不作動要領
- 想定の異常及び緊急手順
- 実際の緊急事態への対応
- 機体特有のその他の要素
- 物理的な介入の潜在的な必要性
- 支援搭乗員の責務
- 次に示す安全操縦士を担うACPが満足すべき条件
安全操縦士を担うACPの責務
- 型式証明の保有
- 機体について慣熟していること
- 会社の運用方針にしたがって訓練され出来ること
- 会社の訓練操縦士として役割を果たすよう訓練され出来ること
搭乗員コンセプト
PPCの搭乗員による危険性
PPCの搭乗員による危険性
- 一般的に、チームとして合格か不合格かが連動する。
- 機長と副操縦士のように、2名の受検者が通常の運航搭乗員配置で評価を受ける場合、両者の評価において均等に危険に晒されることになる。
- 次に示すのは、搭乗員による危険性の例外である。
PF誘因エラー
- 監視業務操縦士(PM)に対し操縦を取ってもらう、もしくはエラーの対処をしてもらうということが合理的でない場合には、操縦業務操縦士(PF)がエラーを誘因したことになる。
- 離陸時のエンジン故障中の操縦損失などにおいてPMの対処やコールが適切である場合には、PFが誘引したエラーは受検者両名ではなくPFに割り当てられる。
座席交替
PPCを実施する上で座席交替が行われる場合には、個人に搭乗員の危険性は適用されない。
監視業務操縦士(PM)の責務
監視業務操縦士(PM)の責務
- 各搭乗員の配置に関連した手順に厳格にしたがうことは重要である。
PFとPMの間の責務の適切な分配を確認するためには、通常時、異常時の手順を実施する際によく観察をする必要がある。
- PMがAOMや各社のSOPで詳細が示された要領を遵守してPM要務を実施していることをACPは確認する。
- 通常、PM要務中に生じるエラーは、FMSやRNAVの入力操作、チェックリスト手順、各社のSOPで規定された一般的なコックピット業務の中で生じやすい。
- 各操縦士は、通常/異常時の手順の実施を含め、機体に関する知識と各社のSOPへの遵守をPM要務を十分に果たしていることを示すこと。
2名の機長資格者または2名の第2操縦士資格者という、通常とは異なるPPC特有の座席配置での状況であっても、PM要務を十分に果たせるように努めること。
こうした状況では、PPCの受検に先立って普段使用しない座席でのPM要務を十分に訓練しておくこと。
操縦士の単独/複数の複合PPC
操縦士の単独/複数の複合PPC
運航者によっては、同一機種でも複数名運用と1名運用の両方を出来るようにしている場合がある。
こうした状況では、運航者は第2操縦士なしでの最小人数で運航できる特別認定を行う。
運用要件については、航空法第703.86項と第7部での標準にて示される。
こうした状況下で運航する操縦士は、PPCにおいて複数名運用と1名運用の両方に関して技量を示すこと。
複数名運用では、操縦士は航空法の第7部「PPC計画」の全体について適切にしたがう。
1名運用の際は、次に示す追加の飛行検定課目について他の搭乗員の支援を受けることなく実施すること。
単独パイロットでのIFR
- 飛行場標高200ft以下の高度でIFR状態と想定するAFM/HFMにしたがった通常離陸
- 多発機では、航空法第7部標準「PPC計画」にしたがった離陸後の模擬エンジン故障
- CAPもしくは海外の同等の刊行物に示される制限と手順にしたがって行う1回の計器進入
- 多発機では、1回の着陸及び使用可能エンジンの50%の想定故障を伴った着陸に向けた飛行
単独パイロットでのVFR
- AFM/HFMにしたがって行う通常離陸
- 航空法標準第7部のPPC計画による離陸後の模擬エンジン故障
- AFM/HFMにしたがって行う1つの不具合対処
- 1回の着陸と模擬エンジン故障時の着陸に向けた飛行
IFR/VFRともに、上記の課目は複合的に実施することも可。
ACPは、航空法第7部「PPC計画」に示される複数名運用機では必要のないその他の項目について実施するよう指示する場合がある。
上空での飛行技量検定(Airborne PPC)
704運航におけるPPCがレベルAまたはBの初等訓練プログラムに引き続き実施される場合、次に示す飛行検定は、統合飛行訓練装置で実施したPPCの後30日以内に実施することが求められる。これは、訓練プログラムの中で、当該型式機における飛行訓練の要件と同時に実施してもよい。
飛行検定は、次の事項について実施すること。
上空での飛行技量検定で実施する事項
- 機内外の飛行前点検
- 機長としての地上での取扱い法
- 通常離陸、可能であれば目視での場周経路を使用、着陸
- 模擬エンジン故障での進入と着陸
- 安全高度かつV2+10kt以上の速度で実施する離陸中の模擬エンジン故障手順と進入復行
- 電気的なグライドスロープの利用できない進入と着陸
- 統合訓練装置で模擬できない場合には、周回進入
PPCの再検定項目
- 一般に、飛行検定課目は1回だけ実施され、評価も1回だけ行われる。
次に示す項目は、再実施または再評価が実施され得る飛行検定課目である。
- すべての場合において、飛行検定課目の再実施が状況的に妥当であるかどうかについてはACPが判断する。
安全配慮 (実機)
性能や飛行検定項目の評価を脅かすような安全に関する懸念はACP、受検者、その他の搭乗員の誰が提示してもよい。
航空管制指示 (実機)
IFRに関する課目を実施中にVFRの制限を与えられるなど、管制指示により飛行検定課目の実施が困難になる場合がある。
要求の誤解 (実機orSIM)
受検者が、ACPによる運動の実施に関する要求を理解していない場合がある。
ACPの注意散漫 (実機orSIM)
ACPが注意散漫となり、飛行検定課目の内容が適切に審査されなかった状態のこと。
シミュレーターまたは機体の不具合 (実機orSIM)
シミュレーターや航空機の不具合により、飛行検定課目の内容が適切に審査されなかった状態のこと。
能力発揮エラー (実機orSIM)
受検者は次に示す全ての項目を満たす場合、飛行検定課目の不合格について最大1回再実施をACPにより許可されることがある。
検定課目の再実施条件
- 他の課目で「2点」「1点」の評価がなされていないこと。
- ACPが、個人のエラー繰り返しのリスクがそれほど重要なものではないと感ずる場合。
- シミュレーターの場合、エラーにより墜落に至らないこと。
実機の場合、続行が許可されたときに機体制御の喪失を引き起こさないこと。
- ACPの意見として、飛行検定課目の再訓練が有益でないと考えられる場合。
- 規則違反があった場合、意図的なものでないこと。
再検定の適用要件
ACPは、他の飛行検定課目が「2点」または「1点」で評価されないことを確認するため、エラーに関してコメントを行うことなく、受検者に飛行検定を全て完了させなくてはならない。
路線検定中は、再実施可能な課目については飛行中または一連の飛行中でできる限りすぐに完了させること。
飛行検定課目の再実施を考慮する場合、ACPは受検者に対してエラーが何であるかを示すことなく、「1点」で採点された課目内容についての説明を求める。
受検者による説明が飛行検定課目について十分な知識を持ち、発生したエラーを認識している場合には、ACPは受検者に課目の再実施の機会を与えることが出来る。
時間の制約やその他の理由により課目を再実施できない場合には、ACPは元の「1点」の採点を適用する。
4点制の評価
4点制の評価方式は、飛行検定について受検者の課目内容を文面化するために使用される。指標には、専門技術要素と非専門技術要素の両方が含まれる。
各飛行検定課目について合格や不合格を決めるものというよりは、検定内容の質を測定するように設計されたものである。
長年にわたり、専門技術要素が飛行検定の基礎を形成してきた。
従来は操縦桿とラダーを操作する技術であると考えられてきたが、これらの技術要素の評価は、自動操縦機能の使用などによって進化をしてきた。
非専門技術要素は、飛行検定中のCRMに関するより近代的な評価を反映している。
4点制の評価方式の要素と評価表に関する包括的な知識は、評価と支援コメントが精確に得られ、精査を行う上で不可欠である。
4点制の評価方式の評価表は、ACPを支援するために提供される。
4点制の評価における技術的要素と非技術的要素
4点制の評価における「技術的要素」
- 航空機の取扱い
- 技術と知識
4点制の評価における「非技術的要素」
- 協調性
- リーダーシップと管理技術
- 状況認識
- 意思決定
非技術的要素はCRMを基にした4点制の採点で評価される。
時間の経過とともに、CRMのような伝統的なヒューマンファクターを理解するためのプログラムは、意思疎通の方法や自動化の発展といった新たな関心範囲が強調されているとともに、スレットエラーマネジメント(TEM)のようなヒューマンエラー管理の手法に関する別のアプローチも行ってきている。
現時点では4点制の採点要領では明確に識別されていないものの、次に示す概念は、関連する非技術的概念である。
非技術的概念
- 意思疎通
- 自動化
- スレットエラーマネジメント
こうした非技術的概念は、現行の非技術的要素の中である程度評価はできるものの、ACPがこうした概念に精通し、デブリーフィングの中で更なる議論を行えるようになることは重要である。
機体の異常状態(UAS)の定義
機体の異常状態(UAS)の定義
- 望まない航空機の状態(UAS)とは4点式の採点の中で広く使用される用語である。
詳細な定義を理解することは、エラーの種類の「軽微」「重大」「致命的」を区別するために重要となる。
- UASは「明確に安全マージンを低減させるような搭乗員のエラー、行動、省略により生じた航空機の位置、速度、姿勢、形態のこと」と定義される。
「良好/適/可/不適」の定義
次の4つの評価形容詞は、4点制の採点方式の中で広く使用される。
定義については次のとおり。
各評価単位の定義
- 「良好」望ましいまたは意図した結果の達成に成功
- 「適」十分、許容範囲
- 「可」通常、予想、期待より悪い
- 「不適」満足できない、許容できない
基準からの逸脱とエラー
基準からの逸脱とエラーは、4点制で評価が行わる。
基準からの逸脱
基準からの逸脱
- 基準からの逸脱は、飛行検定課目の許容範囲からの精度差を定量化して評価
- 4点式の評価制度の機体の取扱い技術要素に組み込まれる。
軽微な逸脱
- 特定の制限範囲を超えない程度の逸脱
重大な逸脱
- 特定の制限範囲を2倍未満で超える逸脱
- 安定せず繰り返される軽微な逸脱
致命的な逸脱
- 特定の制限範囲を2倍以上超える逸脱
- 安定せず繰り返される重大な逸脱
- 重大な逸脱を特定したり修正しない
エラー
エラー
- エラーは、搭乗員の意図や予定事項からの差を招くような搭乗員による行為または不履行を定量化して評価するものである。
- 4点式の評価制度の専門技術と知識要素に組み込まれる。
軽微なエラー
- 作業や手順または運動を完了させるあたって、そこまで重要ではない行為または不履行
- 望まない航空機の状態(UAS)が発生していない
重大なエラー
- 作業や手順または運動を完了させるあたって、重大な行為または不履行
- 望まない航空機の状態(UAS)が発生していない
致命的なエラー
- 作業や手順または運動を完了させるあたって、重大な行為または不履行
- 望まない航空機の状態(UAS)が発生
4点制の評価一覧表
専門技術的要素(Technical Skill Elements)
専門技術的要素
+
航空機の取扱い
- 品質と精度
- 規制 / 機体制限の遵守
- 確実な飛行安全
専門技術と知識
- 実用的理解
- SOPやルール、規則の遵守
非専門技術的要素(Non-Technical Skill Elements)
非専門技術的要素
+
協調性
- チームビルディングとその維持
- 他者への配慮
- 他者の支援
- 問題解決
リーダーシップと管理技術
- 権限と主張の使用
- 標準の実施とその維持
- 計画と調整
- ワークロード管理
状況認識
- システム認識
- 環境認識
- 時間認識と先見性
意思決定
- 問題の定義と診断
- オプション生成
- リスク評価とオプション選択
- 結果レビュー
飛行検定における不合格
飛行検定において次に示す事項のうち1つに該当すると不合格となる。
「1点」の評価による不合格
SIC/PIC/CRP共通で、1つの飛行検定項目において「1点」の評価がされると不合格
「2点」の評価による不合格
SICでは5つの飛行検定項目で、PIC/CRPでは3つの飛行検定項目において「2点」の評価がされると不合格
- ACPが検定不合格と判断した時点で検定は速やかに終了となる。
- PPCで2名の受検者がペアで受検する中に、先に受検した1名が不合格と判断された場合、次の2人目の受検の際には補助者として操縦士席に着席することは認められない。当該受検者が次回のPPCの合格するまでこの措置は継続される。
ACPの実施に関する不服の申し立て
- 運航者や飛行検定を実施した受検者は、ACPが検定に際し不適切であったりプロとしての品位に欠く行動をしていると疑う場合には、これに関連する不服を申し立てることができる。
カナダ運輸省(TC)の派遣したACPに責任をもつ地域局に対して送付する。
- カナダ運輸省の地域局は、申し立てられた不服の内容を検討し、是正措置が必要かどうかを判断する。
この不服を却下するか、受け入れて別のACPを準備し、前回の受検者の記録に偏見を与えないよう十分配慮を行いつつ再検定の実施を調整するかはカナダ運輸省が判断する。
- すべての不服については、いかなるバイアスもなく、ACP、運航者、受検者すべてのために十分慎重に検討が行われる。
PPCについての主張権利
- PPCに不合格であった場合、受検者はカナダ運輸省(TC)からの「カナダ航空関連文書の発行もしくは追記に関する拒否通知」を受領する。
- 受検者は、カナダ運輸裁判所(TATC)に対し、検定の評価の開示を要求する権利を有する。
請求した評価内容の送付時期については、カナダ運輸省からの通知内で示される。
- カナダ運輸裁判所(TATC)への請求を現在も実施中でなければ、「認定と品質保証に関するカナダ運輸省の国内運用」といったACPが責任を有する権限を提示するなど、カナダ運輸省により実施されるべき評価内容の開示を受検者はすることができる。
開示内容に不服がある場合には、TATCに内容の確認を要求することは引き続き可能である。
- 追加情報はTATCのウェブサイトで確認すること。
PPCの結果の提供
ACPは、様式26-0249または26-0279の「操縦士技量検定における飛行検定記録」の写しを要望に応じて受検者や、運航者、訓練機関や主任操縦士等に提供すること。
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