カナダのフライトスクールとは?
グーグルマップで、フライトスクールなどで検索してみると一目瞭然ですが、カナダのフライトスクールは、車の教習所のような感覚で数多く存在しています。
しかし、どこも皆さんにオープンという訳ではありません。
教習所と大きく違うことは、それぞれの学校の環境がかなり異なっているということ。また、どういった訓練生を「お客さん」としてターゲットにしているのかが学校によって異なることです。
留学生となる私たちにとっては、まず入学可能な学校なのか、その次に、自分に合っているのか、ということを考えていくと、必然的にいくつかに絞ることができます。
本記事では、最初の「認定の有無」に焦点を当ててBC州を中心に記載していきます。
学校選びの第一歩「認定校なのか」
この項目は、外国人として「留学」をさせてもらう立場である私たちにとって、必ず確認しなくてはならない重要な項目になります。
世界中どこへでも行ける「魔法のパスポート」を簡単に手にすることができる私たち、日本人の感覚だとなかなか感じづらいのですが、外国人として他国に居続けるには必ず許可が必要になります。本来は、旅行をする場合も必要なんです。それがいわゆる「ビザ」です。
カナダでパイロット訓練をする場合も、例外ではありません。飛行学校で訓練をする場合にも飛行学校の推薦をもってカナダ政府が発行する「学生ビザ」が必要なのです。ただしこれは、飛行学校に通う目的以外で滞在する場合、例えばワーホリなどでカナダに滞在できる場合は、そちらのビザの内容でカバーできるので、この限りではありません。
また、ごく短期間で通う場合にも不要なので、分割渡航で訓練を進めることは制度上は可能です。ただし、自家用操縦士免許(PPL)などをさっと取得することだけを目的にした場合には、可能かもしれませんが、6ヵ月以内の1回きりの渡航で免許を取得しようと計画することは、パイロット訓練においてはお勧めできません。
では、全ての学校がビザを発行することができるのでしょうか?
答えはNOです。ビザを発行できる学校は、政府に認定された学校に限られています。
その認定の有無の判断材料となる指標が「FTU」と「DLI」です。
そして、BC州の場合ビザ発行には関係ありませんが、重要なもう一つの要素が「EQA」です。
カナダ政府認定の飛行学校 (FTU)
FTUとは、Flight Training Unitの略で、カナダ政府が認定する飛行訓練学校のことです。
カナダ政府内の、日本で言う国土交通省にあたる「カナダ運輸省」(通称TC)が管轄しています。自分が通うフライトスクールを探すにあたり、まずは「そこが本当にフライトスクールなのか」ということを確認する必要があるということです。
この認定を受けるためには、飛行教育を行うのに適した環境があること、つまり訓練に適した飛行場をメインのベースにしているか、座学や試験やブリーフィングを行うのに適した教室がちゃんと設置されているか、教官や飛行情報を提供するスタッフはしっかり配置されているのかなど、数多くの審査基準があります。もちろん、航空法で認定を受けた航空機を保有または訓練時にリースできる態勢にあるのかなども見られています。
カナダ全体で見ると、2022年3月現在、FTU登録数は382校に及びます。ただし航空機の種類を複数扱う学校の重複もあるので、正確なところはもう少し少ないかもしれません。それでも非常に多いですね。
BC州に限定してみていくと、それでもその数はなんと62校です。まだまだ多い。
さらに航空機の種類で絞っていきます。
この中にはヘリコプターだけ、グライダーやウルトラライトプレーンだけを扱う学校もありますので、これらを除外して飛行機だけにしてみると、それでも37校。うん、まだまだ多い。
カナダ政府認定の指定学校施設(DLI)
DLIとは、Designated Learning Institutionの略で、カナダ政府が認定する学校施設のことです。
上で触れた政府認定飛行学校の「FTU」との違いは、まず、学校の種類が飛行学校だけに限らず、全てのジャンルに与えられる認定だということです。それもそのはず、FTUとは管轄省庁が異なっていて、こちらは「カナダ移民難民市民権省」(通称IRCC)が担当です。
この認定校は、学生ビザを発行する際に必要になる入校許可証明書である「Letter of Acceptance」を発行することができます。僕も学生ビザを取得する際に、訓練校の先任教官から証明書を書いてもらい、移民局にはDLIナンバーを記入をして申請を行いました。
また、就職にあたっては、卒業後の就労許可であるPost-Graduation Work Permit(通称PGWP)を発行することもでき、学校で学んだことを活かしてカナダでの就職に繋げることができるのです。免許取得だけでなく、そのまま就職を目指すパイロット学生には非常にありがたい制度ですね。
もちろん、このPGWPの制度を利用しないで免許だけ取得するための学校を探すのであれば、DLI認定を受けた学校に限定する必要はありません。
2022年3月現在で、FTUとして認定されたBC州の飛行学校の中で、DLIの保有校は20校になります。少しづつ絞られてきました。
BC州認定の教育水準保証(EQA)
こちらは上記2つとは少し毛色が違ってきます。
EQAとは、Education Quality Assuranceの略で、BC州政府が認定する教育水準保証です。
こちらは州政府が独自に実施している認定水準で、BC州では2013年3月から運用を開始しています。BC州政府内の「高等教育技能訓練省」により管轄されています。
この基準を取得するためには厳しい審査を受け、また維持するためには定期的に評価を受ける必要があるため、学校の教育に対する本気度を伺うことが出来ると思っています。
これは、あくまでも州政府が認める教育水準を示すものですので、ビザ申請などに関して必ずしもなくてはならない認定ではありません。
しかし、2020年1月現在で、263校が指定されている中で、DLIの認定を受けているBC州の飛行学校すべてがEQAの認定を受けています。
BC州の認定校まとめ
それでは、実際に①FTU②DLI③EQAの全て認定に合致している20校を紹介します。
上の表が本記事のまとめになります。
あくまでも、「パイロットになるため」に「フライトスクールに留学生として6ヵ月以上通学」し、「学生ビザの発行が必要」な場合に該当するスクールになります。
このように、学校に通う目的とその先の方向をある程度定めていないと、学校の選択肢を絞ることすらできなくなってしまいます。
ここから先、自分に合ったフライトスクールをどう選んでいくべきなのかについては、次の記事へ!