2016年3月発効の第21版「学習参考ガイド」をもとに、記事を作成しています。
ATPLの筆記試験について
通常試験
定期運送用操縦士免許(ATPL)の筆記試験の受検に先立って、必須となる地上座学がないことはこれまでの自家用操縦士免許(PPL)や事業用操縦士免許(CPL)と大きく異なる点と言えます。
また、ATPLは、多発機飛行資格+計器飛行証明の2つの資格の保有を前提とした免許ですので、これらに関する知識が前提となっています。
定期運送用操縦士免許(ATPL)の筆記試験は、「SARON」と「SAMRA」の2つの筆記試験で計10部構成となっています。第1部~第7部が「SARON」、第8部~第10部が「SAMRA」です。
試験名 | 問題数 | 制限時間 | 合格基準 |
---|---|---|---|
航空規則と航空交通要領、 飛行機での運航と一般航法(SARON) (第1部~第7部) | 80問 | 3時間30分 | 70%以上 |
気象、無線援助施設への航法と 飛行計画(SAMRA) (第8部~第10部) | 80問 | 3時間30分 | 70%以上 |
この筆記試験でさらに特徴的なものとして、計器飛行証明 (Instrumet Rating) を取得するための筆記試験「INRAT」のスコアが関係してくる点です。INRATの合格点である70%以上を取得していないとATPLの合格には至らないので、注意が必要です。
また、PPLやCPLの筆記試験のように、科目が細かく分けられている訳ではなく、それぞれの部分合格といった規定も設けられていません。
米国→カナダへの書き換え試験
米国FAA方式の「外国の保有免許を基準として発行されたものではない」定期運送用操縦士免許(ATPL)を保有している場合は、次に示す1科目の受検のみでよいとされています。
試験名 | 問題数 | 制限時間 | 合格基準 |
---|---|---|---|
航空法と各種手順 (FAAAA) | 25問 | 1時間30分 | 70%以上 |
この試験科目は、このガイドで示されている「航空法と各種手順」の項目に焦点を当てた問題として作成されます。
受検資格
カナダ航空規則(CARs)の第401.13(1)項では、筆記試験受検の条件として、次に示す条件が求められています。
受験料
$112.95 ×2 = $225.9 (2023年2月現在)
※SARONとSAMRAは別日で受検可能で2つの異なる試験扱いですから、それぞれに対し受験料を払う必要があります。
「SARON」筆記試験内容 (第1部~第7部)
第1部: 航空法と各種手続き
一般規定
航空機の識別 / 登録 / 非登録所有者によりリースされる機体の運用
飛行場と空港
個人の免許等と訓練
耐空性
運航全般と飛行方式
事業的航空業務
その他の法規と手続き
第2部: 機体構造、動力装置、プロペラ、各種系統
第3部: 飛行計器
第4部: 航法一般
第5部: 飛行運用
第6部: 飛行理論
第7部: ヒューマン・ファクター
「SAMRA」筆記試験内容 (第8部~第10部)
第8部: 航空気象
第9部: 飛行計画
第10部: 無線通信と無線航法機器の基本原理と使用法
TC推奨参考教材
その他の定期運送用操縦士免許 (ATPL) 関連記事はこちらから!