2021年1月更新の第12版の計器飛行証明用「飛行実技検定ガイド」(飛行機)を参照して作成しています。
飛行検定に関する共通事項
自家用操縦士免許(PPL)、事業用操縦士免許(CPL)、多発機飛行資格(Multi)、計器飛行証明(Instrument)、飛行教育証明(Instructor)など、飛行実技検定が必要な免許や資格/証明がありますが、その中でも検定に関する一般事項として、申請要領、採点方法など共通の事項については、下の記事でまとめていますので、こちらをご覧ください。
飛行検定課目一覧
オレンジ色で示されている課目が採点対象であるが、8と11はそれぞれ2つずつ選択されるので、合計16項目となる。
各項目「4点」(満点)~「1点」(不合格)の4段階で評価され、合計点数が60%以上の39点以上にて合格となる。
第12版での変更 (追加) 事項
なお、各検定における「2点」の取得許容数は、以下のとおりです。
レク操縦士 RPP | 自家用操縦士 PPL | 事業用操縦士 CPL | 多発資格 Multi Rating | 計器飛行証明 Instrument Rating |
---|---|---|---|---|
6 | 5 | 4 | 4 | 3 |
用語の定義
関係略語一覧
略 語 | 意 味 | 備 考 |
---|---|---|
AAE | Above aerodrome elevation | 飛行場上空標高 |
ABAS | Aircraft-based Augmentation System (ICAO) | 航空機搭載型 衛星航法補強システム |
APV | Approach with Vertical Guidance | 垂直方向誘導機能付き進入 |
ATC | Air traffic control | 航空交通管制 |
CAP | Canada Air Pilot | カナダエアパイロット (情報誌) |
CDFA | Constant Descent Final Approach | 一定降下最終進入 |
CFIT | Controlled flight into terrain | パイロット操縦による 地上衝突 |
DA | Decision altitude | 決心高度 |
DH | Decision height | 決心高 |
DME | Distance measuring equipment | 距離測定装置 |
FAWP | Final approach waypoint | 最終進入ウェイポイント |
FD | Upper level wind and temperature forecasts | 上層風/気温予報 |
FFS | Full-flight simulator | フルフライトシミュレーター |
FSTD | Flight Simulation Training Device | 飛行模擬訓練装置 |
FTD | Flight training device | 飛行訓練装置 |
GFA | Graphic area forecast | 局地予報図 |
GNSS | Global Navigation Satellite System | 全地球的航法衛星システム |
IFR | Instrument Fight Rules | 計器飛行方式 |
ILS | Instrument landing system | 計器着陸用施設 |
IPC | Instrument Proficiency Check | 計器飛行技量検定 |
IMC | Instrument meteorological conditions | 計器気象状態 |
LNAV | Lateral Navigation by GNSS | GNSSによる横方向航法 |
LOC | localizer | ローカライザー |
LPV | Localizer Performance with Vertical Guidance | 縦方向誘導における ローカライザー性能 |
LVOP | Low Visibility Operations Plan | 低視程運航計画 |
MAP | Missed approach point | 進入復行点 |
MAWP | Missed approach waypoint | 進入復行ウェイポイント |
MDA | Minimum descent altitude | 最低降下高度 |
NDB | Non-directional beacon | 無指向性無線標識施設 |
NPA | Non-Precision Approach | 非精密進入 |
PIREPS | Pilot reports | パイロット通報式 |
RAIM | Receiver autonomous integrity monitoring (FAA) | 受信機自律型完全性監視 |
RNP APCH | Approach meeting Required Navigation Performance standard | 要求航法精度による進入 |
RVOP | Reduced Visibility Operations Plan | 低減視程運航計画 |
SBAS | Space-based Augmentation System (ICAO) | 静止衛星型衛星航法 補強システム |
SID | Standard Instrument Departure Procedure | 標準計器出発 |
SIGMET | Significant meteorological information | シグメット情報 |
SIGWX | Significant weather prognostic charts | 重大気象現象予報図 |
SOP | Standard Operating Procedures | 標準運用手順 |
TAF | Terminal aerodrome forecast | 運航用飛行場 予報気象通報式 |
TTL | Technical team Lead | 担当チーム |
VNAV | Vertical Navigation by GNSS + barometric sensing | GNSSと気圧検知による 垂直方向航法 |
VOR | Very high frequency omnidirectional range | VHF全方向式無線標識施設 |
WAAS | Wide-Area Augmentation System | 広域補強システム |
進入方式の種類
一定降下最終進入(CDFA)について
CDFAとは
一定降下最終進入(CDFA)は、非精密進入(NPA)において、最終進入セグメントを飛行する際に一定で安定した進入を行う要領と技術である。
最終進入フィックス(FAF)高度以上の高度から、滑走路末端にあたるおよそ50ftの高さの地点または着陸前の引き起こし操作の開始地点までの間を、レベルオフすることなく一定の降下を行う。(ICAO文書8168より)
一定の降下角で飛行する技術は、カナダの民間航空安全に対し重大なスレット(脅威)となり続ける、「パイロットにより十分制御された機体による地表への衝突」いわゆるCFIT事故を防止するために、ICAO内に設置された対策本部により示されたものである。
事故調査と研究により、CFITは非精密進入(NPA)の際に発生リスクが高くなることが分かっている。
手順そのものが本質的に不安全といえるものではないにせよ、非精密進入時のこの既存のステップダウン式の降下方式の使用がエラーを引き起こす可能性があると考えられている。
多くのICAO加盟国ではCDFA方式の使用を要求しており、もし適用できない場合には、より視程やRVRの条件値に大きいものを適用して対策を行っている。
CDFAの有効性
CDFA方式は、通常の非精密進入に必要な機器以外で必要になるものは特にない。
パイロットは、基本的な操縦技術、飛行管理システム(FMS)、RNP進入システムの使用のみで非精密進入にCDFAを適用して安全に飛行することができる。
CDFAによる飛行を行える場合は、ほとんどの非精度進入(NPA)において使用が理にかなうため、これを使用するべきである。
降下して着氷環境から早めに脱したい場合や、着陸に周回進入が必要な場合など、CDFA飛行の適用が実用的ではない場合には、CDFA方式を使用するべきでないものの、パイロットがワークロードを軽減でき、エラーの発生可能性が減り、より安全になるような必要な場合には使用していくべきである。
MDA/DAへの降下とCDFA
CDFA方式は、レベルオフすることなく一定の降下を求めるもので、機上機器によるVNAV誘導または対地速度(GS)から判断する降下率の手動計算のいずれかにより飛行する。
降下率は、滑走路末端にあたるおよそ50ftの高さの地点または着陸前の引き起こし操作の開始地点に至るまでの一定の降下角を得るために選択され調整される。
降下は各進入フィックスでの最低高度以上を通過するように計算される。
非精密進入を実施する場合、パイロットは一般に垂直方向の経路管制を行うための3つの方式のうち1つを利用する。
この中では、CDFA方式が好ましいとされている。
進入復行とCDFA
機体が最低降下高度(MDA)に達していれば、取りうる方法は、次の3方式になる。
着陸に必要な目視物標が視認できない、または機体がMDAに接近する際に差し迫った状況でなければ、パイロットはそれを決心高度(DA)と考え、MDA以上の高度から進入復行としての上昇を開始すべきである。MDAでこれを開始するMDA未満まで降下してしまう可能性があるため、十分余裕をもった高度で開始するべきである。
このように、降下する前にMAPに到達する場合や、MDA付近においては、進入復行はMAPで開始しなくてはならない。
CDFAを使用した降下からの進入復行を行う際に、MDA未満まで降下をしてはならない。
進入復行中のいかなる旋回もMAPに到達する前に実施しないこと。
飛行訓練におけるCDFAの教育
飛行訓練施設(FTU)では、非精密進入方式における垂直方向の経路管理の標準要領について、訓練でよく強調していくべきである。
MDA未満への降下をしてしまわぬよう、レベルオフや着陸復行を開始する場合には、MDA以上の高度で行うようによく指導がなされるべきである。
参照:カナダ運輸省アドバイザリーサーキュラー(AC)第700-028号「非精密進入における垂直方向の制御について」(2013年4月22日)
検定受検の前提条件
飛行実技検定を実施する前に、検定官に次の各書類を提出する必要がある。