本記事では、2022年11月に大幅に更新されたBC州の移民推薦プログラム「BCPNP」の点数計算システムである「SIRS」(Skills Immigration Registration System) の点数配分について紹介します。
連邦政府が運営する永住権取得のポイント計算システム「CRS」(Comprehensive Ranking System) では、専用のページでオンラインで計算/シミュレーションができる便利なものですが、BC州の運営するPNPではこの計算を行う公式のページがありません。
ガイドラインを読みながら手計算をする必要がありますが、ここでは大事なところと要素を抜き出して皆さんが計算をしやすいように紹介してみます。
点数を早見する方法
各項目の説明文を省略してとにかく点数だけを早見したい場合には、この記事内をスクロールして緑の枠で囲まれた5項目だけを参照して足し算してみてください。
BCPNPの点数配分
合計 200点
人的財政的要素 (Human Capital Factors) 計120点
- 直接関連のある過去の職歴要素 40点
- 個人の最高学歴要素 40点
- 英語または仏語の語学力要素 40点
経済的要素 (Economic Factors) 計80点
- ジョブオファーにおける時給要素 55点
- 勤務地域要素 25点
人的財政的要素 (Human Capital Factors) 120点の内訳
120点分が与えられる「人的財政的要素」は、BC州の経済に貢献できる個人の技術、経験、能力を指標としています。
1. 直接関連のある過去の職歴要素 (計40点)
関連する業種での職歴がある人は、BC州での活躍の可能性が高いというデータに基づいた指標です。
ジョブオファー内で提示される職種 (正式にはNOC番号) が過去のカナダ国内外を問わない職歴と直接関連がある場合には、最大40点分の点数配分により加点されます。
ジョブオファー内の提示職域と直接関連のある職歴の条件
- 直接関連する業種であること (同一のNOCであれば問題ないが、上位スキルレベルNOCの場合はどう直接的に関連するのかを申請時に説明が必要。下位スキルレベルNOCはカウント不可。)
- フルタイム (週30時間以上) の年数に対応
- パートタイム (週30時間未満) も加算可能だが、雇用期間はフルタイム50%でカウント
- カナダ国内だけでなく、海外の経験もカウント可能
- 過去10年間が対象
- 給与が支払われた職歴のみが対象 (ボランティアや給与支給が証明できないものは考慮不可)
- 給与が支払われたCo-opでの就労経験も上記の条件に合致すればカウント可能
事例紹介
事例1:上位NOCでの職歴がある場合1
- 過去10年間の母国における職歴:31301認定看護師としてフルタイムで8年間
- BC州でのジョブオファー:32101認定実務看護師
過去の職歴が、オファーされた職種と「直接関連した職種」であり、かつNOCがオファーされたスキルレベルよりも高いため、過去の職歴として加算することが出来る事例です。
事例2:上位NOCでの職歴がある場合2
- 過去10年間の母国における職歴:00012財務関係の上級管理者としてフルタイムで3年半
- BC州のジョブオファー:63102財務営業担当者
過去の職歴が、オファーされた職種と「直接関連した職種」であり、かつNOCがオファーされたスキルレベルよりも高いため、過去の職歴として加算することが出来る事例です。
事例3:上位NOCでの職歴であっても分野が違う事例
- 過去10年間の母国における職歴:21300土木技師としてフルタイムで10年間
- BC州でのジョブオファー:62020食品担当責任者
この場合は、過去の職歴が現在オファーされている職種のスキルレベルよりも高いNOCではあるものの、直接関連した職種とは言えないため、 過去の職歴として加算することが出来ない事例です。
事例4:パートタイムの職歴を加算する事例
過去10年間の母国における職歴:21233ウェブ開発者としてパートタイムで30ヵ月
BC州のジョブオファー:21233ウェブ開発者
この場合、過去の職歴とBC州でオファーされている職種が同じNOCになるものの、過去の職歴が週30時間未満となるパートタイムである場合には、50%で換算されるため、15ヵ月として過去の職歴として加算することが出来る事例です。
BC州のジョブオファー内提示職種と過去職歴との直接関係性
2. 個人の最高学歴要素 (計40点)
申請の際に、学歴を証明する書類の提出が必要となり、条件に応じて最大40点分の配点が与えられています。
学歴点の条件
- 個人の最高の学歴のみが対象となります。例えば、大学院を卒業し修士号を取得した場合に、大学卒業時の学士号の分も合わせてカウントすることはできません。これは追加点要素の部分も同様です。
- 完全に修了している学歴のみが対象となり、部分的な卒業や修了はカウントされません。
- 教育期間は6ヵ月以上のもののみ対象です。
- 遠距離教育プログラムによる学歴はカウントされません。
学歴点
追加点要素
上記追加点要素は、基本点要素で使用する「最高学歴」がBC州内/カナダ国内の場合のみ加点対象です。
3. 語学力要素 (計40点)
申請者の英語力もしくはフランス語力がBC州の経済にどう貢献できるかを評価して付与される点数です。具体的には、カナダ式語学基準 (CLB) のスコアが対応します。
語学試験の受検自体は必須ではないものの、最大40点分という点数配分を有していることから、非常に大きな要素であるといえます。
語学点の条件
- 試験結果の提出が必要
- IELTS (ジェネラル) / CELPIP (ジェネラル) / フランス語試験TEFのいずれかの認定試験であること
- 4科目の最低点となるCLBに応じて付与
- 試験結果は発行日から2年間有効
- 登録時だけでなく審査通過後の申請時点でも有効であること
経済的要素 (Economic Factors) 80点の内訳
80点分が与えられる「経済的要素」では、雇用主により提示されたジョブオファー内に示されるTEERによるNOCコードでの時給賃金、主な勤務地に応じた点数配分です。
1. BC州のジョブオファーにおける賃金要素 (計55点)
ジョブオファー内で提示される賃金に応じて付与される点数が最大25点分割り振られています。
まずは、申請する家族の規模に応じた最低収入条件以上が提示されていることが求められます。
当然、永住権をともに申請する家族規模が大きくなればなるほど、その責任が大きくなることから、必要な申請条件は厳しくなっていきます。
下の表の中で、カッコ内で示しているのは週40時間労働で換算した場合の時給です。夫婦だけなどのように家族2名での申請であっても、最低賃金 (BC州では$15.65) での労働ではクリアできない水準です。
家族規模に応じた最低収入条件
この賃金条件は、 カナダ統計局が発表する2020年のLow-Income Cut-Off (LICO)の100%を示しています。
時給での点数配分に変わりました。
2. 勤務・就学地域要素 (計25点)
ジョブオファー内で示される「主に働く地域」に応じた25点分の点数配分です。
現在の勤務地だけでなく、1年以上継続して対象地域で就業した場合や就学地が対象地域の場合の加点も追加されました。
ジョブオファー内で示される主に働く場所
合計点を計算する
以上の要素で合計点数を計算します。何点になりましたか?
合計 200点
人的財政的要素 (Human Capital Factors) 計120点
- 直接関連のある過去の職歴要素 40点
- 個人の最高学歴要素 40点
- 英語または仏語の語学力要素 40点
経済的要素 (Economic Factors) 計80点
- ジョブオファーにおける時給要素 55点
- 勤務地域要素 25点
この点数が実際にどう使われているのかについては、州政府が年間を通じて行っている各カテゴリーでの「Drawing」の結果を追う必要があります。
これは、該当プログラムの最低点(カットオフスコア)を示すもので、それ以上の点数を保有している人には、申請を行う権利を招待する「ITA」が付与されるというものです。
招待点数Drawing実績
では各プログラム (カテゴリー) 別で、何点を取得すれば申請を行う権利が与えられるのか?
この過去の実績をまとめたページを別ページで作成しましたので、ご覧ください。
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