カナダBC州で運転する方の誰しもが加入しているICBCの自動車保険ですが、2021年5月1日から「Enhanced Care」という名称で保険内容の刷新が行われました。
自動車保険をより支払いやすいものにしつつ、事故からの復帰に向けた手当てをより手厚くし、よりよいケアを提供すると銘打ったこの新プログラムですが、僕も含む多くのドライバーにとって、これまで払っていた保険料よりも安くなったことで差額分のRefundを受けて喜んでいることと思います。
しかし、保険内容に一部アップデートが行われていることをよく知らないと、知らぬ間に不必要な保険にお金を使っていたり、逆に入っていると思い込んでいた保険内容に入ってなかったりということが発生します。
これを機に、僕と一緒に保険内容をもう一度復習して、最良のプランになるように計画してみましょう。
保険金額の構成
ICBCの自動車保険、毎年結構な額を払っているイメージを皆さんお持ちのことと思いますが、実際に何にいくら払っているかでも何となく把握していますか?
ここで、保険料として納めている金額の構成について、おさらいしてみましょう。
支払額は大きく分けて、
- 基本保険料 (ベーシック)
- 追加保険料 (オプション)
- ナンバープレートの維持費
の3つの要素で構成されています。
絶対に全員が入らなければならない保険内容です。2021年5月の改正によりここがかなり充実しました。
盗難保険や追加の対人対物保障、当て逃げ対策など、基本内容でカバーできない部分を補う任意の保険内容です。
ナンバーを維持するのにかかる費用です。ナンバーの種類によりますが、最もベーシックなもので年間61ドルです。
基本保険 (ベーシック) となる部分の保険内容と保険料については、「Enhanced Care」に全員分が変更されています。これについて次の項目で詳しく紹介していきたいと思います。
Enhanced Careについて
「Enhanced Care」とは、2021年5月から運用開始されたBC州の自動車保険の基本保険内容のことで、加入義務項目となっています。この新サービスには全加入者が自動的に移行されています。
これにより、2020年には約$1,900だった年間の平均保険料が、平均約$1,500まで抑えられ、実に約20%ほどの節約が実現したと大々的に謳われています。
BC州での自動車保険は数社の競争制ではなく、ICBC独占体制であり、これしか利用できない選択肢のない我々利用者としては、安くなるに越したことはありません。しかし、なんで急に安くなり、何が変わったのかよく知らない利用者の方々も多いのではないかと思います。(この記事を作るまでの僕もそうでした。)
詳細について、ちょっとずつ紹介をしていきたいと思います。
Enhanced Careによりなぜ保険料が安くなるのか
この「Enhanced Care」への移行に伴って、なぜ保険料が安くなるのかというメカニズムについて順を追って紹介したいと思います。
これまでの「基本保険+追加保険」という構造については変更されていません。
しかし、補償内容が再度精査され、基本内容に含めるべきものとある必要がないものが整理されました。これにより、保険内容に無駄がなくなり、また基本内容自体が必要十分な内容として充実したため、本当に必要な部分かつ運転者が必要と感じるものだけを任意の追加保険内容にすることとしました。
具体的には、対人対物保障 (第三者責任) が基本保険に含まれたというのが安くなった理由の一つと言われています。かつては、85%にものぼる利用者が、事故を起こしたことで
- 他人をケガさせてしまう
- 経済的損失を負わせてしまう
- 相手方が法的な措置で自身の過失を追及する
- ケガや障害に関する補償を要求される
- 将来にわたって減少した収入の補填を要求される
といったことの不安からこの保険による補償を利用していました。
しかしこの「Enhanced Care」により、文字通り強化された基本保険内容として基本事項が既にカバーされるようになったことで、この追加補償が安く抑えられるようになったことが、保険料を下げられるようになった要因の一つと言えます。
また、経済的損失は訴訟等を通ずることなくICBCから直接補償されるようになります。
多くの人にとって保険料が安くなった分、更に上位の補償内容をオプションで追加することが出来るというのが安心ポイントです。
- 基本保険料だけでも十分だが、オプションとなる対人対物保障を比較的安価に追加増額可能
- 基本的に前回の更新以降で自身に過失のある事故を起こした場合だけ増額
- 国外も含む運転歴と、車両に対して追加登録している運転者の数、その人の運転歴などの保険額要素により保険額が決定
- 居住地域や車両タイプ、どこからどこまでの区間をどういった目的で使用する予定なのかにもより無駄なく保険料を決定するシステム
またICBCは、保険額の適正化を図る上で、次のような見直しも併せて行いました。
若者や運転歴の少ない運転者に対する保険額の見直し
これまでこうした運転者は、「事故のリスクが極めて高い」と考えられることから法外ともいえる高い保険料を支払って来ました。「Enhanced Care」の発足により彼らの保険料がよりリーズナブルに見直されています。
二輪車/季節的車両/地方での運転者に対する保険額の見直し
バイクやトレーラーなどの季節的に使用されたりされなかったりというような車両を運転する人や、比較的交通量の少ない地方をメインに運転する運転者に対しては、保険料が安くなるように設定されました。
基本保険内容
基本保険 (Basic Insurance) に含まれる補償内容
「Enhanced Care」への改定により、誰しもが加入する義務事項となる保険内容として次のようなものがあります。
- Enhanced Accident Benefits (強化型事故補償)
- Basic Vehicle Damage (基本車両損害補償)
- Third Party Liability (対人対物補償/第三者責任)
- Underinsured Motorist Protection (相手方の不十分保険による損害補償)
- Inverse Liability coverage (逆責任補償)
Enhanced Accident Benefits (強化型事故補償)
自身や同乗者が事故でケガを負った際の、医療保障と治療、収入補償、個別治療支援、介助費用 (上限$4,974) 、葬儀代 (上限$9,130)などの補償です。これは、自身に過失がある事故の場合でも同様に補償されます。
働けなくなってしまった場合、年収の90%が上限額$100,000の範囲内で補償されます。
死亡保障はご遺族となる配偶者などに最少額として$66,987、カウンセリング費用も上限$3,818にて補償されます。
Basic Vehicle Damage (基本車両損害補償)
自身に過失のないもしくは過失が25%以下と判断された事故で車両が損傷した場合、ある上限金額まで車両及び恒久的に設置された装備品の修理を上限額$200,000まで補償するものです。この上限額で、BC州で走る99パーセントの車両の修理はカバーできると考えられています。
Third Party Liability (対人対物補償/第三者責任)
事故の責任が自身にあり、損害を被った相手方に非車両財産損害などの補償を受ける法的権利がある場合、もしくは州外を運転中に発生した事故に対して、最大$200,000まで補償するものです。
Underinsured Motorist Protection (相手方の不十分保険による損害補償)
相手方の過失による事故で、自身の保険請求に対してその相手方が十分な補償をもっていない場合、最大100万ドルまで補償するものです。
Inverse Liability coverage (逆責任補償)
カナダや米国の一部において、地域の法律によって「事故の原因となった人に対して責任を追及することが許可されていない」という場合、たとえこちらに過失がなく事故を被った場合であっても、責任のある相手方の保険を使用することができないという事態が生じます。こうした矛盾した状況を回避して運転者を保護するため、この「逆責任補償」を適用することができます。
Unlisted Driver Protection (非登録運転者による事故の補償)
BC州の保険では、車両ごとに誰が運転するかを事前にリストアップし登録しておくことが必要で、それに応じて保険料が変わるしくみになっています。これは、基本的にはもっとも保険料が高くなる運転者に合わせて保険料が決定されるため、リストに運転者を登録することで保険料が高くなることはあっても安くなることはありません。一方で、1人から2人になったからということで保険料が倍になるということでもありません。
こうした規定がある中で、リストに載っていない運転者が運転していた際に運悪く事故が起きてしまった場合にでも保険を適用できるようにする救済措置がこの「Unlisted Driver Protection」となります。
- もし事故を起こした運転者が、過去にも同じ車両で事故を起こしていない限り、無料で補償できる内容
- 基本的にはリストに載っていない運転者には車を貸さないのがベスト
- 例外措置なども既定の中に存在し、この「非登録運転者による事故の補償」(Unlisted Driver Protection) は、若干奥が深いところがあるため、別記事を作成して詳しく紹介
第三者責任に関する追加保険内容
Extended Third Party Liability (追加第三者責任)
自身に過失がある事故における対人対物補償です。
基本保険内容の中に含まれるようになったというのが「Enhanced Care」に変わった上での大きなアップデートであると言えますが、この追加補償「Extended Third Party Liability」の必要性がなくなったということではなく、引き続き重要です。死者が発生+物損が生じた場合、90%分の補償は死亡に対して行われ、物損分は残りの10%のみでの補償となります。その場合には事故によっては優に上限額を超えてしまうことも考えられます。
州外で運転をして、誰かの車両を壊してしまったまたは誰かにけがを負わせてしまった場合などは、追加でも保険に入っていることで安心することができます。
建物やフェンスや誰かの所有物にぶつかった場合など、州内であっても車両以外に対する損害の補償も行うことが出来ます。
以前のように、訴訟ベースのシステムに伴う高額な費用を補償する必要がなくなったため、以前よりもずっと安い保険料設定となっています。
- 自身に過失のある事故において相手方の請求に対し適用可能
- 州内外での事故に適用可能
- 基本保険内容で既に$200,000分は補償範囲
- 車両内にあった所有物等は補償対象外
- 自身の所有物や借り家など借用品は補償対象外
補償上限額 | 年間保険料増額分 (参考値) |
---|---|
追加非加入=$200,000 (約2,000万円) | ±$0 |
$300,000 (約3,000万円) | +$12 |
$500,000 (約5,000万円) | +$25 |
$1,000,000 (約1億円) | +$43 |
$2,000,000 (約2億円) | +$63 |
$3,000,000 (約3億円) | +$81 |
$5,000,000 (約5億円) | +$120 |
衝突事故に関係する2つの追加保険内容
自動車やバイクなどが相手となる衝突事故に関しては、次のような2つの補償プランが設定されています。これらは並列の関係でなく、①の中に②が含まれるような包含の関係性となっていることから、同時に2つに加入することが出来ません。(そもそも不要です。)
- 過失の有無/衝突対象/州内外によらず適用可能
- 当て逃げにも対応
- BC州内での当て逃げだけ対象
それぞれの補償内容については、次のとおりとなっています。
Collision (車両修理補償)
自身の過失による事故も含む自身の車両を修理するための補償です。
修理費は一般的に高額なため、約8割の運転者が加入していると言われています。
- 自身の過失による事故で適用可能
- 自身の車両修理や牽引、保管に関する補償
- 州内外での事故に対応可能
- 自身に過失があったとしても使用可能
- 相手車両、人、物、道路上の表面との衝突事故に適用
- 当て逃げ事故の車両損害にも対応 (州内のみ)
免責額 | 年間保険料増額分 (参考値) |
---|---|
$300 | +$153 |
$500 | +$132 |
$1,000 | +$109 |
$2,500 | +$72 |
後の項目で説明をしますが、別の追加補償項目である「Loss of Use」や「Extra equipment」の補償内容をこの「Collision」には付帯することができるのは一つの魅力だということが出来ます。
Hit and Run (当て逃げ補償)
当て逃げによる補償は、従来の基本プランには含まれていたものの、必要ないと考えている利用者も含む全利用者を一様に加入させることがフェアでないという考え方もありました。そのため、「Enhanced Care」への移行に伴う整理により、この基本保険内容からは外されました。
以前からBC州で保険に加入してきたドライバーにとっては、いつの間にか知らない間に補償内容から外れているということが発生する要注意項目です。
当て逃げ事故は一般に、相手が逃げてしまっているため、相手の保険を使えない=泣き寝入りとなるものです。引き続き必要性の高いとされる当て逃げに関する補償だけで入れるプランとしてこの「Hit and Run」が新設されました。
- 「Collision」(車両修理補償) に入っていればこちらは既に含まれており加入不要
- 当て逃げにより発生した車両損害だけが対象で上限額$200,000で補償
- BC州内だけが補償対象
- 免責額は$750のみのシンプル設定
免責額 | 年間保険料増額分 (参考値) |
---|---|
$750 | +$30 |
非衝突型の損害に関する追加保険
すべて含まれた総合補償タイプもしくは、部分的に選んで入る部分補償タイプがあり、どちらかだけ一方を選んで入ることができますし、不要なら加入しないこともできます。
窓のチッピング、自然災害による損害、動物との衝突、盗難やいたずらなどに対応
車両火災、自然災害による損害、盗難だけに対応
Comprehensive (非衝突型損害の総合補償)
- ほとんどのケースの非衝突型の損害に対応
- 小石や砂利による窓のチッピング/地震や落雷、暴風雨、雹、洪水、爆発などを含む自然災害による損害/動物との衝突/盗難/いたずら/車上荒らしによりドアや窓を壊された場合/倒木など
- 車両盗難時の代替移動手段として一日の上限額$40、合計上限額$800が補償
- タイヤは消耗品という考えのため補償対象外
- 機械的な故障による損害は補償対象外
- 部分補償となる「Specified Perils」の内容は全て包括しているため同時加入は不要
免責額 | 年間保険料増額分 (参考値) |
---|---|
$300 | +$78 |
$500 | +$55 |
$1,000 | +$45 |
$2,500 | +$22 |
窓のチッピングに対する補償
小石などの跳ねによる窓の割れ修理は、免責額を支払うことなく無料で修理可能となりました。
この無料修理を利用するためには、次のような一定の条件があります。
- 1セント硬貨よりも小さいクラックのみが対象
- 長く広がったクラックは対象外
- 運転者の視界上に1/4インチ(約5mm)以上の割れが残らないこと
- KirmacやBoyd、BrocoなどのICBC認定の修理工場に持ち込む必要あり
- 判断は修理工場が行い、修理は不適で窓自体の交換が必要と判断された場合は、免責額が適用された通常の修理扱い
- $300ドルの免責額であれば、窓のチッピングは$200の免責で修理可能
Specified Perils (非衝突型損害の部分補償)
- 次に示す非衝突型の損害に対応
- 盗難
- 車両火災、地震または爆発による損害
- 落雷、暴風雨、雹、洪水などの自然災害
- いたずらやウィンドシールドの割れ、動物との衝突は対象外
- 車両盗難時の代替移動手段として一日の上限額$40、合計上限額$800が補償
- 総合補償となる「Comprehensive」の内容に全て包括されるため同時加入は不要
- プランはシンプルで、総合型と違い選択肢は免責額$300のみ
- 総合型が免責額$300の場合に+$78となるのに対し、この部分型では+$26なので、特定の補償だけを確保したい場合に有効
免責額 | 年間保険料増額分 (参考値) |
---|---|
$300 | +$26 |
Comprehensive(総合補償)/Specified Perils(部分補償)の比較
補償内容等 | Comprehensive (総合補償タイプ) | Specified Perils (部分補償タイプ) |
---|---|---|
車両火災 | 〇 | 〇 |
窓のチッピング (無料修理規定も含む) | 〇 | ✖ |
自然災害による損害 | 〇 | 〇 |
動物との衝突 | 〇 | ✖ |
盗難 | 〇 | 〇 |
いたずら | 〇 | ✖ |
車両盗難時の代替手段 | 〇 | 〇 |
保険料の年間増額分 ($300免責でKZ算出) | +$78 | +$26 |
保険使用後の 次回保険料の影響 | なし | なし |
その他の追加保険項目
下記の表のとおり、ベースとなる3つのオプション保険内容に対して追加が可能となります。
追加プラン | Collision (車両修理補償) | Comprehensive (非衝突損害の総合補償) | Specified Peril (非衝突損害の部分補償) |
---|---|---|---|
Loss of Use (修理期間中の損害補償) | 〇 | 〇 | 〇 |
RoadStar (ロードスター補償) | ✖ | 〇 | ✖ |
Roadside Plus (ロードサイドプラスパッケージ) | ✖ | 〇 | ✖ |
Extra equipment Sound and communication equipment (音響通信機器の搭載品補償) | 〇 | 〇 | 〇 |
Extra equipment Other permanently attached equipment (音響通信機器以外の搭載品補償) | 〇 | 〇 | 〇 |
それぞれの追加保険項目について、個別に紹介していきます。
Loss of Use (修理期間中の損害補償)
- 修理期間中の車両のレンタカー代、タクシーの使用、公共交通機関の利用に伴う出費の負担
- レンタカーの場合は、元の車両と同サイズクラスのもの
- 修理完了、廃車手続き完了、上限額への到達のいずれか早く来るものまでの間利用可能
- 「Collision」「Comprehensive」「Specified Peril」のみに付随して追加可能
- 「RoadStar」や「Roadside Plus」のパッケージに加入すれば、この内容は補償内容の一部となる
- 一日の上限額$15+合計上限額$300となるものから、一日の上限額$100+合計上限額$2,000となるものまで選択可能
日額上限 / 合計上限額 | 年間保険料増額分 (参考値) |
---|---|
$100 / $2,000 | +$60 |
$75 / $1,500 | +$45 |
$50 / $1,000 | +$30 |
$45 / $900 | +$27 |
$40 / $800 | +$26 |
$35 / $700 | +$24 |
$30 / $600 | +$20 |
$25 / $500 | +$17 |
$20 / $400 | +$15 |
$15 / $300 | +$11 |
RoadStar (ロードスターパッケージ) / Roadside Plus (ロードサイドプラスパッケージ)
共通点は、非衝突型の総合補償となる「Comprehensive」だけに付帯できる追加保険ということです。免責額の設定などもないので、入るか入らないかだけのシンプルな選択になります。
適応プラン等 | RoadStar (ロードスターパッケージ) | Roadside Plus (ロードサイドプラスパッケージ) |
---|---|---|
Loss of Use (修理期間中の移動費補償) | 上限額$500 (日額上限$100) | 上限額$750 (日額上限$100) |
Rental Vehicle Coverage (送迎車やレンタル車利用者の補償) | ・第三者責任上限額$100万 ・衝突補償免責額$300 ・非衝突総合補償免責額$300 | ・第三者責任上限額$200万 ・衝突補償免責額$300 ・非衝突総合補償免責額$300 |
Vehicle Travel Protection (出先での事故の各種補償) | 含まれる | 含まれる |
Lock Rekeying (鍵の盗難補償) | 上限額$500 免責額適用 | 上限額$1,000 免責不要 |
Emergency Roadside Expense Repayment (車両移動補償) | 含まれない | 含まれる 上限額各$50で2回まで |
Theft Deductible Waiver (盗難及び未遂被害では免責免除) | 含まれない | 含まれる |
Destination Assistance (事故直後の移動補償) | 含まれない | 含まれる 上限額$100 |
保険料の年間増額分 ($300免責でKZ算出) | +$40 | +$48 |
- 30日以内の旅行/出張などにおける出先で事故や盗難に見舞われた場合の補償
- 宿泊/通信/移動/食費などの追加生活費として2人までなら上限額$500を補償 (Roadside Plus:上限額$1,000)
- 車両牽引代として上限額$100を補償
- 車両の自宅などまでの移送費として上限額$750を補償
- レンタカーなどの事故補償(使用不可期間分)として上限額$500を補償
- 帰宅のための交通費として上限額$1,500を補償 (直線帰路で計算/Roadside Plus:上限額$3,000)
- 自身に過失がない場合の「Collision」保険請求分の免責額の返金
- 1回の旅行/出張において何回でも保険請求可能
- 鍵が盗まれた場合に上限額$500を補償 (Roadside Plus:上限額$1,000+免責不要)
- 物理鍵でもキーレスエントリ―システムの送信機も対応
- 警察に届け出してファイルナンバーの受領が必須、48時間以内に申請
- Roadside Plusパッケージだけの付帯保険
- 機械的故障/タイヤのパンク/鍵の閉じ込みなど、その他の保険内容でカバーしきれない事態が発生して車両が動かせなくなった時に使える補償
- 緊急サービスとして、車両を修理工場まで運ぶ場合などに使用可
- 事故/事象1件につき上限額$50を補償/期間中最大2回まで申請可
- $50までかからなかった場合には、タクシー代などへの充填も可能
- 12ヵ月以内にレシートなどを郵送して保険請求
- Roadside Plusパッケージだけの付帯保険
- 盗難もしくは盗難を試みた形跡が認められた場合、非衝突事故の総合型補償「Comprehensive」もしくは同部分型補償「Specified Perils」にかかる免責額の支払いを免除する補償
- 証明には、点火系統のロック機構の電気的もしくは機械的構成品または機械的盗難防止ロックデバイスやそれが取り付けられた車両の一部に損傷が認められることが条件
- 衝突や盗難で車両を使えなくなった際に、その時に必要な移動費用として上限額$100を補償
- 対象期間は事故もしくは状況発生後12時間以内
Extra equipment (搭載品補償)
共通して「Collision」「Comprehensive」「Specified Peril」のみに付随して追加可能
音響・通信機器
- 半永久的に取り付けられたステレオやスピーカーなどの音響器材や通信機器に対する追加補償
- $1,050以上/最大$100,000の任意の金額を設定
上限額 (任意設定) | 年間増額分 |
---|---|
$1,050 (最少額) | +$14 |
$2,000 | +$140 |
$10,000 | +$1,260 |
$100,000 (最大額) | +$13,860 |
音響・通信機器以外の機器や装備品
- 車両のラッピングや油圧式牽引ウィンチ、スノータイヤなど半永久的に装着された機材に対する追加補償
- $5,050以上/最大$100,000の任意の金額を設定
上限額 (任意設定) | 増額分 |
---|---|
$5,050 (最少額) | +$1 |
$10,000 | +$63 |
$100,000 (最大額) | +$1,188 |
まとめ
状況別の使用可能な保険内容とその上限額をざっと一覧にしてまとめると、次のとおりになります。
自身の過失割合:0%~25%の事故
状況 | 使用保険 | 上限額 |
---|---|---|
相手の車の修理 | 相手側 相手の保険で修理 BASIC Underinsured Motorist Protection | $100万 |
相手の運転者や 同乗者のケガの治療 | 相手側 相手の保険で修理 BASIC Underinsured Motorist Protection | $100万 |
自身の車の修理 | BASIC Basic Vehicle Damage | $20万 |
自身や同乗者の ケガの治療 | BASIC Enhanced Accident Benefits | 治療無制限 収入補償$10万 |
州外での事故の場合 | BASIC Third Party Liability OPTIONAL Extended Third Party Liability | BASIC $20万 OPTIONAL ~$500万 |
壊れた建物等の修理 | BASIC Third Party Liability OPTIONAL Extended Third Party Liability | BASIC $20万 OPTIONAL ~$500万 |
自身の過失割合:25%~100%の事故
状況 | 使用保険 | 上限額 |
---|---|---|
相手の車の修理 | BASIC Third Party Liability OPTIONAL Extended Third Party Liability | BASIC $20万 OPTIONAL ~$500万 |
相手の運転者や 同乗者のケガの治療 | BASIC Third Party Liability OPTIONAL Extended Third Party Liability | BASIC $20万 OPTIONAL ~$500万 |
自身の車の修理 | OPTIONAL Collision | ― |
自身や同乗者の ケガの治療 | BASIC Enhanced Accident Benefits | 治療 無制限 収入補償$10万 |
州外での事故の場合 | BASIC Third Party Liability OPTIONAL Extended Third Party Liability | BASIC $20万 OPTIONAL ~$500万 |
壊れた建物等の修理 | BASIC Third Party Liability OPTIONAL Extended Third Party Liability | BASIC $20万 OPTIONAL ~$500万 |
相手が逃げた事故
状況 | 使用保険 | 上限額 |
---|---|---|
自身の車の修理 | OPTIONAL Hit and Run または Collision | $20万 |
自身や同乗者のケガの治療 | BASIC Enhanced Accident Benefits | 治療 無制限 収入補償$10万 |
相手がいない事故/被災/盗難
状況 | 使用保険 | 上限額 |
---|---|---|
衝突 | OPTIONAL Collision | ― |
非衝突 | OPTIONAL Comprehensive または Specified Perils | ― |
盗難 | OPTIONAL Comprehensive または Specified Perils | ― |
おまけ:KZの加入内容を紹介
僕の自動車保険も3年目になり、無事故割引で$717も安くなったこともあり、年間保険料 (ミニマム) は次のようになりました。独占公社のBC州の自動車保険は高い高いと言われますが、意外ではありませんか?
Basic $1,089 + Vehicle licence fee $61 = Total $1,150
ちなみにこれまでの保険料は、「Extended Third Party Liability (追加第三者責任)」だけは初めから2万ドルほどつけていたので初年度で1900ドル代、2年目からは1800ドル代と順調に下がっていき、3年目にして「Eehanced Care」に変更された影響もあるのか、同じ保険内容で1200ドル代まで下がりました。
このままでも全然十分な保険内容と言えるのですが、せっかく安くなったので安心するまでオプションを追加していこうと思います。そのためには保険内容をもう一度見直さないといけないなと重い腰を上げたのが、この記事を作った理由です。
そして僕が色々考えて導き出した僕なりの「最適」保険内容は次のようになりました。
基本保険料とライセンス代 (固定額)
- Basic ー $1,089
- Vehicle licence fee ー $61
追加保険料 (オプション)
- Extended Third Party Liability ー 上限額300万ドル +$81
- Collision ー 免責額$500 +$132
- Comprehensive ー 免責額$300 +$78
- Extra equipment (Other permanently attached equipment) ー 上限額$5,050 +$3
合計保険料
$1,444 / 年間
上のプランを決めるまでに考えたこと
どうやってこのプランにすることにしたのか、僕の思考過程を紹介したいと思います。
まず、Extended Third Party Liability です。
基本保険の範疇で既に20万ドルまで補償されたことが大きく、このExtendの追加保険に入る意味は若干薄れました。それでも、万が一道路上の家屋や設備などにぶつかってしまった場合には、とんでもない補償額が予想されます。しかも、僕の車はやや大きいので、壊れる側というより壊す側かもと思ったのも理由の一つです。また、人身事故も併発した場合には、人身の補償に9割の補償内容が割かれることから、物損分への補償は非常に頼りなくなります。そこで、上限額10倍の200万ドル分程度の補償は必要と考えました。一方で、それを一段階引き上げて上限額300万ドルとすると、年間保険増額分は18ドル程度、月にして1.5ドル程度(実にコーヒー1杯分)だったので、躊躇せず大きめの保険内容としました。
次に、Collision です。
当て逃げは誰にも等しく起こり得るし、一方的な被害者なのに誰にも補償責任を追及できないという理不尽を僕は受け入れられませんので、少なくとも Hit and Run には入りたいと考えました。
しかし上の「まとめ」の項目でも分かるように、自分に過失がある事故では自分の車の修理代を補償してくれる枠組みが一切ありません。自分の車はもう結構古いから、と言っても修理にはお金は掛かりますし、自分の過失だったからと言って高額な修理費を払うのをやめて車なしの生活になったり、またはこの機会に新しい車を買おうという余裕もありません。そこで、Collision の加入は必須と考えましたが、次に免責額の決定に悩みます。
衝突事故は気軽に起きてはならないイベントですし、もしそうなったときに1000ドルでも十分許容範囲内と言うことはできますが、その際に500ドルだけの支払いで済むなら助かります。
しかも、その差はたった23ドル、月にして2ドル程度ということで断然許容範囲内です。
あと追加で21ドルを払うことで免責額300ドルになりますが、ジャンプ分が比較的大きい割にそれでも結局300ドルは払わなくてはならないので、僕は「10年間事故を起こさないことで差額の200ドル分を貯める」ということを誓いました。
最低限の補償は確保しながらも気軽に事故を起こせない緊張感を残した結果の保険内容です。
そして、Comprehensive です。
僕の車は珍しいタイプなので比較的人気があり、メインにこれを盗難に対する補償と位置付けました。また、街を走っていると、よく窓を割られ車上荒らしに遭ったまま、ビニールでとりあえず窓を覆って走っている可哀そうな車をよく見掛けます。残念ながらそういったことは頻繁にあるので、そういった意味合いでも必要性を感じます。
また、高速道路ばかりで大型車も多く走っていて、小石飛び跳ねの窓割れのリスクは高いと感じています。条件がそろえばですが、大きく拡大する前に無料で修理できる安心感は大きいと感じます。
動物との衝突や自然災害での被害はあまり心配していませんが、パッケージになっているのであるに越したことはないものだと思っています。
免責額ですが、非衝突型の損害や盗難などは、自分がどれだけ気を付けていてもいつ起こるとも限らないものですし、自分に落ち度がないのに払う修理費ほど悲しいものはないので、惜し気なく免責額が最小となる$300を選択しました。保険を使っても次回更新時の保険料が引き上げられることがないので、比較的気軽に保険請求したいとのいうのも理由の一つです。
Extra equipment (Other permanently attached equipment) は、何故か最小設定可能額である上限額$5,050に設定すると増額分がたった$3となったので、追加したオプションです。(バグ?)
永久に固定するの定義として溶接などだけでなくボルト固定も含まれるので、適用できるか分かりませんが、僕の車はオールペイント車両ですし、タイヤやホイール、ルーフラックなどほとんどの部品の盗難や各種被害に対応できると思い、追加しました。たった3ドルですしね。
オーディオ関係やスピーカーなども社外品ではありますが、一般的ですので音響装置の方の追加補償は+14ドルでも不要と判断しました。
よく出てくる用語
At-fault crash:自身に過失のある事故
Third Party Liability:第三者責任 自身と相手方以外の第三者への損害責任
Deductible:免責額