カナダ永住権申請に使える英語試験『PTE』(Pearson Test of English)を紹介

未分類

PTEとは

PTEとは「Pearson Test of English」の略称で、英国の語学関連企業ピアソン社が実施する就学プログラムや移民目的のために開発された英語試験で、カナダだけでなくイギリスやオーストラリア、ニュージーランドで認定されたものです。

PTEの種類

PTEの3つの試験種類
  • PTE Core : カナダ永住権申請とカナダ市民権申請に使える試験
  • PTE Academic : カナダ国内の大学の98%で認定された試験ですが、移民申請には使用不可
  • PTE Home : 英国で家族ビザ等を申請する際に使用されるプログラム

PTE Core の特色

PTE Core の特色
  • カナダ移民局が永住権/市民権申請に使える英語試験として正式に認可している
  • 試験結果を受け取るまでが2日程度と早い審査が可能
  • 日常英語が評価対象
  • 人間の先入観やバイアスなどを極力排除したAIをフル活用した採点システム
  • 1回の試験でコンピューターを使い全技能の試験がすべて完結できる
  • 2時間程度の試験

上記が公式ウェブサイトが自称する特色ですが、他の試験 (IELTSとCELPIP) と比較して、筆者的には次のような特色があると思っています。

PTE Core の特色 (追加)
  • 審査方法が技能複合的で、ライティングとリスニングが一緒になった問題があったり、リスニングしてそれに基づいてスピーキングをする問題などがあり、「英語を使う」という日常性により自然に近い形態をなっている
  • 受検料が比較的割高 (CELPIP<IELTS<PTE)
  • 最近導入され実績の声がまだまだ少ない

カナダ移民局が移民用の英語試験として導入してからまだ日が浅く、まだまだどんなものかよく分からない部分が多いと思います。
次に、試験の概要について見てみましょう。

試験について

試験会場が設定されている国一覧

カナダ国内以外にも、次の国で受検できる国は次のリストの通りですが、2025年1月現在でカナダ移民に対応する「PTE Core」受検可能国カナダ国内のみのようです。

受検可能国一覧 (2025年1月現在)
対応国対応プログラム
カナダPTE Core
オーストラリアPTE Academic
(移民目的で使用不可)
ニュージーランド
イギリス
アメリカ

カナダBC州内の受検可能会場一覧 (2025年1月現在)

カナダ国内の主要都市を中心に会場が設定されていますので、ここではBC州の会場だけを取り出して一覧にして紹介します。2025年1月現在で4箇所が該当します。

出典: Google Maps
都市名所在地
バンクーバー
(Vancouver)
Pearson Professional Centres-Vancouver BC
505 Burrard St Suite 570 Bentall Centre
バーナビー
(Burnaby)
Pearson Professional Centres-Burnaby BC
4400 Dominion Street Suite 115
サレー
(Surrey)
Pearson Professional Centres-Surrey BC
15127 100 Avenue Suite 406 Guildford Landmark
ビクトリア
(Victoria)
Pearson Professional Centres-Victoria BC
818 Broughton Street Suite 201

問題構成

他の語学試験と同様、4技能を審査しますが、PTEでは3パート構成になっています。

PTEの問題構成
構成対象評価技能合計時間
パート1Speaking & Writing約50分 (46~67分)
パート2Reading約30分 (27~38分)
パート3Listening約30分 (30~37分)

次に、各パートの問題内容について紹介します。

パート1: Speaking & Writing

全8問で構成、合計46~67分(約50分間)のパートで、複合的にSpeakingとWritingスキルについて主に評価されます。

パート1: Speaking & Writing の問題構成
  1. Personal Introduction
  2. Read Aloud
  3. Repeat Sentence
  4. Describe Image
  5. Respond to a Situation
  6. Answer Short Question
  7. Summarize Written Text
  8. Write Email
番号問題名評価
対象
問題内容問題数
1自己紹介
(Personal Introduction)
S試験への慣熟目的として設定された指示を25秒程度で読み、
30秒程度解答する問題。(採点対象外)
1
2読み上げ
(Read Aloud)
R
S
60語程度の文章を30~40秒程度で読み、
短い合図音の後にそれを読み上げる問題。
※3秒以上沈黙すると録音が自動的に停止。
6~7
3文章復唱
(Repeat Sentence)
L
S
3~9秒程度の録音文章を聴き、
録音開始の画面表示後にそれを復唱する問題。
※録音開始を知らせる短い合図の音声はなく、 “Recording” の画面表示のみ。
10~12
4図画説明
(Describe Image)
S与えられた図画を25秒程度見て、
短い合図音の後に40秒程度でその詳細を説明する問題。
3~4
5状況応答
(Respond to a Situation)
60語程度で説明される日常的な状況について読んで聞き、
その対応について自分ならどう応答するかを20秒程度で準備し、
短い合図音の後に40秒程度解答する問題。
※リスニング中にメモを取ることが可能。
2~4
6短問回答
(Answer Short Question)
L
S
3~9秒程度の問題を聴き、
録音開始の画面表示後に10秒程度短い語句で解答する問題。
※問題を聴く際に図画が表示される場合がある。
※録音開始を知らせる短い合図の音声はなく、 “Recording” の画面表示のみ。
5~6
7文章要約
(Summarize Written Text)
R
W
200語程度の文章を読み、
10分以内25~50語程度要約する問題。
※画面下部に語数カウントあり。
※切り取り、コピー、貼り付けボタンあり。
1~2
8メール作成
(Write Email)
W文章を読み、
9分以内80~120語程度で対応するメールを作成する問題。
※画面下部に語数カウントあり。
※切り取り、コピー、貼り付けボタンあり。
2~3

パート2: Reading

全5問で構成され、合計27~38分(約30分間)のパートです。主にReadingスキルが評価されます。

パート2: Reading の問題構成
  1. Reading & Writing: Fill in the Blanks
  2. Multiple Choice, Multiple Answers
  3. Reorder Paragraph
  4. Fill in the Blanks
  5. Multiple Choice, Single Answer
番号問題名評価
対象
問題内容問題数
1読み書き空白埋め
(Fill in the Blanks)
R
W
複数の空欄を含む200語程度の文章を読み、
選択肢の中から最も適切な語句を選択し文章を完成させる問題。
※回答時間中は選択肢変更が可能。
5~6
2選択肢複数回答
(Multiple Choice,
Multiple Answers)
R275語程度の文章を読み、
選択肢から正しいと思う解答を該当するだけ解答する問題。
※選択した解答は黄色でハイライト表示される。
1~2
3文章順序並べ替え
(Reorder Paragraph)
順序が入れ替わった110語程度の文章の段落群を読み、
正しい順序に並べ替える問題。
※段落の移動法はクリックしてドラッグする方法と、
ボックスをクリックして表示される矢印ボタンを使用する方法の2つがある。
2~3
4空白埋め
(Fill in the Blanks)
複数の空欄を含む80語程度の文章を読み、
青い語群から正しい語句を一つ解答する問題。
※語群から語句を移動するにはドラッグ&ドロップする。
※語群内の語句には余剰が発生する。
4~5
5択一回答
(Multiple Choice,
Single Answer)
110語程度の文章を読み、
選択肢から択一解答する問題。
※選択した解答は黄色でハイライト表示される。
1~2

パート3: Listening

全7問で構成され、合計30~37分(約30分間)のパートです。自動的に再生する音声を聴いたりビデオを見て回答する問題で、必要に応じメモを取ることが可能です。主にListeningスキルが評価されます。

パート3: Listening の問題構成
  1. Summarize Spoken Text
  2. Multiple Choice, Multiple Answers
  3. Fill in the Blanks
  4. Multiple Choice, Single Answer
  5. Select Missing Word
  6. Highlight Incorrect Words
  7. Write from Dictation
番号問題名評価
対象
問題内容問題数
1録音文章要約
(Summarize Spoken Text)
L
W
45~75秒程度の録音を聴き、
その内容を8分以内20~30語要約する問題。
※画面下部に語数カウントあり。
※最低20語で、30語を越えないこと。
※切り取り、コピー、貼り付けボタンあり。
1~2
2選択肢複数回答
(Multiple Choice,
Multiple Answers)
L50~90秒程度の録音を聴き、
選択肢から複数解答する問題。
※正答数は複数ある。
1~2
3空欄埋め
(Fill in the Blanks)
30~60秒程度の録音を聴きながら原稿をみて、
空欄を埋め文章を完成させる問題。
※Tabキーを使用して次の空欄に移動可能。
※リスニング中にメモを取ることが可能。
2~3
4択一回答
(Multiple Choice,
Single Answer)
30~60秒程度の録音を聴き、
最適な要約文章を選択する問題。
1~2
5不足語選択
(Select Missing Word)
20~70秒程度の録音を聴き、
空白部分にあてはまる最も適切な語句を選択肢リストから選択し、
音声文章を完成させる問題。
1~2
6語句修正
(Highlight Incorrect Words)
L
R
文章の原稿を見ながら15~50秒程度のその録音を聴き、
実際に話されているのとは異なった語句を原稿上で見つけ、
実際に録音音声で話された正しい語句に修正する問題。
1~2
7音声書き取り
(Write from Dictation)
L
W
3~5秒程度の録音文章を聴き、
その文章を画面下部の解答欄に入力する問題。
※リスニング中にメモを取ることが可能。
※スペリングに注意すること。
3~4

申し込みから試験までの実際の流れ

利用にあたっては、まずは公式ウェブサイトでアカウントを作成する必要があります。

アカウントの作成

アカウント作成時に必要な入力情報
  1. 氏名/生年月日/性別/出生都市名/出生国/国籍/メールアドレス
  2. 居住国/居住住所/電話番号

ここまで入力するとメールが送られて来るので、メール本文内のリンクからアドレスの認証を行い、アカウント作成は完了です。

試験会場と日程の選択

試験会場は本記事のはじめの方で紹介したとおり、カナダBC州では4会場 (メインランドは3会場) のみが指定されています。カナダ主要都市周辺にはそれぞれ複数個所の会場が設定されていますので、便利な場所を選択してください。

各試験会場では受検者数10~15名程度に留めるような公式ポリシーがあるため、直近の予約がなかなか取りにくいような印象です。先を見て余裕のある時期に便利な会場と時間で予約をしましょう。

試験時間約2時間と他の英語試験 (CELPIP/IELTS) と比較すると短時間で済みます。

受検料

受検料は次のように設定されています。
他の試験同様、オンラインでのクレジットカード払いに対応しています。

受検料 (2025年1月現在)

$350 + tax

CELPIPの$280 +taxと比較すると割高な設定ですね。

試験当日の流れ

試験前

試験会場には、試験時間の30分前までに到着します。
IDを提示(一般的にパスポートで期限内で現在有効なもの)し、写真撮影、電子署名をした後に、静脈認証のための掌のスキャンを行います。試験席に持ち込める者は限られており基本的に個人のものは何も持ち込めないため、持参の荷物をロッカーに預け、座席ブースへと向かいます。

試験席に持ち込めないものの例
  • カバン
  • 本や個人のノート
  • 携帯電話
  • 通信機器
  • ノートパソコンなどのコンピューター
  • 財布
  • 時計
  • ¼インチ(0.5cm)以上の厚みのあるジュエリー類

試験中

ブースにはコンピューターとキーボード、ヘッドセット、ノートと鉛筆が準備されています。
会場規模は一般的に室内に10~15名程度の受検者が入れるようなものと規定されています。

採点

採点について

繰り返しになりますがPTEはAIが審査を行う試験であり、これにより常に公正かつ精確な採点が実現できるとされています。
試験中に試験官などの人間が介在することがないことから、人間がもつ先入観などが入り込む余地がなく、英語という評価対象そのものだけに集中した試験ができるとされています。

また、コンピューターによる評価であるため、個別でより精確なフィードバックを受けることができます。

採点は10~90点の点数範囲で行われ、各点数は次のようにCLBに換算されます。

CLBとは「Canadian Language Benchmark」のことで、永住権申請における点数化の際に、他にも認定する英語試験のIELTSやCELPIP、またフランス語のTEFなどと共通の点数化が必要であるためにカナダ移民局が設定した「語学力換算値」です。

CLB換算SpeakingWritingReadingListening
1089以上9088以上89以上
984~8888~8978~8782~88
876~8379~8769~7771~81
768~7569~7860~6860~70
659~6760~6851~5950~59
551~5851~5942~5039~49
442~5041~5033~4128~38
39404142434445464748495051525354555657585960616263646566676869707172737475767778798081828384858687888990
(満点)
S345678910
W345678910
R45678910
L5678910

試験結果の有効期間

CELPIPやIELTSと同じく2年間有効。
受検後は、48時間以内の結果受領後は再度試験申し込みができ、何度でも受検が可能です。

試験後の再受検に関するポリシー

初回を除いて次の試験の申し込みを行えるのは、前回の受検結果を受領した以降のみ。
一度の申し込みでは1回分の試験のみ申し込みのみが可能です。

受験回数の上限は12ヵ月間に12回までとされておりますが、特別な許可の申請をすることでそれ以上の受検が認められる場合もあります。

予約試験日程の変更

ウェブサイトにアクセスしログイン、「Reschedule」ボタンをクリックして手続きを進めます。
もしくは電話での手続きも可能です。予約変更は1回の試験につき6回までが上限です。

試験日までの日数日程変更の可否
15日以上手数料なしで可能
14日以内不可
(キャンセルして再申し込みが必要)

キャンセル時の返金額

ウェブサイトにアクセスしログイン、「Cancel」ボタンをクリックして手続きを進めます。
もしキャンセルをする場合は、時期によって返金額に関するポリシーが異なるため、できるだけ早い時期にすることが推奨されています。

試験日までの日数返金額
15日以上100%
8日~14日50%
7日以以内なし

まとめ

PTEまとめ
  • カナダの移民 (永住権/市民権申請) 目的で使用できる、IELTSとCELPIPに次ぐ新しく認定された試験
  • コンピューターのみで行う試験で試験官とやるとりをする必要がない
  • 試験時間は2時間と最短で、試験結果発表も2日と最短
  • 採点はAIが行うため人間のバイアスが介在せず公平であると言われている
  • 試験も問題は技能によって明確に分けておられず、読んで話す、聴きながら書く、聴いたことを話すなど採点対象技能が複合的に使用される
  • 試験費用は税抜き350ドルと英語試験としては比較的高額
  • 対応会場や予約可能日程はまだまだ少なく、対策リソースも少ない

タイトルとURLをコピーしました