2022年11月発効のTEERによる職業分類への変更などを踏まえ、BCPNPの点数配分が大きく変更されました。それを反映した2023年版を作成しましたので、こちらの記事をご覧ください。
本記事では、「SIRS」(Skills Immigration Registration System) の点数配分について紹介します。
連邦政府が運営する永住権取得のポイント計算システム「CRS」(Comprehensive Ranking System) では、専用のページでオンラインで計算/シミュレーションができる便利なものですが、BC州の運営するPNPではこの計算を行う公式のページがありません。
ガイドラインを読みながら手計算をする必要がありますが、ここでは大事なところと要素を抜き出して皆さんが計算をしやすいように紹介してみます。
2022年3月10日に、点数配分を含む推薦要領の一部改訂が行われました。
本記事では、旧情報も残しつつ、間違いがないよう注釈を入れて修正を行っています。
点数を早見する方法
各項目の説明文を省略してとにかく点数だけを早見したい場合には、この記事内をスクロールして緑の枠で囲まれた6項目だけを参照して足し算してみてください。
BCPNPの点数配分
合計 190点
経済的要素 (Economic Factors) 計110点
- BC州のジョブオファーにおけるスキルレベル要素 50点
- BC州のジョブオファーにおける賃金要素 50点
- 勤務地域要素 10点
2022年3月10日の改訂により、「1. BC州のジョブオファーにおけるスキルレベル要素 」の点数配分が、60点から50点に変更されました。それに伴い、「経済的要素 (Economic Factors)」の合計点数も110点に、全体の合計点数も190点になりました。
人的財政的要素 (Human Capital Factors) 計80点
- 直接関連のある過去の職歴要素 25点
- 個人の最高学歴要素 25点
- 語学力要素 30点
経済的要素 (Economic Factors) 120点の内訳
110点分が与えられる「経済的要素」では、雇用主により提示されたジョブオファー内に示されるNOCコードによるスキルレベル分類、年収賃金、主な勤務地に応じた点数配分です。
1. BC州のジョブオファーにおけるスキルレベル要素 (計50点)
ジョブオファー内で提示される職種がNOCコード上でどのスキルレベルにあたるかで付与される最大50点分の点数配分です。
ジョブオファー内で提示される職種のスキルレベル
2022年3月10日の改訂により、「2018年版のBC州「高需要職種」に指定されている 」ことの追加点が廃止されました。
2. BC州のジョブオファーにおける賃金要素 (計50点)
ジョブオファー内で提示される賃金に応じて付与される点数が最大50点分割り振られています。
まずは、申請する家族の規模に応じた最低収入条件以上が提示されていることが求められます。
当然、永住権をともに申請する家族規模が大きくなればなるほど、その責任が大きくなることから、必要な申請条件は厳しくなっていきます。
下の表の中で、カッコ内で示しているのは週40時間労働で換算した場合の時給です。夫婦だけなどのように家族2名での申請であっても、最低賃金 (BC州では$15.20) での労働ではクリアできない水準です。
家族規模に応じた最低収入条件
この賃金条件は、 カナダ統計局が発表する2019年のLow-Income Cut-Off (LICO)の100%を示しています。これは、2021年度までは2017年版の同データが90%の水準で利用されていたものですが、前回比で約16%の上昇となっています。
年収の計算のしかた
1年間が52週間なので、この計算法で年収を算出することが出来ます。週の労働時間は、最大で40時間、長距離トラック運転手の場合は60時間となります。
40時間を超えた分の時間はここでは時間として考慮されません。また、通常の給与以外に支給されるボーナスや手数料、分配利益、チップ、残業手当、住居手当、現物支給関連などは含まれないので注意しましょう。
3. 勤務地域要素 (計10点)
ジョブオファー内で示される「主に働く場所」に応じた最大10点分の点数配分です。
人的財政的要素 (Human Capital Factors) 80点の内訳
80点分が与えられる「人的財政的要素」は、BC州の経済に貢献できる個人の技術、経験、能力を指標としています。
1. 直接関連のある過去の職歴要素 (計25点)
関連する業種での職歴がある人は、BC州での活躍の可能性が高いというデータに基づいた指標です。
ジョブオファー内で提示される職種 (正式にはNOC番号) が過去のカナダ国内外を問わない職歴と直接関連がある場合には、最大25点分の点数配分により加点されます。
ジョブオファー内の提示職域と直接関連のある職歴の条件
- 直接関連する業種であること (同一のNOCであれば問題ないが、上位スキルレベルNOCの場合はどう直接的に関連するのかを申請時に説明が必要。下位スキルレベルNOCはカウント不可。)
- フルタイム (週30時間以上) の年数に対応
- パートタイム (週30時間未満) も加算可能だが、雇用期間はフルタイム50%でカウント
- カナダ国内だけでなく、海外の経験もカウント可能
- 過去10年間が対象
- 給与が支払われた職歴のみが対象 (ボランティアや給与支給が証明できないものは考慮不可)
- 給与が支払われたCo-opでの就労経験も上記の条件に合致すればカウント可能
事例紹介
事例1:上位NOCでの職歴がある場合1
- 過去10年間の母国における職歴:3012認定看護師としてフルタイムで8年間
- BC州でのジョブオファー:3233認定実務看護師
過去の職歴が、オファーされた職種と「直接関連した職種」であり、かつNOCがオファーされたスキルレベルのBよりも高いAであるため、過去の職歴として加算することが出来る事例です。
事例2:上位NOCでの職歴がある場合2
- 過去10年間の母国における職歴:0013財務関係の上級管理者としてフルタイムで3年半
- BC州のジョブオファー:6235財務営業担当者
過去の職歴が、オファーされた職種と「直接関連した職種」であり、かつNOCがオファーされたスキルレベルのBよりも高いAであるため、過去の職歴として加算することが出来る事例です。
事例3:上位NOCでの職歴であっても分野が違う事例
- 過去10年間の母国における職歴:2131土木技師としてフルタイムで10年間
- BC州でのジョブオファー:6311食品担当責任者
この場合は、過去の職歴が現在オファーされている職種のスキルレベルよりも高いNOCではあるものの、直接関連した職種とは言えないため、 過去の職歴として加算することが出来ない事例です。
事例4:パートタイムの職歴を加算する事例
過去10年間の母国における職歴:2175ウェブ開発者としてパートタイムで30ヵ月
BC州のジョブオファー:2175ウェブ開発者
この場合、過去の職歴とBC州でオファーされている職種が同じNOCになるものの、過去の職歴が週30時間未満となるパートタイムである場合には、50%で換算されるため、15ヵ月として過去の職歴として加算することが出来る事例です。
BC州のジョブオファー内提示職種と過去職歴との直接関係性
2. 個人の最高学歴要素 (計25点)
申請の際に、学歴を証明する書類の提出が必要となり、条件に応じて最大25点分の配点が与えられています。
学歴点の条件
- 個人の最高の学歴のみが対象となります。例えば、大学院を卒業し修士号を取得した場合に、大学卒業時の学士号の分も合わせてカウントすることはできません。
- 完全に修了している学歴のみが対象となり、部分的な卒業や修了はカウントされません。
- 教育期間は6ヵ月以上のもののみ対象です。
- 遠距離教育プログラムによる学歴はカウントされません。
- 基本点要素も追加点要素も1つずつのみ選ぶことができますが、重複して点数を取得することはできません。
3. 語学力要素 (計30点)
申請者の英語力もしくはフランス語力がBC州の経済にどう貢献できるかを評価して付与される点数です。具体的には、カナダ式語学基準 (CLB) のスコアが対応します。
語学試験の受検自体は必須ではないものの、最大30点分という点数配分を有していることから、非常に大きな要素であるといえます。
語学点の条件
- 試験結果の提出が必要
- IELTS (ジェネラル) / CELPIP (ジェネラル) / フランス語試験TEFのいずれかの認定試験であること
- 4科目の最低点となるCLBに応じて付与
- 試験結果は発行日から2年間有効
- 登録時だけでなく審査通過後の申請時点でも有効であること
合計点を計算する
以上の要素で合計点数を計算します。何点になりましたか?
合計 190点
経済的要素 (Economic Factors) 計110点
- BC州のジョブオファーにおけるスキルレベル要素 50点
- BC州のジョブオファーにおける賃金要素 50点
- 勤務地域要素 10点
人的財政的要素 (Human Capital Factors) 計80点
- 直接関連のある過去の職歴要素 25点
- 個人の最高学歴要素 25点
- 語学力要素 30点
この点数が実際にどう使われているのかについては、州政府が年間を通じて行っている各カテゴリーでの「Drawing」の結果を追う必要があります。
これは、該当プログラムの最低点(カットオフスコア)を示すもので、それ以上の点数を保有している人には、申請を行う権利を招待する「ITA」が付与されるというものです。
招待点数Drawing実績
では各プログラム (カテゴリー) 別で、何点を取得すれば申請を行う権利が与えられるのか?
この過去の実績をまとめたページを別ページで作成しましたので、ご覧ください。
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