Daylight Saving Time (DST) とは
イギリスのグリニッジ天文台のある地域を基準として、グリニッジ標準時 (GST) が設けられ、世界の「時刻」はこれを基準としています。
一方、生活する上では、遠く離れたロンドンの時刻を気にすることはめったになく、自身が活動するそれぞれの地域で採用された時刻帯を使っているのが常です。
Daylight Saving Time (DST) 、通称「夏時間」は、季節ごとの日出/日没時刻の差が特に大きくなる高緯度地域で多く採用される制度で、冬場の日の短い日をできるだけ短く、夏場の日の長い日をできるだけ長くすることで、自然日照の下で市民がより生き生きと活動できるように設けられた制度であるといえます。
具体的には、次のことが行われます。
世界のどこで行われている?
この図が非常に分かりやすいのですが、緯度が基本的に高くなる北米と欧州中心で行われていますが、すべての州ではないようですね。
また、オーストラリアなどでも緯度が高くなる南部では一部実施していたり、中東ではイランやシリア、アフリカではモロッコや西サハラなど限られた地域で採用されているというのも面白いですね。
2021年はいつ行われる?
北米では、2021年のDSTは次の日程で行われると定められています。
なぜそんな変な時間帯?
おそらく、使用時間の変更で懸念される一番の大きな影響は、商店や企業などだと思います。
市民の体内時計の問題は、いつ変更してもさほど変わりはないものですが、たとえば何時か何時のシフトで従業員を働かせるとか、営業時間が何時とか、取引や会議を何時にするとかというものに影響が出るおそれが最も考えられるのです。
そこで、午前2時ごろであれば、日本のような24時間営業商店も少ない北米では、最もそういった影響が少なくなると試算された時間帯として選定されたものと考えられます。
2022年以降は?
現在分かっているところで、2022年以降のDSTは次のようなスケジュールで行われるようです。
どうやって準備する?
通常、前日の土曜日の就寝前に必要な時刻設定をしてから寝るというのが通例のようです。
ただし、最近の電波時計やスマートフォンなどの機器では、使用時刻帯を設定しておけば自動で夏時間を適用してくれるものも多くあります。
冬⇒夏時間に変更する春の時期には、午前2時台が存在しなくなるため、住民時間が一般に1時間短くなります。逆に夏⇒冬時間に変更となる秋には、午前1時台が2回生じるため、いつもより1時間長く眠れると喜ぶ人が多い印象です。
カナダのDST
冒頭に、世界でDSTが採用されている地域の図を紹介しましたが、カナダでも全州で実施している訳ではありません。
カナダでのDSTの歴史
カナダで最初にDSTが実施されたのは、1908年にオンタリオ州にある町の市長が行ったものだと言われています。その後各州でその効果が議論されて次第に広まっていきました。
現在では上記に示した、DSTの適用に懐疑的であったり効果的でないと判断された自治体を除いて、ほとんどの地域で採用されています。
飛行への影響
時刻が1時間変わるということは、パイロットにとって、ざっと次の2つの影響がありそうです。
夜間飛行時間
夏時間になると、日の入り時刻が1時間遅くなるので、夜間飛行になる時刻も1時間遅くなります。
学校で飛行機をレンタルしたり、教官との同乗教育で訓練する場合には、翌日のスケジュールの影響などもあり、なかなか訓練がしづらくなることに注意が必要です。
UTCとの時差
NOTAMやWX情報の確認の際、世界標準時であるUTCでの時刻表記が一般的ですが、現実的に現地時刻に変換する際に、時差を換算しますが、それが1時間変更になります。
パイロットにとって、1年に2度訪れる混乱の原因ともなります。
特にカナダBC州などで適用される西太平洋時刻帯を使用している方にとって、UTCとの時差が7時間と8時間であるのに対し、日本との時差がその逆で8時間と7時間となります。
日本の時差を意識してしまうと、UTCとの時差の逆となるので、春と秋の入れ替えのタイミングで毎回大変混乱します。
まとめ
本記事では、夏時間制度の概要の紹介となりました。
カナダ国外の在住の方には、こうした制度があるということに興味を持っていただければ幸いです。